法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

芦部憲法第4版(高橋補訂)の発刊について

2007-03-12 20:16:41 | Weblog
岩波書店 4年ぶりにアップデートしたロングセラー

 第5版,あるかが問題。ひょっとしたら・・・。

国民投票法案,憲法記念日前の成立にこだわらず・首相 NIKKEI NET


日本国憲法の関連条文

第九十六条  この憲法の改正は,各議院の総議員の三分の二以上の賛成で,国会が,これを発議し,国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には,特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において,その過半数の賛成を必要とする。2  憲法改正について前項の承認を経たときは,天皇は,国民の名で,この憲法と一体を成すものとして,直ちにこれを公布する。

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失念株の分割に係る不当利得返還請求について

2007-03-12 13:55:07 | Weblog
「失念株」売却益,名義人に返還命じる・最高裁判決 NIKKEI NET

 原審が,「本件新株式は上場株式であり代替性を有するから,被上告人の得た利益及び上告人らが受けた損失は,いずれも本件株式分割により増加した本件新株式と同一の銘柄及び数量の株式である。したがって,上告人らが本件新株券そのものの返還に代えて本件新株式の価格の返還を求めることは許されるが,その場合に返還を請求できる金額は,売却時の時価によるのでなければ公平に反するという特段の事情がない限り,被上告人が市場において本件新株式と同一の銘柄及び数量の株式を調達して返還する際の価格,すなわち事実審の口頭弁論終結時又はこれに近い時点における本件新株式の価格によって算定された価格相当額である。」としたところ,最高裁は,次のように述べ,原審の上記判断を是認できないとした。

 不当利得の制度は,ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に,法律が,公平の観念に基づいて,受益者にその利得の返還義務を負担させるものである(最高裁昭和45年(オ)第540号同49年9月26日第一小法廷判決・民集28巻6号1243頁参照)。
 受益者が法律上の原因なく代替性のある物を利得し,その後これを第三者に売却処分した場合,その返還すべき利益を事実審口頭弁論終結時における同種・同等・同量の物の価格相当額であると解すると,その物の価格が売却後に下落したり,無価値になったときには,受益者は取得した売却代金の全部又は一部の返還を免れることになるが,これは公平の見地に照らして相当ではないというべきである。また,逆に同種・同等・同量の物の価格が売却後に高騰したときには,受益者は現に保持する利益を超える返還義務を負担することになるが,これも公平の見地に照らして相当ではなく,受けた利益を返還するという不当利得制度の本質に適合しない。
 そうすると,受益者は,法律上の原因なく利得した代替性のある物を第三者に売却処分した場合には,損失者に対し,原則として,売却代金相当額の金員の不当利得返還義務を負うと解するのが相当である。


 原審の判断中にも「特段の事情がない限り」との留保はあるが,不当利得制度の趣旨などからすれば,本最判の方がより理解しやすいように思われる。最高裁は,上記規範に基づき,本件においては原則と異なる解釈をすべき事情はうかがわれないとして,新株式に係る利得については上告人側の主張を全面的に認めている。
因みに,譲渡した名義人が分割に係る新株式を売却したのは,株式分割の実施から約半年後のこと。

 なお,判決中に,「大審院昭和18年(オ)第521号同年12月22日判決・法律新聞4890号3頁は,以上と抵触する限度において,これを変更すべきである。」とあるが,この大審院判決は,松坂民法の記述から推察するに,利得が代替性を有する場合は価格ではなく当該代替物を返還すべき,としたもののようだ。

日本証券業協会 株式の名義書換失念の場合における権利の処理に関する規則(統一慣習規則第2号)

判例検索システム 平成19年03月08日 不当利得返還請求事件


民法の関連条文

(不当利得の返還義務)
第七百三条  法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け,そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は,その利益の存する限度において,これを返還する義務を負う。

(悪意の受益者の返還義務等)
第七百四条  悪意の受益者は,その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において,なお損害があるときは,その賠償の責任を負う。

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