法律の周辺

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NPO法人に係る認証取消の急増について

2007-03-19 22:00:14 | Weblog
NPOの認証取り消し,基準厳格化で前年比2・4倍に YOMIURI ONLINE

 NPO法人の設立には準則主義ではなく認証主義がとられているが,この認証主義,NPOホームページにもあるように,「公益法人の設立許可のように行政裁量の範囲が広い制度とは異なり,設立要件の判断において所轄庁の裁量の余地は極めて限定されて(いる)」(NPO法第12条参照)。
記事は,認証取消の増加は認証基準の厳格化が原因といった書きぶりだが,所轄庁による「監督方針の厳格化」と言うべきだろう。
今年度急増しているのは事業報告書等不提出を原因とする取消しだが,これはNPO法第43条第1項に基づく措置。認証基準の問題ではない。

内閣府国民生活局 NPOホームページ 特定非営利活動法人の設立の認証の取消し


特定非営利活動促進法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により,ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し,もって公益の増進に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「特定非営利活動」とは,別表に掲げる活動に該当する活動であって,不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。2  この法律において「特定非営利活動法人」とは,特定非営利活動を行うことを主たる目的とし,次の各号のいずれにも該当する団体であって,この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
一  次のいずれにも該当する団体であって,営利を目的としないものであること。
イ  社員の資格の得喪に関して,不当な条件を付さないこと。
ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が,役員総数の三分の一以下であること。
二  その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
イ  宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
ロ  政治上の主義を推進し,支持し,又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
ハ  特定の公職(公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第三条 に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し,支持し,又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。

(原則)
第三条  特定非営利活動法人は,特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として,その事業を行ってはならない。
2  特定非営利活動法人は,これを特定の政党のために利用してはならない。

(名称の使用制限)
第四条  特定非営利活動法人以外の者は,その名称中に,「特定非営利活動法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない。

(その他の事業)
第五条  特定非営利活動法人は,その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り,当該特定非営利活動に係る事業以外の事業(以下「その他の事業」という。)を行うことができる。この場合において,収益を生じたときは,これを当該特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない。
2  その他の事業に関する会計は,当該特定非営利活動法人の行う特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し,特別の会計として経理しなければならない。

(登記)
第七条  特定非営利活動法人は,政令で定めるところにより,登記しなければならない。2  前項の規定により登記しなければならない事項は,登記の後でなければ,これをもって第三者に対抗することができない。

(所轄庁)
第九条  特定非営利活動法人の所轄庁は,その事務所が所在する都道府県の知事とする。2  特定非営利活動法人で二以上の都道府県の区域内に事務所を設置するものにあっては,その所轄庁は,前項の規定にかかわらず,内閣総理大臣とする。

(設立の認証)
第十条  特定非営利活動法人を設立しようとする者は,内閣府令(前条第二項の特定非営利活動法人以外の特定非営利活動法人に係る場合にあっては,都道府県の条例。第二十六条第三項,第四十四条第二項,第四十四条の二及び第四十四条の三を除き,以下同じ。)で定めるところにより,次に掲げる書類を添付した申請書を所轄庁に提出して,設立の認証を受けなければならない。
一  定款
二  役員に係る次に掲げる書類
イ 役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿をいう。)
ロ 各役員が第二十条各号に該当しないこと及び第二十一条の規定に違反しないことを誓約し,並びに就任を承諾する書面の謄本
ハ 各役員の住所又は居所を証する書面として内閣府令で定めるもの
三  社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては,その名称及び代表者の氏名)及び住所又は居所を記載した書面
四  第二条第二項第二号及び第十二条第一項第三号に該当することを確認したことを示す書面
五  設立趣旨書
六  設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
七  設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
八  設立当初の事業年度及び翌事業年度の収支予算書
2  所轄庁は,前項の認証の申請があった場合には,遅滞なく,その旨及び次に掲げる事項を公告するとともに,同項第一号,第二号イ,第五号,第七号及び第八号に掲げる書類を,申請書を受理した日から二月間,その指定した場所において公衆の縦覧に供しなければならない。
一  申請のあった年月日
二  申請に係る特定非営利活動法人の名称,代表者の氏名及び主たる事務所の所在地並びにその定款に記載された目的

(定款)
第十一条  特定非営利活動法人の定款には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一  目的
二  名称
三  その行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類
四  主たる事務所及びその他の事務所の所在地
五  社員の資格の得喪に関する事項
六  役員に関する事項
七  会議に関する事項
八  資産に関する事項
九  会計に関する事項
十  事業年度
十一  その他の事業を行う場合には,その種類その他当該その他の事業に関する事項
十二  解散に関する事項
十三  定款の変更に関する事項
十四  公告の方法
2  設立当初の役員は,定款で定めなければならない。
3  第一項第十二号に掲げる事項中に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には,その者は,特定非営利活動法人その他次に掲げる者のうちから選定されるようにしなければならない。
一  国又は地方公共団体
二  民法第三十四条 の規定により設立された法人
三  私立学校法 (昭和二十四年法律第二百七十号)第三条 に規定する学校法人
四  社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条 に規定する社会福祉法人
五  更生保護事業法 (平成七年法律第八十六号)第二条第六項 に規定する更生保護法人

(認証の基準等)
第十二条  所轄庁は,第十条第一項の認証の申請が次の各号に適合すると認めるときは,その設立を認証しなければならない。
一  設立の手続並びに申請書及び定款の内容が法令の規定に適合していること。
二  当該申請に係る特定非営利活動法人が第二条第二項に規定する団体に該当するものであること。
三  当該申請に係る特定非営利活動法人が次に掲げる団体に該当しないものであること。
イ 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号)第二条第二号 に規定する暴力団をいう。以下この号において同じ。)
ロ 暴力団又はその構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む。以下この号において同じ。)若しくは暴力団の構成員でなくなった日から五年を経過しない者(以下「暴力団の構成員等」という。)の統制の下にある団体
四  当該申請に係る特定非営利活動法人が十人以上の社員を有するものであること。
2  前項の規定による認証又は不認証の決定は,正当な理由がない限り,第十条第二項の期間を経過した日から二月以内に行わなければならない。
3  所轄庁は,第一項の規定により不認証の決定をしたときは,速やかに,理由を付した書面をもって当該申請をした者にその旨を通知しなければならない。

(報告及び検査)
第四十一条  所轄庁は,特定非営利活動法人が法令,法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは,当該特定非営利活動法人に対し,その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ,又はその職員に,当該特定非営利活動法人の事務所その他の施設に立ち入り,その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿,書類その他の物件を検査させることができる。
2  所轄庁は,前項の規定による検査をさせる場合においては,当該検査をする職員に,同項の相当の理由を記載した書面を,当該特定非営利活動法人の役員その他の当該検査の対象となっている事務所その他の施設の管理について権限を有する者(以下この項において「特定非営利活動法人の役員等」という。)に提示させなければならない。この場合において,当該特定非営利活動法人の役員等が当該書面の交付を要求したときは,これを交付させなければならない。
3  第一項の規定による検査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人にこれを提示しなければならない。
4  第一項の規定による検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(改善命令)
第四十二条  所轄庁は,特定非営利活動法人が第十二条第一項第二号,第三号又は第四号に規定する要件を欠くに至ったと認めるときその他法令,法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し,又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは,当該特定非営利活動法人に対し,期限を定めて,その改善のために必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

(設立の認証の取消し)
第四十三条  所轄庁は,特定非営利活動法人が,前条の命令に違反した場合であって他の方法により監督の目的を達することができないとき又は三年以上にわたって第二十九条第一項の規定による事業報告書等,役員名簿等又は定款等の提出を行わないときは,当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。
2  所轄庁は,特定非営利活動法人が法令に違反した場合において,前条の命令によってはその改善を期待することができないことが明らかであり,かつ,他の方法により監督の目的を達することができないときは,同条の命令を経ないでも,当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。
3  前二項の規定による設立の認証の取消しに係る聴聞の期日における審理は,当該特定非営利活動法人から請求があったときは,公開により行うよう努めなければならない。
4  所轄庁は,前項の規定による請求があった場合において,聴聞の期日における審理を公開により行わないときは,当該特定非営利活動法人に対し,当該公開により行わない理由を記載した書面を交付しなければならない。

(意見聴取)
第四十三条の二  所轄庁は,特定非営利活動法人について第十二条第一項第三号に規定する要件を欠いている疑い又はその役員について第二十条第五号に該当する疑いがあると認めるときは,その理由を付して,所轄庁が内閣総理大臣である場合にあっては警察庁長官,都道府県知事である場合にあっては警視総監又は道府県警察本部長(次条において「警察庁長官又は警察本部長」という。)の意見を聴くことができる。

(所轄庁への意見)
第四十三条の三  警察庁長官又は警察本部長は,特定非営利活動法人について第十二条第一項第三号に規定する要件を欠いていると疑うに足りる相当な理由又はその役員について第二十条第五号に該当すると疑うに足りる相当な理由があるため,所轄庁が当該特定非営利活動法人に対して適当な措置を採ることが必要であると認めるときは,所轄庁に対し,その旨の意見を述べることができる。

第四十七条  第四十二条の規定による命令に違反した者は,五十万円以下の罰金に処する。

第四十八条  特定非営利活動法人の代表者又は代理人,使用人その他の従業者が,その特定非営利活動法人の業務に関して前条の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その特定非営利活動法人に対しても同条の刑を科する。

第四十九条  次の各号のいずれかに該当する場合においては,特定非営利活動法人の理事,監事又は清算人は,二十万円以下の過料に処する。
一  第七条第一項の規定による政令に違反して,登記することを怠ったとき。
二  第十四条において準用する民法第五十一条第一項 の規定に違反して,財産目録を備え置かず,又はこれに記載すべき事項を記載せず,若しくは不実の記載をしたとき。
三  第二十三条第一項又は第二十五条第六項の規定に違反して,届出をせず,又は虚偽の届出をしたとき。
四  第二十八条第一項の規定に違反して,書類を備え置かず,又はこれに記載すべき事項を記載せず,若しくは不実の記載をしたとき。
五  第二十九条第一項の規定に違反して,書類の提出を怠ったとき。
六  第三十五条第一項の規定に違反して,書類の作成をせず,又はこれに記載すべき事項を記載せず,若しくは不実の記載をしたとき。
七  第三十五条第二項又は第三十六条第二項の規定に違反したとき。
八  第四十条第一項において準用する民法第七十条第二項 又は第八十一条第一項 の規定に違反して,破産手続開始の申立てをしなかったとき。
九  第四十条第一項において準用する民法第七十九条第一項 又は第八十一条第一項 の規定に違反して,公告をせず,又は不正の公告をしたとき。
十  第四十一条第一項の規定による報告をせず,若しくは虚偽の報告をし,又は同項の規定による検査を拒み,妨げ,若しくは忌避したとき。

第五十条  第四条の規定に違反した者は,十万円以下の過料に処する。

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