老後の練習

しのび寄るコドクな老後。オヂサンのひとり遊び。

素粒子 オスカー・レーラー監督作品

2006-07-22 08:13:07 | 映画
いきなり、始めます。
奴隷のようなサラリーマン的生活から逃げ出すために。


おとといは日帰りで朝から名古屋市郊外で仕事。
駅まで走って5分、3時15分の電車に乗るために、クライアントを前に3時に席を立った。計算通り、5分間引き止められて、3分で支度してオフィスを出た。
6時からのこの映画を見るため。

ドイツ映画際2006のトリを飾るこの作品は、フランスの人気作家、ミシェル・ウェルベックの原作小説の映画化。といっても、かなりストーリーはいぢられていたが。
映画の最初に監督の挨拶があって、終わってからは質疑応答まであって、そういう意味ではなかなかよかった。

とはいえ、絶望的に暗く人格破壊的な小説の雰囲気を、そのまま映画にするのは難しかったらしく、監督自身、質疑応答の中で、映画と文学は表現するものが異なり、結末には、やや希望の光を与えたかったと述べていた。

テーマは現代社会における人間の孤独、としてしまってはあまりにありふれているが、その孤独を癒すための、開放的なsex(要するに太陽に下で誰とでもやっちゃう)とか、精神病院とかが、映画の中では、監督の表現を借りれば、社会の進歩を補うために作り出されたものとして、肯定的に表現されている。

タバコが体に悪いと思いながら納税意欲のためにタバコがやめられない、みたいな、淫行したのがばれたら、社会から抹殺されるとわかっていながら、やめられない、みたいな、悪いと思いながら進んでいくしかない今の世の中を、現代社会の病理、なんて古舘サン的に安っぽくまとめないで、それさえも、人間の進歩によって達し得た場所であるという、この監督の言い方には、共感できるものがあったと思う。

主演のモーリッツ・ブライブトロイ(難しい名前!)は、この作品で今年のベルリン映画祭主演男優賞を獲った。
彼が精神病院に入る前に教えていた高校で、慕われていたsexyな女生徒と二人きりになったときに、思わずズボンのチャック下ろしちゃって、軽蔑の眼差しで出て行かれたときの、どうしようもない後悔の表情が、スバらしかった。


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2 コメント

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ウェルベック (lily)
2006-07-23 23:17:26
はじめまして♪

ウェルベックの話題を書かれていたのでコメントさせて頂きました。



『素粒子』って映画化されているんですね。

原作とかなり雰囲気が違うような…今度見てみたいと思います。
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ミッシェル (hanagen)
2006-07-24 20:46:54
lilyさん、コメントありがとうございます。

秋に、全国公開されるそうです。原作を読んでないと意味不明なシーンの連続だと思います。

読んでいても後半、ナンだコレ、って感じでしたから。
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