傾聴ボランティア~緩和ケアにて~

~薬剤師・社会福祉士による小さなボランティア活動~

それを言わないで

2009年08月21日 | 緩和ケア
命が限られた男性のがん患者さん。

仕事をすることが生きがいで、仕事をしている時生きている自分を実感できた、

そんな人が病気になって、

仕事ができなくなった
歩けなくなってしまった。

それはもう、この人にとっては史上最悪の出来事でした。

だから気分は落ち込み、医師からはうつの診断がでました。


「毎日泣いてるんです」

そういって、涙をぬぐいました。


そんな状態であると、焦るのは家族の方。

ちょうどご家族の方がいらして、この患者さんに話をされます。

「死ぬ死ぬ、もうだめだ、って言うて、暗い顔してたらダメ。

病は気から、というんだから、治ること、生き続けること、前向きに考えなきゃ!」

そう言って、がんになっても、前向きに生き続けている知り合いのお話を、ずっとされます。

落ち込んでいる人に言ってはいけない、語録集を聞いているようでした。


あー、止めてー。


私は止めることもできない。


もどかしい、ひと時でした。

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