ブランド果樹など新品種の農作物の海外流出防止を目的とした改正種苗法が2日の参院本会議で可決、成立した。不正に国外へ種子や苗木を持ち出した場合、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金を科す。一部を除き来年4月1日に施行の予定。

 高級ブドウの苗木が海外に流出し、国内の生産者らが経済的な被害を受けたことから法改正が決まった。改正法では、新品種の開発者が栽培地を国内または特定の都道府県に限定できるようにし、違反行為に対する差し止め請求権を認める。第三者に種苗が渡るリスクを減らすため、農家が収穫物から種子を採取して翌シーズンの生産に使う「自家増殖」については許諾制とする。

 自家増殖の制限をめぐっては、許諾料が大幅に引き上げられ農家の負担が増える懸念があるとして、野党が反発。政府は先の通常国会に改正案を提出したが、有名芸能人がインターネット交流サイト(SNS)で反対論を唱えたことも影響し、審議が先送りされていた。

 衆参両院の農林水産委員会は政府に対し、自家増殖の制限が農業経営を圧迫しないよう、種苗が適正な価格で安定的に供給されることを求める付帯決議を採択している。