【ワシントン高本耕太】トランプ米大統領は4日、2月の平昌冬季五輪期間中の米韓合同軍事演習の延期を受け入れ、韓国が今月9日の開催を提案した北朝鮮との南北会談の実現に向け「側面援護」する形となった。

 合同演習の延期は、北朝鮮の平昌五輪参加を模索する韓国が要請。マティス米国防長官も受け入れに含みを持たせていた。北朝鮮は中止を要求している。

 トランプ米大統領が今回、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話協議で延期に合意した背景には、国務省や国防総省の現実派の判断があると見られる。米朝間は「核戦争に近づいている」(マレン元米統合参謀本部議長)と言われるほど緊張しつつあり、その緩和に演習延期や南北会談が一定の役割を果たしうるとの考えだ。

 ただ、会談に関しナウアート国務省報道官は「(北朝鮮が)どこまで真剣に対話に臨むか」と懐疑的な見方を示し、その実施についても「韓国政府の判断」と述べて一定の距離を置いている。会談進展に米国の「圧力最大化」方針が直接的に影響されることはないとの立場だ。米朝間の対話についても、トランプ氏は北朝鮮の核・ミサイル開発放棄を条件として堅持する。

 トランプ氏は4日、「私が、力の行使も辞さない断固とした強い姿勢で北朝鮮問題に臨んでいなければ、誰が南北の対話開始を信じられただろうか」とツイート。自らの北朝鮮政策が対話機運の高まりにつながったと自賛。「対話は良いことだ」と述べた。