クタビレ爺イの山日記

諸先達の記録などを後追いして高崎近辺の低山中心に歩いています。

高遠石工の足跡を尋ねて(2)  H-23-12-19

2011-12-20 20:11:36 | 双神道祖神・磨崖仏・道しるべ
高遠石工の足跡を尋ねる散歩の第二弾は高崎・清水(せいすい)寺。
聖石橋を渡って観音山方面に一直線、道標に従って門内に入るも生憎な事に
駐車場はないので路傍駐車。

(1)入り口に大きな自然石の庚申塔。寛政12年(1800)の銘。



(2)参道の石段下に三基が並んでいる。向かって左から芭蕉句碑・庚申供養塔・
地蔵像。



(3)芭蕉句碑 「観音の 甍みやりつ 花の雲」 天保13年(1842) 水野忠邦の
天保大改革。芭蕉の150回忌に建設されたものらしい。



(4)左の庚申供養塔は享保2年(1717)、下部に「三猿」が刻まれている。
右の地蔵立像は右手に錫杖、左手に宝珠。



(5)少し先の左手に最初の高遠石工作品だが、台石部分にある石工名は判読不明。



(6)塔身部分四面には梵字

  1.タラーク



  2.キリーク



  3.アク



  4.ウン



(7)花台四面のうち三面に宮部義正による詠歌が刻まれている。読みが難しいが
多分という事で下記。
義正とは1729-1792 の江戸時代中期の歌人で高崎藩の重臣。歌学を冷泉為村にうけ、
将軍家歌道師範となり,関東の公家と称された人物。


 1. 思いたつ たうとき法の ひかりにて 
               たからのはこや なかくつたへむ



 2.ときつたふ たからのはこの あけくれに
                人をめくむと きくそかしこき



3.明けくれに たからのはこの たうとしと
                立ゐいのらは めくみあら南



(8)四面は詠歌ではない。
  飯野氏の たてし宝筐印塔に かきつけ侍み歌
                たからのこよみ 十一の夏
  「十一」とは宝暦11年(1761)のこと。



(9)石段を少し登ったところの左の墓地との細道に石像は殆ど首なし。



やがて仁王門を潜るが、中の仁王様の写真を撮り忘れてしまった。



(10)石段途中の左の土手に馬頭観音 一面六臂 明和元年(1764)
平賀源内活躍の時期。



(11)並んで一面六臂の青面金剛 享保20年(1735) 前年に紀伊国屋文左衛門死去。



(12)その下部に珍しく「三猿」と「蛇」が刻まれている。



(13)少し先に四基が並ぶ。



(14)左は読誦塔 「普門品八万巻読誦為父母延命」との刻み。



(15)馬頭観世音



(16)阿弥陀三尊梵字塔



(17)観世音



(18)三面六臂馬頭観音 左手に宝銛、右手には宝輪。



(19)地蔵坐像。二つ目の高遠石工作品だが台石裏の石工名は部分的。
   「京 O 万二郎」「守屋 O O」



地蔵堂前を通過して右手から石段



(20)三つ目の高遠石工作品。 保科増右衛門英親のものだが残欠組み合わせ
不完全塔。
残念ながら笠石より上に乗っているものは全くの別物だという。隣にある
地蔵の台石に寄進したと刻まれている「永代常燈明」だったとすれば
竿石・中台・火袋などが失われているという事になる。



振り返って景観を。





前方を仰ぎ見るともう本堂は近い。石段は500段以上らしいが石造物を見ながら
登るので全く気にならない。



そして本堂着。
脇の説明看板には開基が坂上田村麻呂(758-811)となっているが、爺イは
高橋克彦の「炎立つ」「火怨」の影響でアテルイや奥州藤原のシンパだから
この御仁は好きではない。



もう一枚の看板には市重文の絵馬と算額があると。



本堂の中を一枚、何ともこれはースズランの名が目に入り違和感。



良く見ると両脇にふすま絵。





少し西側に「田村堂」があり田村麻呂の木像と共に下仁田戦争で戦死した
高崎藩士36名の木像が置かれているそうだ。



中はガラス戸で仕切られているので写真撮影には向かない。





(21)本堂裏手にも数体が見えるが道にはイヌが繋いであって猛烈に吼えるので断念。
東に向かうと石段の上に「石興」と(いや昔のものだから右読みで「興石」かな?)
彫られた寛政2年の「手洗い石」。



裏山の方へ進むと台地の上に高崎市初代市長の矢島八郎氏の銅像。
現在の富岡市長は丁度30代目であるが松浦氏を含めて重任が多いので
人数としては15人目。



(22)台地を東に下り気味に歩くと芭蕉歌碑。
  「草いろいろ 各々 花の手から哉」 手からとは手柄のこと?



以上で清水寺探訪を終了。今後は高遠石工作品のみを狙う積り。


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