「田中打ったー! 勝ち越しの二塁打です! 星雲東 決勝進出です。夢の甲子園までまた大きく1歩近づきました!」
「田中~! ナイスバッティング!」
「光太郎、あのときはごめんな、俺がエラーしたばっかりに」
「なに言ってんだよ、あの時勝ってても次の決勝で負けたかもしれねーだろ」
「うん、ありがとな」
「みんな~次も勝つぞ!」
「おう!」
「もしもし光太郎くん、決勝進出おめでとう!」
「ありがとう光ちゃん」
「あのね、私もインターハイ決めたよ」
「凄いや!おめでとう!」
「決勝戦応援に行くね」
「うん」
*
「9回裏常勝明徳学園の攻撃です。熱闘130球一人で投げてきた立花くん、やや疲れが見えてきたか、打たれたヒットと味方のエラーで2アウトながらランナー2塁、3塁、バッターは県屈指のスラッガー土井垣守くん、1打出れば逆転です」
「ボール!」
「2ストライク、3ボール! 遂にフルカウント! 立花くん、振りかぶった~!」
「いけっ 光太郎っ」
「ストライク~! バッター三振! 3アウト! 常勝明徳遂に破れました~ そして星雲東高校初の甲子園出場です!」
「やった・・・」
「ヤッター!甲子園だよ!甲子園! 凜太郎、やっと行けるね甲子園・・・」
「うん」
「凜太郎と私と桜子と光太郎と、家族4人で皆で行こうね」
「うん」
「なにすましんてんだよ、 泣きたいときは泣けっだろっ(笑)」
「うん・・・桜~嬉しいよ~お父ちゃんは嬉しいよ~
」
「よしよし(微笑)」
「麻衣~」
「光~」
「決めたねっ 甲子園」
「嬉しい、凄く嬉しい、けどこれからうんと忙しくなってなかな会えないね」
「麻衣・・・」
「こないだ遊園地行っておいてよかったね」
「うん」
*
「みんな~スイカ切ったから食べよう」
「はーい」
「うん、美味い。当たりだなこのスイカ」
「ホント美味しい、大当たりだね、このスイカ」
「大当たりといえば(笑)」
「思い出すね(笑)」
「なに? 宝くじでも当てたの?」
「ううん、もっといいもの」
「教えてよ・・・やっぱいいわ、なんかのろけられる気がする」
「当たらずとも遠からずだな(笑)」
「お父さん、大神コーポレーションて知ってる?」
「ああ、大企業だからな」
「そこの社長さんが俺らの試合見て感動したから使ってくださいって、バスを1台寄付してくれたんだ」
「バスを! 金持ちはやることが違うね。 ママ?」
「有難いね~有難くて涙が出るね」
「そうだな(微笑)、沢山の人の善意と思いに支えられての甲子園だってことを忘れちゃいけないな」
「うん、恥ずかしくない試合するよ。でも俺は楽しみますっなんて言わないよ、勝つために行くんだからな」
「かっけー光太郎
」
「お母さん、この年になってほっぺにキスとか勘弁してよ」
「いいじゃん~」
「そういえば光太郎に手紙来てたよ、綺麗な字・・・高野光」
「見るなよ!」 と言って手紙を掴んで部屋にダッシュです。
「えっなになに彼女なの? えーうっそー」
「光太郎も高2だよ、彼女いて可笑しくないでしょ」
「へぇ~手紙とは今時古風だな、それに字も綺麗とは高感度高しだな」
「ぶつぶつ言ってるのママだけだよ」
*
「初めてのインターハイ、思った以上に緊張して固くなってしまい1回戦で負けてしまいました。光太郎君はリラックスして甲子園楽しんでね。お守り買ったので同封します。怪我には充分に気をつけてね。」
そっかー楽しむという気持ちも大事だな、勝つことばかり考えてたら肩に力が入り過ぎちゃうな。
「ありがとう光ちゃん、甲子園、楽しんで勝ってきます!」
あっ幸太郎くんからのメール
「TV見て応援してます
」
送信と。 はっどうしよう~調子にのって
マーク付けて送っちゃった
「よっしゃー
」 なによりのお守りなメールになったようです。
*
「立花くん、最後のバッターをセカンドゴロに打ち取りました! 星雲東高校初出場にしてベスト8進出です!」
「ヤッター!」
「ベスト8とは凄いな、今やってる仕事、今週中には段取りがつくから来週なら家族旅行兼ねて甲子園行ってもいいぞ」
「ホントに? パパありがとう~
」
「お姉ちゃん、その為には次の試合勝たなきゃいけないんだよ、次の対戦校知ってるの?」
「何処?」
「春の選抜優勝校の藤宮高校だよ、連覇狙ってるから強いよ」
「そうなんだ・・・」
「じゃあ、来週甲子園に応援に行くから次の試合勝ってねってメールしたらどうだ」
「パパにそんなこと言われたくないし」
「ホタル~また光に冷たい眼で見られたよ~
」
「余計なこと言うからだよ、パパは黙ってればカッコいんだから、しばらくお姉ちゃんには余計なこと喋らないことだね」
「ホント誠の言う通りだわ(笑)」
*
準々決勝 藤宮高校対雲東高校・・・
「最後のバッター立花くん、打ったー! が、もうひとつ伸びがありません。ライト構えてとってスリーアウト! 春夏連覇を狙う藤宮高校勝ちました。敗れはしたものの初出場ながらベスト8に進んだ星雲東高校、甲子園を沸かせました。エースの立花くん、その眼に涙はありません。笑顔です、爽やかな笑顔です。そしてその眼はまたここ甲子園に戻ってくると力強くそう言っているようです」
「あーあ、負けちゃった~」
「でもいい試合だったね」
「ありがとう~誠」
お姉ちゃんに有難うって言われたの初めてかも(^^;
「けど、いい試合してもやっぱ負けると悔しいんだろうな」
「うん・・・」
「ただいま」
「おかえり光太郎、挨拶まわりやらなんやらで疲れたろ?」
「そうでもないよ・・・」
「光太郎、どうした?」
ポロポロと涙を流しながら・・・
「俺、悔しいよ、悔しくてたまらない。だからもっと強くなる。また甲子園に行って今度は優勝する!」
「うん、頑張れっ 今夜は焼肉だからな、たらふく食え!」
「おうっ」
*
「父の夢叶えた立花光太郎君。立花くんの父親は自社ブランドTACHIBANAを立ち上げたデザイナーとして、またヘアースタイリストとしても有名な立花凜太郎氏であり、その凜太郎氏が果たせなかった甲子園の夢を息子の光太郎君が・・・・・・」
「いい話しなんだけど、こんなふうにプライベートなことまで書かれるのは気の毒だわ」
「そうだな、光太郎君は人気者になり過ぎて、いろいろと窮屈だろうな」
「光も全然会ってないみたい」
「お姉ちゃんもそんな人気者やめて桐野先輩にしとけばいいのに」
「桐野先輩と言えばあのダンスパーティのときの・・・」
「そんな簡単にはいかないのが女心ってやつよ、誠にはわからないだろうけど(笑)」
「僕は・・・当分女はいいやっ」
「ぶっ ぶちょおー! どっどういうこと!」
「おっ 落ち着け(甚平の襟元絞めないでくれ~)誠の場合、モテすぎて女の子がうっとおしいんだろう(^^;」
「練習試合に凄い人だね、ネットに女の子たちが鈴なりだよ」
「甲子園のアイドル、立花くんの人気は凄いわ」
「・・・・・・」
「ごめん光、変な言い方して」
「ううん、気にしてないから」
「練習試合終わったらちょっとだけ山田君に会うんだ、光もおいでよ、ずっと会ってないんでしょ」
「うん!」
「久しぶり光ちゃん、お守りとかメールとか有難う、力になったよ」
「よかった」
話したいことがいっぱいあったのに胸がいっぱいになって何も言えなかった。
「ごめん麻衣、最近追っかけの女の子達が凄くて、殆どは光太郎目当てなんだけど、見つからないうちにもう行くわ」
「いいよ、じゃあまたね~山田くん」
「光ちゃん、またメールするから」
「うん(笑顔)」
「あーあ、ホントに5分だけだったね。私はいいんだよ。じゃがいもの顔した山田くんには追っかけとか殆どいないし(笑)会おうと思えば会えるからね。でも光太郎くんは・・・」
「ありがとう~麻衣、5分だけでも会えて嬉しかった」
「光?」
「私も女の子だったんだな~恋すると涙もろくなるっていうのを今実感してます(笑)」
「よしっ 昨日お小遣いもらったから、女の子な光におごっちゃいます」
「やったー(笑)」
「ただいま・・・」
「おかえり~」
「なんかお姉ちゃん、最近元気ないね」
「そうね」
「光、明日学校休みだよね、ちょっとM市の雑貨屋さんに届けて欲しいものがあるの、ママ明日行けないから頼めるかな」
「いいよ」
「じゃあバイト料出すから、麻衣ちゃん誘ってショッピングでも楽しんできなさいよ」
「うん、ありがとう~ママ」
*
「えっ風邪? いいよ、大事にしてね」
一人で知らない街に来るのもなんかちょっとワクワクして楽しいかも。
あれっあのお店、スポーツ用品かな、なんか古臭いというか雰囲気があるというか、ちょっと覗いてみようかな。
「光ちゃん!」
「光太郎君・・・」
「そっか、お母さんのお使いなんだ。俺はグローブ治しに出してたの取りにきたんだ。あの店のご主人が腕が良くていつも頼むんだよ」
「そうだったんだ」
「でも今日は凄いラッキー、まさか光ちゃんに会えるとは思わなかったよ」
「私も嬉しいです(照)」
「あっ今日ね、この近くの神社で祭りやってるんだって、ちょっと見ていかない?」
「はいっ」
「懐かしいね~金魚すくいに、ヨーヨーすくい」
「あっスマートボール! 私これ得意でした」
「じゃあやろうよ、勝負しよう」
「負けないよ(笑)」
「ホント強いや、ボロ負けだ~(笑)」
「へへ、家族でよく勝負したんだ~」
「うちは金魚すくいかな」
「金魚はにゃんこがいるから駄目なんです」
「どんな猫飼ってるの?」
「飼ってないんだけど、近所の野良猫が遊びにくるんです」
「へぇ~(^^;」
光太郎くんとの他愛無い会話がとても楽しくて、楽しくて・・・
そのとき・・・
「よっ若いもんはいいね~」 ←チンピラ登場です(^^;
「俺ら、遊ぶ金なくてさ、少し貸してくんないかな~」
「行こっ 走るよ」
「あれっこの兄ちゃん、どっかで見たことあるな~あっ甲子園に出てた」
「おっと、逃げるんなら彼女は置いてきな」
「キャッ」 捕まる光ちゃん。
「離せ!」
「駄目! 手を出しちゃ駄目」
「・・・・・」
「痛っ いってー!」
「おまえら、まだこんなくだらないことやってんのか、二人とも俺の可愛い後輩なんだからな」
「きっ桐野・・・さん。桐野さんの後輩とは知らずにとんだ失礼を、申し訳ありませんでした!」
「えっ 逃げんの?」
「ああ見えて空手の有段者で滅茶強いんだよ」
「桐野先輩、ありがとう」
「ありがとうございました。暗くなってきたんで、すみませんが光・・・高野さんを送ってもらえませんか」
「いいよ」
「ありがとうございます」
光太郎君・・・眼を合わさなかった。
「彼、星雲東のエースだろ? 野球にうとい俺でも知ってるよ。何事もなくてよかったよ」
「はい、先輩には以前も危ないところを助けてもらって本当に感謝してます」
感謝か・・・俺は光ちゃんのナイトにはなっても王子様にはなれないのかな。。。
因みに桐野くんは泣かないと決めた日の桐野さんの息子ではなく甥っ子という設定です。
*
「お父さんは、好きな女の子を必死で守ったことある?」
「あったな」
「どうだった?」
「喧嘩なんてしたことないし、コテンパンにやられて、助けた女に笑いながら手当された」
「ひでぇ女だな」 お母さんぽい(^^;
「だろ(笑) なんかあったのか?」
「実は・・・」
「そっか・・・」
「俺一瞬躊躇した。好きな女の子一人守れなかった」
「それは違う、おまえは守ったんだよ」
「えっ?」
「もしお前が怪我したり喧嘩したことで、春の選抜に繋がる秋の大会に出れなくなったりしたら、光ちゃんは一生心に深い傷を負うことになる」
「うん・・・」
「光太郎?」
「俺、初恋だったんだ。 でももう光ちゃんとは会わない。野球に専念するよ」
「自分で決めたんならそれでいい(微笑)」
「うん」
「光ちゃんとは縁があればまた会えるから」
「会えるかな・・・」
「お父さんなんてお母さんと出会って20年経ってから好きだって言ったんだからな」
「20年間ずっとお母さんのこと好きだったの?」
「まさか、その間他の女の子とつきあったり一緒に暮らしたりもしてたし」
息子にはもてたアピールでもいいけど・・・
「へぇ~お母さんのこと思いながら他の女とそういうことしてたんだ」
「桜子! 違うってば、それは誤解だって」
「パパってもっと誠実な人かと思ってた」
「ママは自分に都合のいいシンデレラストーリーを桜子に聞かせているんじゃないのか? パパの話しも聞いてくれよ~桜子~!」
どっちの父親も娘には甘くて弱いらしい(^^;
*
「明日N市に用事があって出かけるから光太郎もおいで」
「えっ N市って・・・」
「男なら男らしく誠実にね」
「うん」
「誠から聞いたんだけど・・・」
「そっか、そんなことがあったのか。」
「大丈夫かな、光」
「光は優しくて賢い子だからちゃんと自分で考えて結論を出すと思うよ、俺たちはただ光を見守っていよう」
「うん」
「ちょっと出かけてくるね」
「行ってらっしゃい、ご飯は?」
「直ぐに帰るから」
「パパ」
「ん? 」
「思いは言葉にしなければ伝わらないんだよね」
「ああ」
「ちょっと嘘つかなきゃいけないんだけどちゃんと伝わるかな」
「相手の眼を真っ直ぐに見て言うんだよ(微笑) そうすれば必ず伝わるから」
「うん、そうする。ありがとうパパ」
頑張れっ光・・・・・
高野家の近所にあるいつもの公園です・・・
「ごめん、ちょっと遅くなったけど大丈夫?」
「うん、ちゃんと番犬がついてきてるから(笑)」
「そっか」
「あのね私、剣道、来年もインターハイに出て一つでも多く勝てるように頑張りたいんだ。それに来年は受験だし勉強も頑張らないと」
その大きな瞳はいつもより透き通って潤んで見えた。
先に言われちゃった・・・ありがとう光ちゃん。
「俺は勉強はからっきしだけど、必ず春の選抜に出て優勝する。お互い頑張ろうな・・・光ちゃんに会えた今年の夏は最高に楽しかった!」
「私も楽しかった! 光太郎君、握手しよう」
俺は思わず右手をズボンでゴシゴシと拭いた。それを見て君は笑いながら右手を差し出す。
初めて握ったその手は白くて小さくて柔らかくて優しかった。
初めて握ったその手は大きくて温かくて優しかった。
光ちゃん、君のことが好きでした。今も大好きです。
だけど、そう言えずに終わった俺の初恋。
またいつか・・・少しはにかんだ笑顔の、こぼれそうに大きな瞳の君に会えるだろうか。。。
好きですと言えずに終わった私の初恋。
またいつか、白い歯がこぼれるキラキラ笑顔のあなたに会えるでしょうか。。。
またいつか・・・
またいつか・・・
「じゃあね、バイバイ」
君はとびっきりの笑顔でそう言うと足早に駈けて行った。
「光!」
「ママ~
私頑張ったよ、泣かずに笑顔でちゃんとさよならしたよ」
「うん、頑張った頑張った、えらいぞ光」
ぐーきゅりゅる。
「やだっ こんなときにお腹の虫が鳴るなんて」
「そりゃあ生きてるんだからお腹は減るわよ(笑)生きてるから泣いたり笑ったり、つまづいたり恋するんだよ」
「うん、なんだかママ、パパみたい」
「そうだね、パパの代返しちゃった(笑) なんか美味しい物でも食べに行こうか、パパ、誠、出ておいで~」
それにしても光太郎って名前、どっかで聞いた記憶があるんだけど思い出せない・・まっいっか。
「終わったか」
「うん」
「大人の階段を一歩上ったな」
「ちょっ そんなふうに言われると照れるだろっ」
「そっか(笑) なんか美味いもんでも食べに行こうか」
「お姉ちゃんは?」
「ダイエットしてるから3人で食べてきてって」
「じゃあ回らない寿司でもいい?」
「いいよ、寿司なら桜子にも土産買えるしな」
「じゃあ、お寿司で決まり~」
それにしても光って名前、どっかで聞いた気がするんだけど、どこだったかな~。
「なに考えてんだよ、最初はウニかイクラかどっちにしようって考えてたんだろう。カッパ巻きにしとけっ ダイエットが必要なのは桜子じゃなくてお母さんだよな、なっ光太郎(笑)」
「どうしていくつになってもあんたは口が悪いのかね~」
「俺から見れば口が悪いのは二人ともだと思うよ、そんだけ仲がいいんだろうけど(笑)」
「息子から言われると妙に照れちゃうね(笑)」
「だな」(照照)
甘酸っぱくもほろ苦かった初恋。けれど温かい家族の優しさに包まれて光ちゃんも、光太郎君も美味しくご飯を頂いたのでした。
* エピローグ *
18年前のバス停・・・
「ちょっと!高校生が煙草吸うんじゃないよ!」
「はあ?」
「ベビーカーに乗ってる赤ちゃんが眼に入らないの!赤ちゃんが煙草の煙吸ったり、火が落ちたら危ないでしょ!」
そのとき1匹のトンボがベビーカーに止まり、それを見て声をあげて笑う赤ちゃん。
「あっ少年!今笑ったでしょ! なーんだ~赤ちゃん見て笑うなんて可愛いじゃん、いきがってるだけでそんなにすれてないのね(笑)」
「いちいちうっせーババアだな、そうだよ、俺はいきがってるだけでそんなに悪かねえよ、けどとことん悪いクズな野郎もいるんだから、そんなデカい腹してヤンキーにいちいち注意するんじゃねえよ、今はよそのガキはほっておいて自分のガキだけ守れよ」
「はい・・・」
バスが来たのでバスに乗る少年。
「なんか逆に注意されちゃいましたね」
「ホント、なんか旦那に怒られた気分だわ」
「旦那さん、怖いんですか~」
「ううん、凄く優しいんだけど私がバカだからよく怒られるの」
「うちもそうです。凄く優しいんだけど、私がアホだからしょっちゅうアホタルって言われてます」
「アホタル?」
「蛍って名前なんです」
「蛍って可愛い名前だね。私は桜、で、この可愛いお嬢ちゃんは今何か月ですか~お名前は?」
「5ヶ月で、光って言います」
「光ちゃんなんだ、この子(お腹の中の子)は光太郎って言うんだよ、光に太郎って書くの」
「わっ 二人とも光って名前がつくんだ」
「ホント奇遇だね~光太郎には年子でお姉ちゃんがいて、お姉ちゃんは桜子っていうの」
「私なんて一人でてんてこまいなのに年子で産むなんて凄いです」
「高齢出産だから早くしないとね(笑)」
なんだかんだと話が弾む二人です。
「あっバスがきたみたい」
「今日は思いがけず楽しかったです、元気に光太郎くん産んでくださいね」
「うん、じゃあまた~」
「またです」
蛍ちゃんて可愛くて面白いな。メルアドくらい聞けばよかったな。
桜さんは山田姐さんとは違う姉御肌で楽しい人だったな、メルアド聞くの忘れたけど縁があればまた何処かで会えるかもね。
18年前にこんな一コマがあったのでした。 fine
ザ・青春! という感じのお話になりましたが楽しんで頂けたなら幸いです。
一言でも感想頂けると嬉しいです(よろぴこ)
「田中~! ナイスバッティング!」
「光太郎、あのときはごめんな、俺がエラーしたばっかりに」
「なに言ってんだよ、あの時勝ってても次の決勝で負けたかもしれねーだろ」
「うん、ありがとな」
「みんな~次も勝つぞ!」
「おう!」
「もしもし光太郎くん、決勝進出おめでとう!」
「ありがとう光ちゃん」
「あのね、私もインターハイ決めたよ」
「凄いや!おめでとう!」
「決勝戦応援に行くね」
「うん」
*
「9回裏常勝明徳学園の攻撃です。熱闘130球一人で投げてきた立花くん、やや疲れが見えてきたか、打たれたヒットと味方のエラーで2アウトながらランナー2塁、3塁、バッターは県屈指のスラッガー土井垣守くん、1打出れば逆転です」
「ボール!」
「2ストライク、3ボール! 遂にフルカウント! 立花くん、振りかぶった~!」
「いけっ 光太郎っ」
「ストライク~! バッター三振! 3アウト! 常勝明徳遂に破れました~ そして星雲東高校初の甲子園出場です!」
「やった・・・」
「ヤッター!甲子園だよ!甲子園! 凜太郎、やっと行けるね甲子園・・・」
「うん」
「凜太郎と私と桜子と光太郎と、家族4人で皆で行こうね」
「うん」
「なにすましんてんだよ、 泣きたいときは泣けっだろっ(笑)」
「うん・・・桜~嬉しいよ~お父ちゃんは嬉しいよ~

「よしよし(微笑)」
「麻衣~」
「光~」
「決めたねっ 甲子園」
「嬉しい、凄く嬉しい、けどこれからうんと忙しくなってなかな会えないね」
「麻衣・・・」
「こないだ遊園地行っておいてよかったね」
「うん」
*
「みんな~スイカ切ったから食べよう」
「はーい」
「うん、美味い。当たりだなこのスイカ」
「ホント美味しい、大当たりだね、このスイカ」
「大当たりといえば(笑)」
「思い出すね(笑)」
「なに? 宝くじでも当てたの?」
「ううん、もっといいもの」
「教えてよ・・・やっぱいいわ、なんかのろけられる気がする」
「当たらずとも遠からずだな(笑)」
「お父さん、大神コーポレーションて知ってる?」
「ああ、大企業だからな」
「そこの社長さんが俺らの試合見て感動したから使ってくださいって、バスを1台寄付してくれたんだ」
「バスを! 金持ちはやることが違うね。 ママ?」
「有難いね~有難くて涙が出るね」
「そうだな(微笑)、沢山の人の善意と思いに支えられての甲子園だってことを忘れちゃいけないな」
「うん、恥ずかしくない試合するよ。でも俺は楽しみますっなんて言わないよ、勝つために行くんだからな」
「かっけー光太郎

「お母さん、この年になってほっぺにキスとか勘弁してよ」
「いいじゃん~」
「そういえば光太郎に手紙来てたよ、綺麗な字・・・高野光」
「見るなよ!」 と言って手紙を掴んで部屋にダッシュです。
「えっなになに彼女なの? えーうっそー」
「光太郎も高2だよ、彼女いて可笑しくないでしょ」
「へぇ~手紙とは今時古風だな、それに字も綺麗とは高感度高しだな」
「ぶつぶつ言ってるのママだけだよ」
*
「初めてのインターハイ、思った以上に緊張して固くなってしまい1回戦で負けてしまいました。光太郎君はリラックスして甲子園楽しんでね。お守り買ったので同封します。怪我には充分に気をつけてね。」
そっかー楽しむという気持ちも大事だな、勝つことばかり考えてたら肩に力が入り過ぎちゃうな。
「ありがとう光ちゃん、甲子園、楽しんで勝ってきます!」
あっ幸太郎くんからのメール
「TV見て応援してます

送信と。 はっどうしよう~調子にのって


「よっしゃー

*
「立花くん、最後のバッターをセカンドゴロに打ち取りました! 星雲東高校初出場にしてベスト8進出です!」
「ヤッター!」
「ベスト8とは凄いな、今やってる仕事、今週中には段取りがつくから来週なら家族旅行兼ねて甲子園行ってもいいぞ」
「ホントに? パパありがとう~

「お姉ちゃん、その為には次の試合勝たなきゃいけないんだよ、次の対戦校知ってるの?」
「何処?」
「春の選抜優勝校の藤宮高校だよ、連覇狙ってるから強いよ」
「そうなんだ・・・」
「じゃあ、来週甲子園に応援に行くから次の試合勝ってねってメールしたらどうだ」
「パパにそんなこと言われたくないし」
「ホタル~また光に冷たい眼で見られたよ~

「余計なこと言うからだよ、パパは黙ってればカッコいんだから、しばらくお姉ちゃんには余計なこと喋らないことだね」
「ホント誠の言う通りだわ(笑)」
*
準々決勝 藤宮高校対雲東高校・・・
「最後のバッター立花くん、打ったー! が、もうひとつ伸びがありません。ライト構えてとってスリーアウト! 春夏連覇を狙う藤宮高校勝ちました。敗れはしたものの初出場ながらベスト8に進んだ星雲東高校、甲子園を沸かせました。エースの立花くん、その眼に涙はありません。笑顔です、爽やかな笑顔です。そしてその眼はまたここ甲子園に戻ってくると力強くそう言っているようです」
「あーあ、負けちゃった~」
「でもいい試合だったね」
「ありがとう~誠」
お姉ちゃんに有難うって言われたの初めてかも(^^;
「けど、いい試合してもやっぱ負けると悔しいんだろうな」
「うん・・・」
「ただいま」
「おかえり光太郎、挨拶まわりやらなんやらで疲れたろ?」
「そうでもないよ・・・」
「光太郎、どうした?」
ポロポロと涙を流しながら・・・
「俺、悔しいよ、悔しくてたまらない。だからもっと強くなる。また甲子園に行って今度は優勝する!」
「うん、頑張れっ 今夜は焼肉だからな、たらふく食え!」
「おうっ」
*
「父の夢叶えた立花光太郎君。立花くんの父親は自社ブランドTACHIBANAを立ち上げたデザイナーとして、またヘアースタイリストとしても有名な立花凜太郎氏であり、その凜太郎氏が果たせなかった甲子園の夢を息子の光太郎君が・・・・・・」
「いい話しなんだけど、こんなふうにプライベートなことまで書かれるのは気の毒だわ」
「そうだな、光太郎君は人気者になり過ぎて、いろいろと窮屈だろうな」
「光も全然会ってないみたい」
「お姉ちゃんもそんな人気者やめて桐野先輩にしとけばいいのに」
「桐野先輩と言えばあのダンスパーティのときの・・・」
「そんな簡単にはいかないのが女心ってやつよ、誠にはわからないだろうけど(笑)」
「僕は・・・当分女はいいやっ」
「ぶっ ぶちょおー! どっどういうこと!」
「おっ 落ち着け(甚平の襟元絞めないでくれ~)誠の場合、モテすぎて女の子がうっとおしいんだろう(^^;」
「練習試合に凄い人だね、ネットに女の子たちが鈴なりだよ」
「甲子園のアイドル、立花くんの人気は凄いわ」
「・・・・・・」
「ごめん光、変な言い方して」
「ううん、気にしてないから」
「練習試合終わったらちょっとだけ山田君に会うんだ、光もおいでよ、ずっと会ってないんでしょ」
「うん!」
「久しぶり光ちゃん、お守りとかメールとか有難う、力になったよ」
「よかった」
話したいことがいっぱいあったのに胸がいっぱいになって何も言えなかった。
「ごめん麻衣、最近追っかけの女の子達が凄くて、殆どは光太郎目当てなんだけど、見つからないうちにもう行くわ」
「いいよ、じゃあまたね~山田くん」
「光ちゃん、またメールするから」
「うん(笑顔)」
「あーあ、ホントに5分だけだったね。私はいいんだよ。じゃがいもの顔した山田くんには追っかけとか殆どいないし(笑)会おうと思えば会えるからね。でも光太郎くんは・・・」
「ありがとう~麻衣、5分だけでも会えて嬉しかった」
「光?」
「私も女の子だったんだな~恋すると涙もろくなるっていうのを今実感してます(笑)」
「よしっ 昨日お小遣いもらったから、女の子な光におごっちゃいます」
「やったー(笑)」
「ただいま・・・」
「おかえり~」
「なんかお姉ちゃん、最近元気ないね」
「そうね」
「光、明日学校休みだよね、ちょっとM市の雑貨屋さんに届けて欲しいものがあるの、ママ明日行けないから頼めるかな」
「いいよ」
「じゃあバイト料出すから、麻衣ちゃん誘ってショッピングでも楽しんできなさいよ」
「うん、ありがとう~ママ」
*
「えっ風邪? いいよ、大事にしてね」
一人で知らない街に来るのもなんかちょっとワクワクして楽しいかも。
あれっあのお店、スポーツ用品かな、なんか古臭いというか雰囲気があるというか、ちょっと覗いてみようかな。
「光ちゃん!」
「光太郎君・・・」
「そっか、お母さんのお使いなんだ。俺はグローブ治しに出してたの取りにきたんだ。あの店のご主人が腕が良くていつも頼むんだよ」
「そうだったんだ」
「でも今日は凄いラッキー、まさか光ちゃんに会えるとは思わなかったよ」
「私も嬉しいです(照)」
「あっ今日ね、この近くの神社で祭りやってるんだって、ちょっと見ていかない?」
「はいっ」
「懐かしいね~金魚すくいに、ヨーヨーすくい」
「あっスマートボール! 私これ得意でした」
「じゃあやろうよ、勝負しよう」
「負けないよ(笑)」
「ホント強いや、ボロ負けだ~(笑)」
「へへ、家族でよく勝負したんだ~」
「うちは金魚すくいかな」
「金魚はにゃんこがいるから駄目なんです」
「どんな猫飼ってるの?」
「飼ってないんだけど、近所の野良猫が遊びにくるんです」
「へぇ~(^^;」
光太郎くんとの他愛無い会話がとても楽しくて、楽しくて・・・
そのとき・・・
「よっ若いもんはいいね~」 ←チンピラ登場です(^^;
「俺ら、遊ぶ金なくてさ、少し貸してくんないかな~」
「行こっ 走るよ」
「あれっこの兄ちゃん、どっかで見たことあるな~あっ甲子園に出てた」
「おっと、逃げるんなら彼女は置いてきな」
「キャッ」 捕まる光ちゃん。
「離せ!」
「駄目! 手を出しちゃ駄目」
「・・・・・」
「痛っ いってー!」
「おまえら、まだこんなくだらないことやってんのか、二人とも俺の可愛い後輩なんだからな」
「きっ桐野・・・さん。桐野さんの後輩とは知らずにとんだ失礼を、申し訳ありませんでした!」
「えっ 逃げんの?」
「ああ見えて空手の有段者で滅茶強いんだよ」
「桐野先輩、ありがとう」
「ありがとうございました。暗くなってきたんで、すみませんが光・・・高野さんを送ってもらえませんか」
「いいよ」
「ありがとうございます」
光太郎君・・・眼を合わさなかった。
「彼、星雲東のエースだろ? 野球にうとい俺でも知ってるよ。何事もなくてよかったよ」
「はい、先輩には以前も危ないところを助けてもらって本当に感謝してます」
感謝か・・・俺は光ちゃんのナイトにはなっても王子様にはなれないのかな。。。
因みに桐野くんは泣かないと決めた日の桐野さんの息子ではなく甥っ子という設定です。
*
「お父さんは、好きな女の子を必死で守ったことある?」
「あったな」
「どうだった?」
「喧嘩なんてしたことないし、コテンパンにやられて、助けた女に笑いながら手当された」
「ひでぇ女だな」 お母さんぽい(^^;
「だろ(笑) なんかあったのか?」
「実は・・・」
「そっか・・・」
「俺一瞬躊躇した。好きな女の子一人守れなかった」
「それは違う、おまえは守ったんだよ」
「えっ?」
「もしお前が怪我したり喧嘩したことで、春の選抜に繋がる秋の大会に出れなくなったりしたら、光ちゃんは一生心に深い傷を負うことになる」
「うん・・・」
「光太郎?」
「俺、初恋だったんだ。 でももう光ちゃんとは会わない。野球に専念するよ」
「自分で決めたんならそれでいい(微笑)」
「うん」
「光ちゃんとは縁があればまた会えるから」
「会えるかな・・・」
「お父さんなんてお母さんと出会って20年経ってから好きだって言ったんだからな」
「20年間ずっとお母さんのこと好きだったの?」
「まさか、その間他の女の子とつきあったり一緒に暮らしたりもしてたし」
息子にはもてたアピールでもいいけど・・・
「へぇ~お母さんのこと思いながら他の女とそういうことしてたんだ」
「桜子! 違うってば、それは誤解だって」
「パパってもっと誠実な人かと思ってた」
「ママは自分に都合のいいシンデレラストーリーを桜子に聞かせているんじゃないのか? パパの話しも聞いてくれよ~桜子~!」
どっちの父親も娘には甘くて弱いらしい(^^;
*
「明日N市に用事があって出かけるから光太郎もおいで」
「えっ N市って・・・」
「男なら男らしく誠実にね」
「うん」
「誠から聞いたんだけど・・・」
「そっか、そんなことがあったのか。」
「大丈夫かな、光」
「光は優しくて賢い子だからちゃんと自分で考えて結論を出すと思うよ、俺たちはただ光を見守っていよう」
「うん」
「ちょっと出かけてくるね」
「行ってらっしゃい、ご飯は?」
「直ぐに帰るから」
「パパ」
「ん? 」
「思いは言葉にしなければ伝わらないんだよね」
「ああ」
「ちょっと嘘つかなきゃいけないんだけどちゃんと伝わるかな」
「相手の眼を真っ直ぐに見て言うんだよ(微笑) そうすれば必ず伝わるから」
「うん、そうする。ありがとうパパ」
頑張れっ光・・・・・
高野家の近所にあるいつもの公園です・・・
「ごめん、ちょっと遅くなったけど大丈夫?」
「うん、ちゃんと番犬がついてきてるから(笑)」
「そっか」
「あのね私、剣道、来年もインターハイに出て一つでも多く勝てるように頑張りたいんだ。それに来年は受験だし勉強も頑張らないと」
その大きな瞳はいつもより透き通って潤んで見えた。
先に言われちゃった・・・ありがとう光ちゃん。
「俺は勉強はからっきしだけど、必ず春の選抜に出て優勝する。お互い頑張ろうな・・・光ちゃんに会えた今年の夏は最高に楽しかった!」
「私も楽しかった! 光太郎君、握手しよう」
俺は思わず右手をズボンでゴシゴシと拭いた。それを見て君は笑いながら右手を差し出す。
初めて握ったその手は白くて小さくて柔らかくて優しかった。
初めて握ったその手は大きくて温かくて優しかった。
光ちゃん、君のことが好きでした。今も大好きです。
だけど、そう言えずに終わった俺の初恋。
またいつか・・・少しはにかんだ笑顔の、こぼれそうに大きな瞳の君に会えるだろうか。。。
好きですと言えずに終わった私の初恋。
またいつか、白い歯がこぼれるキラキラ笑顔のあなたに会えるでしょうか。。。
またいつか・・・
またいつか・・・
「じゃあね、バイバイ」
君はとびっきりの笑顔でそう言うと足早に駈けて行った。
「光!」
「ママ~

「うん、頑張った頑張った、えらいぞ光」
ぐーきゅりゅる。
「やだっ こんなときにお腹の虫が鳴るなんて」
「そりゃあ生きてるんだからお腹は減るわよ(笑)生きてるから泣いたり笑ったり、つまづいたり恋するんだよ」
「うん、なんだかママ、パパみたい」
「そうだね、パパの代返しちゃった(笑) なんか美味しい物でも食べに行こうか、パパ、誠、出ておいで~」
それにしても光太郎って名前、どっかで聞いた記憶があるんだけど思い出せない・・まっいっか。
「終わったか」
「うん」
「大人の階段を一歩上ったな」
「ちょっ そんなふうに言われると照れるだろっ」
「そっか(笑) なんか美味いもんでも食べに行こうか」
「お姉ちゃんは?」
「ダイエットしてるから3人で食べてきてって」
「じゃあ回らない寿司でもいい?」
「いいよ、寿司なら桜子にも土産買えるしな」
「じゃあ、お寿司で決まり~」
それにしても光って名前、どっかで聞いた気がするんだけど、どこだったかな~。
「なに考えてんだよ、最初はウニかイクラかどっちにしようって考えてたんだろう。カッパ巻きにしとけっ ダイエットが必要なのは桜子じゃなくてお母さんだよな、なっ光太郎(笑)」
「どうしていくつになってもあんたは口が悪いのかね~」
「俺から見れば口が悪いのは二人ともだと思うよ、そんだけ仲がいいんだろうけど(笑)」
「息子から言われると妙に照れちゃうね(笑)」
「だな」(照照)
甘酸っぱくもほろ苦かった初恋。けれど温かい家族の優しさに包まれて光ちゃんも、光太郎君も美味しくご飯を頂いたのでした。
* エピローグ *
18年前のバス停・・・
「ちょっと!高校生が煙草吸うんじゃないよ!」
「はあ?」
「ベビーカーに乗ってる赤ちゃんが眼に入らないの!赤ちゃんが煙草の煙吸ったり、火が落ちたら危ないでしょ!」
そのとき1匹のトンボがベビーカーに止まり、それを見て声をあげて笑う赤ちゃん。
「あっ少年!今笑ったでしょ! なーんだ~赤ちゃん見て笑うなんて可愛いじゃん、いきがってるだけでそんなにすれてないのね(笑)」
「いちいちうっせーババアだな、そうだよ、俺はいきがってるだけでそんなに悪かねえよ、けどとことん悪いクズな野郎もいるんだから、そんなデカい腹してヤンキーにいちいち注意するんじゃねえよ、今はよそのガキはほっておいて自分のガキだけ守れよ」
「はい・・・」
バスが来たのでバスに乗る少年。
「なんか逆に注意されちゃいましたね」
「ホント、なんか旦那に怒られた気分だわ」
「旦那さん、怖いんですか~」
「ううん、凄く優しいんだけど私がバカだからよく怒られるの」
「うちもそうです。凄く優しいんだけど、私がアホだからしょっちゅうアホタルって言われてます」
「アホタル?」
「蛍って名前なんです」
「蛍って可愛い名前だね。私は桜、で、この可愛いお嬢ちゃんは今何か月ですか~お名前は?」
「5ヶ月で、光って言います」
「光ちゃんなんだ、この子(お腹の中の子)は光太郎って言うんだよ、光に太郎って書くの」
「わっ 二人とも光って名前がつくんだ」
「ホント奇遇だね~光太郎には年子でお姉ちゃんがいて、お姉ちゃんは桜子っていうの」
「私なんて一人でてんてこまいなのに年子で産むなんて凄いです」
「高齢出産だから早くしないとね(笑)」
なんだかんだと話が弾む二人です。
「あっバスがきたみたい」
「今日は思いがけず楽しかったです、元気に光太郎くん産んでくださいね」
「うん、じゃあまた~」
「またです」
蛍ちゃんて可愛くて面白いな。メルアドくらい聞けばよかったな。
桜さんは山田姐さんとは違う姉御肌で楽しい人だったな、メルアド聞くの忘れたけど縁があればまた何処かで会えるかもね。
18年前にこんな一コマがあったのでした。 fine
ザ・青春! という感じのお話になりましたが楽しんで頂けたなら幸いです。
一言でも感想頂けると嬉しいです(よろぴこ)
↑Web拍手です。コメントも送れます(無記名でもHNでも可です)
素敵な高野家、立花家が目に浮かびます。
で、一つお願いが・・・・ぶちょおと蛍のバカップルぶりは、いっぱいいっぱい読ませていただいているので、パパ、ママになるまでの、ラブラブな凜ちゃんと桜をぜひぜひ、書いて下さい。
今のまりりんさんのブログのテンプレートのように、夏の青空が頭に浮かんできました。
光ちゃんと光太郎君、高校生のスポーツマン同士が今できる事(インターハイ、甲子園で優勝すること)をしっかりと考えて、恋の事をしばらく諦める姿に、とてもジーンとし、大きな拍手を送りたい気分になりました!!
光ちゃんの行動が、随所にホタルちゃんそっくりで、色んな所でクスックスッと笑ってしまいました
「白い歯がこぼれるキラキラ笑顔のあなた」
直人さんそのもので想像しています♪
とても素敵なお話、今回もありがとうございました!!
両家のあったかい雰囲気もすごくいいです!そりゃぁ、どちらの子供達も美形でいい子達ってのは想像できますが、こんなにも生き生きと新しいキャラが書けるって、まりりんさん、やっぱりすごいですーー!!
最近、夏休みで自分の時間もあまりないので、ホタヒカ外伝を読み返して楽しんでいます(^^)
>夢のようなコラボ
わーい、嬉しいです。
ぶちょおはいくつになっても、親父になっても可愛いんだろうなと思います。
高野家、立花家、共に理想の家族ですね。
>パパ、ママになるまでのラブラブな二人。
そのうちに、長編じゃなく短編でちょっと書いてみようかと思います。
しかしこの二人はぶちょおと蛍みたいにバカップルだったり甘いシーンが想像しにくいのは何故でしょうか。
二人とも照れ屋なので、言い合いしてるほうが落ち着くのかな(笑)
>大きな拍手を送りたい気分になりました!!
実に清々しい二人ですよね。
光ちゃんは光太郎くんに野球だけに打ち込んで欲しくて、勿論光太郎君も、光ちゃんのその思いはわかっていて。
いやー青春だわ。直人さんイメージでは、青春ものは書けませんが(^^; メインを子供たちにしたんで、こういう爽やかな話になりました。楽しんでもらえて嬉しいです。
光ちゃんは顔はホタルそっくりで、性格は母親が反面教師になって一応干物女ではないんですが、油断すると干物女の遺伝子が出てくるのです(笑)
楽しんで頂いてよかったです。
いいですよね~青春、インドア派の私にはそんなキラキラの青春はなく(^^; 憧れが形になりました。
>生き生きと新しいキャラが書けるって
二つの家族を書いてたら長編になりましたが、そう言って頂けてとても嬉しいです。
>ホタヒカ外伝を読み返して楽しんでいます。
ありがとうございます。最近外伝へのアクセスが多くて嬉しいです。
どの外伝も、いつも読んだ後
気持ちが、ほっこりして
読んでる私達まで
爽やかな気持ちになります!
そして私事ですが、うちの息子も
過去に野球部で甲子園を目指して
いたので、ちょっと思い出して
しまいました!そうですね!
凛太郎と桜のパパとママに
なる前のお話も期待していいですか?
爽やか過ぎるお話かなと思いましたが(^^; 暑い夏、爽やかな気持ちになって頂けてよかったです。
さっちーさんの息子さんもかつて甲子園を目指していたんですね。
今しか出来ないことに打ち込むのは尊く素敵なことです。
中・高校生がネットに依存するのはちょっと残念ですよね。
期待するほどの話しでもないですが、そのうちちょっろっと書きます(^^;