たしかに、と、永六輔は言っている。生きていること、確かに借りを作ること。確かに借りを作ること、と繰り返して言いたくなる。永六輔を語る番組の中で、黒柳徹子が読み上げた生前のことばだそうだ。記者レビューというコラムに紹介があった。そのタイトルには、借りを返していく、とあるから、そういうことを合点する。生きているということは、その借りを返していくということ。永六輔は大往生を書いて、いろんな人に借りを作ってしまったんだろうなと、得手勝手に思う。いつから借りを返し始めたんだろうかとも、はるか50年も前のことを眺めるように思い出す。若者に語らせようと、ビデオ撮りのなかった時代にテレビ出演をしたときに会ったのがきっかけで、その言葉に思いがこもるのは、テレビ中継を切られて背を向けてさひとこまの生放送だった、とそのあとのモーニングショーを記憶する。信念をもて、真実、信じることを生きた人である。 . . . 本文を読む