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日本遺族通信 平成22年4月15日号 遺書と九段短歌

2010年04月24日 10時40分22秒 | 日本遺族通信


             平成22年4月 靖国神社社頭に掲示された遺書
             岐阜県出身 陸軍少尉 山川 弘至 様 28歳
           昭和20年8月11日 台湾屏東南飛行場にて戦死 合掌

「私が死んだら」 とご家族に宛てた遺書をご紹介させていただきます。
私が死んだら 私は青い草のなかにうづまり こけむしたちひさな石をかづき 青い大空のしづかなくものゆきかひをいつまでもだまってながめてゐやう。
それはかなしくもなくうれしくもなく 何となつかしくたのしいすまひであらう。
白い雲がおとなくながれ 嵐が時にうなって頭上の木々をゆすぶりある朝は名も知らぬ小鳥来てちちとなき、春がくればあかいうら青い芽がふき出して私のあたまのうへの土をもたげ
わたしのかづいてゐる石には 無数の紅の花びらがまふであらう。

そして音もなく私のねむる土にちりうづみ やがて秋がくると枯葉が日毎一面にちりしくだらう。私はそこでたのしくもなくかなしくもなく ぢっと土をかづいてながいねむりに入るだらう。
                (中 略)
ただわたしのひとつのねがひはー ねがはくは 花のもとにて 春死なん そのきさらぎの もち月のころ ー
この素敵な文章が「遺書」でなかったら  と、幾たび思ったことでしょう。
残酷な戦場の中にあってこんなにも冷静に「死」と向かい合っておられたお心に涙が溢れました。とても残念です。 合掌

今号にも全国から鎮魂の歌が寄せられましたので、ご一読頂ければ幸いに存じます。

  父の顔知らずに生きて古稀を過ぎ我が母も逝きて七回忌なり  さいたま市 女性
  元日に世界平和と長生きを祈り願ひし雪空あふぎ         米子市 女性
  父の顔知らぬわれにも父ありき軍服姿の遺影に黙す       十和田市 女性
  父の戦死信じがたかり南方の海は静かにさざ波光る        青森県 女性
  青き空は敗戦の日よみがへるすでに六十四年心離れず       大阪市 女性
  うらさみし父沈む海台湾に思ひもふかく赤き線引く        上田市 女性
  幼から父なき二人が連れ添ひて直(ひた)に働き五十年経つ   南相馬市 男性
  英霊に年の始めのご挨拶またも数へる過ぎし歳月         篠山市 男性
  山茶花の花散る庭に佇ちつくす主みまかりて淋しさは尚     和歌山県 女性
  靖國の妻と呼ばれし人逝けり子等を守りて命繋げる       名古屋市 女性
  捨てかねし亡き戦友の年賀状激動を支へた皆良き友よ       京都市 男性
  靖國の昇殿参拝に歩み行く媼の肩にひとひらの花         千葉市 私

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
コスモスさま (oko)
2010-04-25 10:16:39
お訪ね戴きまして有り難うございます。
「人の波が途切れるのを辛抱強く待ちます」の地蔵院お若葉
チューリップの絨毯も素敵、京扇子のお店にも癒されます。
昔のかまども懐かしく拝見致しました。

この度の「遺書」は詩的な素晴らしい文章に「遺書」でなかったらと
思っておりましたらmatsubaraさま からご紹介を戴きビックリ致しました。
返信する
言葉も無く・・ (コスモス)
2010-04-25 07:57:49
okoさま
 言葉が無くて、何をコメントさせて頂けば
よいのか。
心の中を文字にする難しさ。
いい加減なコメントは出来ませんね。
「私」はokoさまですね。
唯、憤りと悲しさでいっぱいです。
これは「遺書である」のですね・・・
返信する
matsubaraさま (oko)
2010-04-24 23:17:53
先程、貴重なブログを改めて拝見させて戴き、お訪ねしておりましたのに、
気付かずに大変失礼致しました。
本当にビックリいたしましたが、惜しいお方を失った悲しみでいっぱいです。
返信する
徳さんさま (oko)
2010-04-24 23:11:24
お訪ね戴きまして有り難うございます。
お孫様との楽しい演奏風景を拝見させて戴きました。
戦死されたお方はやはりご立派な文学者でいらしたことを知りとても残念です。
返信する
y.konさま (oko)
2010-04-24 23:07:26
お出でいただきまして有り難うございます。
そうなんです、千葉護国神社も同じように掲げております。
お参りをいただきまして有り難うございます。
返信する
お訪ねいただきました皆様へ (oko)
2010-04-24 23:03:21
今晩は。遅くなりました。
本日、町内会の老人会総会に出席のために九段短歌もご紹介出来ないまま
に失礼致しました。
この度の遺書を拝読いたし、なんて素晴らしい文章と思っておりましたが、
ブログの友人のmatsubaraさまのご紹介に立派なお方と伺い、改めてご冥福を
お祈り申し上げております。合掌
返信する
驚きました (matsubara)
2010-04-24 17:00:49
今日の記事には本当に驚きました。
山川氏は私のブログの2009.7.29にupしています。
彼は中河與一と萩原朔太郎に師事した文学者で本も出されています。その本を紹介しました。
もう本は返却して手元にはありませんが・・・
奥様は私と同じ名前です。今も岐阜県郡上市で彼の文学資料館を守っておられます。新聞にも掲載されまた。
返信する
素晴らしい文章 (徳さん)
2010-04-24 14:06:42
これが遺書出なかったら・・。同感です。これを読んで思い出しました。私の弟が(平成10年没)自分の子供たちに私は死んだら石になりたいといっていたそうです。弟の長男から聞きました。この若者の気持ち解る気がします。
返信する
Unknown (y.kon)
2010-04-24 12:20:29
確か千葉護国神社に掲示されているのを拝読し、純真な若者が紅い花が舞う中で死を迎える心境に感動した記憶が再度甦りました。
遺書でなかったら・・・に全く同感です。合掌
返信する

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