不定期連載「最下級グレードの世界」シリーズも細々ながら着実に回を重ねつつあることをうれしく思う。今回は、最下級グレードではないんだけど、最下級グレードとして扱っても差支えないグレードを、「特別篇」という形でお届けしたい。
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このT160型「流面形」セリカには、一見してわかる重大な違和感がある。流面形セリカの外観を特徴づけている、あの3分割大型リアスポイラーが、ない。 それに加えて、ホイールが13インチのスチールだ。それも、こともあろうに後のターセル/コルサ/カローラⅡと同じホイール(!)。
それでは、このグレードは、流面形セリカにおける最下級グレードなのかというと、そうではないのだ。 タネを明かせば、このクルマは下から2番目の「ST」である(写真のクルマをよく見ると、左ハンドルであることにより海外仕様だと知れる。が、話を簡単にするにあたり、今回はそれを無視していただきたい)。
ちなみに、セリカ/カリーナにおいてSTというグレードは実は長い歴史がある。 「高級なエンジンは積んでおらず、装備品も必要十分なものしか与えられていないが、そのクルマのコンセプトが主に外観を中心に十分に反映された中級グレード」という位置付けを一貫して与えられているグレードなのだ。初代から4代目(=この流面形セリカ)まで設定されていた。余談だが、僕の10歳年上の親戚も、カリーナクーペの1.5STに長く乗っていた。
いま、僕の手元に流面形セリカのカタログがあるけれど、それを注意深く見ると、STは実は2種類存在することがわかる。単なる「ST」と、「STスポーツパッケージ」の2つである。そして、カタログに写真付きで紹介されているのは「STスポーツパッケージ」のほうだ。単なる「ST」が存在することは、巻末の諸元表を見ないとわからないような仕組みになっている。その意味で、今回写真に掲げた単なる「ST」は、流面形セリカの表舞台に出てこなかった裏グレードととらえることもできる。
ちなみに、「STスポーツパッケージ」の中身は、単なるSTに対して、フルホイールキャップ、3分割大型リアスポイラー、リアウインドゥワイパー、ハロゲンヘッドランプが加わる、となっている。
なぜ僕がこのクルマを取り上げる気になったかというと、ひとことで言って、大型リアスポイラーの無い、スチールホイール(しかも13インチの弱々しいやつ)を履いた流面形セリカの魅力を世の中に知ってもらいたいと思ったからにほかならない。 それでは、その魅力とはなにか?というと、それはきわめて高度にバランスしたエクステリアデザインだと答えたい。 僕は流面形セリカの外観は、当時の日本車の中ではナンバーワンのデザインだと思っている一人だけれど、この写真のセリカは、リアスポイラーやアルミホイールといった化粧を取り除かれることによって、その秀逸なデザインが際立つ結果となっている。
また、流面形セリカといえば大半の人が、純正アルミを履いた「白の2.0GT-R」を想起すると思うが、このSTのようなグレードも流面形セリカには存在したことを広く知ってもらいたいという、義務感にも似た気持ちにとりつかれたからでもある。
僕は流面形セリカが好きで好きで、流面形セリカに関する様々な情報を集めてきたけれど、さすがにスポーツパッケージなしの単なる「ST」を街で見かけたことはほとんどない。一度だけ、あれは1991年の秋ごろだったと思うけれど、千葉県八千代市の国道16号沿いを自転車で走っているときに目撃しただけだ。けれど、当時は自分の中で流面形セリカの存在感が今ほど大きくなかったために、そのときはスルーしてしまったという経緯がある。
おそらく、3分割リアスポイラーなしの、スチールホイールド・流面形セリカを紹介しているサイトは相当に限定されるのではないだろうか。そうだったらわざわざ写真を掲げるかいがあるというものだ。
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このT160型「流面形」セリカには、一見してわかる重大な違和感がある。流面形セリカの外観を特徴づけている、あの3分割大型リアスポイラーが、ない。 それに加えて、ホイールが13インチのスチールだ。それも、こともあろうに後のターセル/コルサ/カローラⅡと同じホイール(!)。
それでは、このグレードは、流面形セリカにおける最下級グレードなのかというと、そうではないのだ。 タネを明かせば、このクルマは下から2番目の「ST」である(写真のクルマをよく見ると、左ハンドルであることにより海外仕様だと知れる。が、話を簡単にするにあたり、今回はそれを無視していただきたい)。
ちなみに、セリカ/カリーナにおいてSTというグレードは実は長い歴史がある。 「高級なエンジンは積んでおらず、装備品も必要十分なものしか与えられていないが、そのクルマのコンセプトが主に外観を中心に十分に反映された中級グレード」という位置付けを一貫して与えられているグレードなのだ。初代から4代目(=この流面形セリカ)まで設定されていた。余談だが、僕の10歳年上の親戚も、カリーナクーペの1.5STに長く乗っていた。
いま、僕の手元に流面形セリカのカタログがあるけれど、それを注意深く見ると、STは実は2種類存在することがわかる。単なる「ST」と、「STスポーツパッケージ」の2つである。そして、カタログに写真付きで紹介されているのは「STスポーツパッケージ」のほうだ。単なる「ST」が存在することは、巻末の諸元表を見ないとわからないような仕組みになっている。その意味で、今回写真に掲げた単なる「ST」は、流面形セリカの表舞台に出てこなかった裏グレードととらえることもできる。
ちなみに、「STスポーツパッケージ」の中身は、単なるSTに対して、フルホイールキャップ、3分割大型リアスポイラー、リアウインドゥワイパー、ハロゲンヘッドランプが加わる、となっている。
なぜ僕がこのクルマを取り上げる気になったかというと、ひとことで言って、大型リアスポイラーの無い、スチールホイール(しかも13インチの弱々しいやつ)を履いた流面形セリカの魅力を世の中に知ってもらいたいと思ったからにほかならない。 それでは、その魅力とはなにか?というと、それはきわめて高度にバランスしたエクステリアデザインだと答えたい。 僕は流面形セリカの外観は、当時の日本車の中ではナンバーワンのデザインだと思っている一人だけれど、この写真のセリカは、リアスポイラーやアルミホイールといった化粧を取り除かれることによって、その秀逸なデザインが際立つ結果となっている。
また、流面形セリカといえば大半の人が、純正アルミを履いた「白の2.0GT-R」を想起すると思うが、このSTのようなグレードも流面形セリカには存在したことを広く知ってもらいたいという、義務感にも似た気持ちにとりつかれたからでもある。
僕は流面形セリカが好きで好きで、流面形セリカに関する様々な情報を集めてきたけれど、さすがにスポーツパッケージなしの単なる「ST」を街で見かけたことはほとんどない。一度だけ、あれは1991年の秋ごろだったと思うけれど、千葉県八千代市の国道16号沿いを自転車で走っているときに目撃しただけだ。けれど、当時は自分の中で流面形セリカの存在感が今ほど大きくなかったために、そのときはスルーしてしまったという経緯がある。
おそらく、3分割リアスポイラーなしの、スチールホイールド・流面形セリカを紹介しているサイトは相当に限定されるのではないだろうか。そうだったらわざわざ写真を掲げるかいがあるというものだ。