改正労働契約法が7月1日より施行されます。この改正で最も大きな話題となったのは派遣従業員の定義が明確になり、明確になりすぎたがゆえに派遣という形式を使いづらくなるのではないかところにあります。あらためて復習しますと、明確になった内容というのは派遣というのは臨時的、補助的、代替的な業務で行われるべきものであるということです。それぞれの定義は次の通りになります。
臨時的 |
継続期間が6 ヶ月を超えない職位 |
補助的 |
主要業務を行う職位にサービスを提供する非主要業務の職位 |
代替的 |
使用単位の労働者が職場を離れて研修したり、休暇を取得する等の理由で勤務できない一定期間において、他の労働者が代替可能な業務を行う職位 |
次に、派遣の形式で問題となっているのは「逆向派遣」と呼ばれる形態です。これは使用会社がすでに労働者と事実上の労働関係を構築し、しかし使用会社は労働者と労働契約を締結せず、労務派遣会社を探して労働者と労務派遣契約を締結し、労働者は派遣従業員の名義で使用会社で勤務することを指します。フェスコや中智のような人材派遣会社を経由するパターンがこれですね。非常によくみられるパターンです。しかし、これは厳密には違反だという見方があります。中国では労働契約が基本で、あくまで労務派遣は補充的な形式にすぎず、臨時的、補助的、代替的な業務でのみ適用されるべきという考え方からです。そして、それを判断する基準として以下の三点があげられています。
1.労働者が労務派遣会社と契約を締結する前に、既に使用単位で勤務していたか否か。 2.労働者と労務派遣会社が自由意志であるか否か、使用単位の強制を受けたか否か。 3.労務派遣の職位が臨時的、補助的、代替的に当てはまるか否か。 |
労働契約法の条文を厳しく解釈するともう派遣形式はほとんど使えなくなるなあと感じる人が多いでしょうし、私もそう思います。今のところまだスタートしているわけではなく、7月1日から施行されてからどのように運用されるか様子を見ていこうという人が多いでしょう。
派遣形式が使いづらくなることに対してどのようにリスクヘッジばかりを考えているところが多いのではないかと思いますが、そんな小手先のことでなく、労働契約法をのものを受け入れて、それに基づいて会社としての人事制度・労務管理を行うのが本来あるべき姿ではないかと思います。