呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

女性向け会員制書店

2013年04月03日 | 日記

 中国の小売業で成長率鈍化、様々なコスト上昇により経営状況がしんどくなってきている等の話が聞こえてくるようになってきていますが、書店の売り上げも苦しい状況にあり、ネット購入、電子書籍、賃料上昇、人件費上昇等の影響を受け、経営状況は日に日に苦しくなってきています。こんな状況において、女性向け会員制書店の「雨楓書店」というところが売り上げを伸ばしています。

 

 

 

 

 

 雨楓書店は2007年にオープンし、現在5店舗を運営しています。書店内の書籍はは大きく、(1)女性が書いた書籍、(2)女性が読む必要のある書籍、(3)女性向けの書籍、の3つに分かれており、歴史、経済、管理、哲学、宗教から美容、料理、化粧等の女性生活に関係する分野のものが置かれています。冒頭にも書きましたが、この書店の特徴は会員制である点です。会員になるには会費を納める必要があり、これにより新書、古本を借りて読むことができ、借りて帰ってもよし、書店内で読んでもよしというルールになっており、もちろん購入することもできます。書店と図書館が混じったような感じですね。ちなみに年会費は1000元前後で、会員は既に3000人います。年会費1000元は決して安くないと思います。1000減というお金があれば地元のドローカルのスポーツジムの年間会員になることはできるくらいの水準です。ちなみに私が今キックボクシングの練習をしているスポーツジムは年間会員のキャンペーン価格は960元でした。

 

 会員活動として会員は選書委員会なるものに加入することができ、定期的に書籍を推薦することができ、この推薦に基づいて書店は仕入れを行います。このほか、定期的に試読活動なるものに参加することができ、会員であることからこの活動には無料で参加できるのですが、読み終わった後には書評を書く必要があります。また、書店から書籍を借りた後に等級をつける必要があり、これに基づいて書店は、良い本、一般的な本、面白くない本と三つに等級分けし、面白くないと評価されてしまった書籍は書店から消えてしまいます。会員の意向が書店の仕入れに影響を与えることができるというわけです。なかなかユニークな試みですね。

 

 以上の他にも、新書推薦界、作者サイン会、読者読書会、文芸映画鑑賞会、ハイキング等の活動があり、こうした活動は毎週のように行われます。活動内容によっては無料にものもあれば数十元徴収するのもありますが、書店のファンの集まりみたいなものでしょうかね。

 

 なかなか面白いというか斬新な試みといえると思いますが、このようなコンセプト、ビジネスモデルで経営が成り立つというのが正直意外です。とはいうものの、2007年に開業して今までやってきているということはそこそこうまく経営できているのでしょう。中国の本屋では立ち読みならぬ地べたへ座り込んで座り読みしているような人も少なくありません。こんな人からするとカネを払って会員制なんてとんでもないということでしょうが、こういう人たちでいっぱいの書店が嫌だと感じる人には会員制というのは受け入れられるのでしょう、それも女性向けですし。とはいうものの、会員になるのはよっぽど本が好きな人たちに限られるのではないかと思います。イベントが多いのでひょっとして本好きであまり友人のいないタイプの人が多いのでしょうか。今のところ5店舗(うち4店舗が北京)という規模なので、全国的な知名度はまだまだであり、これが現在一番のウイークポイントと言われています。

 

 正直自分でやってみようと思えるようなコンセプトではないのですが、こういうビジネスモデルもありなんですねえ。私はこのような書店の会員になろうという気は起らないのですが、女性にとってはこういう書店って魅力を感じますか?


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