呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国ワイン市場に投資チャンスあり

2013年02月11日 | 日記

 私が中国ビジネスに携わるようになってから10年以上になりますが、その間に何度も中国不動産バブルがついに崩壊かといわれてきました。実際には不動産価格が高騰し、それに対応するための通達が公布され、それによっていったんは落ち着きを見せ、忘れたころにはまた不動産価格が上昇するという繰り返しのように思います。局地的に違いはみられるものの、大きな流れとしては決して落ち込んでいるわけでもなく、高級物件はむしろ取扱高が増えているくらいです。このように、不動産バブルの着地というのがななかな読めない中で、バブル的な動きを見せていたあるものが、終焉を迎えつつあります。それはワインです。

 

 カリュアド・ド・ラフィットというフランスワインがあります。

 

 

 カリュアド・ド・ラフィット

 

 2004年には700元(約1万円)だったのが、2011年初頭には8000元にまで値上がりしたものの、2012年末には4000元にまで下落しました。ちなみに日本のネット通販サイトで同ワインの価格を見たところ、年代にもよりますがおおむね5-6万円程度なので、ほぼ日本と同じ価格帯に落ち着いてきたといえます。その理由の一つとして偽物が蔓延したことが挙げられます。カリュアド・ド・ラフィットのマスターブランドにシャトーラフィットロートシルトというものがあるのですが、年産24万本にすぎないにもかかわらず、中国で200万本売られたという事件が起き、それ以来ディーラーも仕入れを行うことを手控え、消費者も買おうとしなくなりました。もっとも、そもそもがバブル気味だったので、価格が正常化の方向に向かっているだけともいえます。これと同時に、アメリカ、オーストラリア等の新興生産地の合理的な価格帯のワインが受けいれられるようになってきています。

 

 

 シャトーラフィットロートシルト

 

 そもそも中国の輸入ワインは大きく二つに分かれており、前述のラフィットのような高級ワインとローエンドのものとに分かれています。その裏側には消費者のワインに対する認知不足があるといわれており、認知度が高まるとともに中級レベルのワインが受け入れられるようになってきています。ここ最近で最も売れ筋の輸入ワインの価格帯は100~300元あたりの中級ワインで、高級ワインの売れ行きは大幅に落ち込んできています。販売量自体は減っていないものの、販売金額が下落していることからも高級ワインの販売の落ち込みがうかがえます。

 

 日本のワイン消費量は過去10数年においてほとんど変化していない中で中国のワイン消費量は世界第5位と既に上位に位置しています。今後も毎年25~30%、輸入ワインについては50%増加し、2016年には世界第3位、消費規模で167億米ドルに達することが予想されており、非常に魅力的なあるマーケットだといえます。ワイン市場が成熟している欧米における販売チャネルはスーパーや百貨店内の店舗、ホテル、専門店が各々3分の1ずつ占めているのですが、中国においてはワインの専門店の規模もそれほど多くなく、全国展開しているところもありません。中国の代表的な酒類として茅台酒を代表とする白酒や紹興酒を代表とする黄酒等があるが、これらはブランド力が強すぎて、販売店側がコントロールすることが難しいようです。これと違いワインの場合は中国で強い影響力をもつブランドは今のところは少なく販売店側のオペレーションも相対的に容易と思われること、リーズナブルな価格のワインが浸透してきていること、上述のように消費量の増加も見込まれることから、ワイン販売分野への投資に熱い視線が注がれ始めています。


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