呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

会員制&24時間無料配達&無条件返品可能の薬局

2011年05月13日 | 日記

 2010年の中国薬局チェーントップ100の売上高は合計で655.8億元(約8200億円)で、前年比7.65%の増加でした。ただし、これは中国の薬品市場全体の成長率21.9と比べると全然少ないです。ということで、薬局は今後どうして行けばいいのだろうかという記事がちらほらと見られるようになって来ました。そこで今日は河北新興薬房連鎖有限公司という薬局会社を紹介します。

 

 

 

 この薬局は河北省石家庄に本社があり、河北省や北京に店舗を多く構えています。写真を見る限りではあまりぱっとしませんが、2010年に3.1億元を売り上げており、これは薬局チェーンランキングで52位になります。店舗数は約120店舗で、医療保険の適用対象となってます。河北省の衛生部門の規定によりますと、医療保険の適用を受ける薬局は非医薬品を売ることはできません。薬局における非薬品の販売比率が高まっているのがここ最近の動向ですが、これとは逆の動きをしているということになります。このような中で3.1億元の売り上げているのですが、このうち70-80%が会員向けの販売です。私も近所の薬局で薬を買うことがありますが、やはり会員カードを持っています。これをもっていると薬品によっては割引を受けることができたり、ポイントをためたりすることができます。それと同じような感じですね。新興薬房の会員数は55万人で、そのうち90%が石家庄市の人です。

 

 新興薬房は会員数を増やすのが得意だといわれており、新店舗を開くにあたり同社のトップは店長に対して2000枚の名刺を交換すること、1000名の会員を登録することを要求し、こういった取り組みを通じて回転10週間以内で5000名の会員登録にこぎつけるそうです。このノルマ結構厳しそうですね。会員が大いに越したことはないのですが、会員になってもらうだけでは意味がありません。ビビッドな会員になってもらうためにはやはりサービス面をおろそかにできません。ということで、はじめたのが24時間無料配達サービスです。これ以外には、無条件返品サービスというのもはじめました。一般的に、薬をいったんあけてしまった場合、返品できないというイメージがありますが、同社ではこれを受け付けるのです。あけてしまってやっぱり買わないとなった場合、あけられてしまった薬品はもう売り物になりません。ところが「そんなの関係ねえ!」そうです。この15年間で何百回も薬のパッケージを開けられてきたものの、実際にその場でいらないといわれたのはたったの2件しかなかったそうです。そんなものなんですかねえ。よく中国で家電製品を買うときなんかは実際に製品が動くのを確認してから持って買えるというようなことをやっていますが、それを応用したものでしょう。でも薬なんて見た目でわからないし、機械みたいに確認することができないし、そういう観点からは意味がないのでしょうが、顧客アピールにはつながっているようです。

 

 このほかの取り組みとしては、会員との緊密な連絡です。連絡といってもSMSを送ったりといった程度ですが、2年間購入記録がなければ自動削除されるというような管理をちゃんと行っており、また季節の挨拶なんかも送っているようです。なんかデキる車のセールスマンみたいですね。

 

 まだまだ中国ではサービスレベルが低いのが一般的です。温厚な私は4年に一回しか怒らないといわれていますが、さすがに店員の対応にかっとくることもたまにあります。でも一部ではびっくりするくらいのサービスを提供するようなところも出始めてきています。一部ですけどね。一般レベルではまだまだだと思いますので。サービスというソフト面で差別化を図っていこうと考えている日系企業も多いですし、それで差別化できているケースも多いと思いますが、突然変異的にサービスレベルの高い地場の競争相手が出てくることは意識しておく必要があるでしょうね。


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