呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国の外資損保、東京海上が利益トップ

2015年05月14日 | 日記

 中国にも外資の保険会社が進出していまして、生命保険もあれば損害保険もあります。日系で言えば損害保険のほうのイメージが強くて、東京海上、三井住友海上、損保ジャパン日本興亜あたりの営業を受けた人も多いのではないでしょうか。

 

 さて、2015年第1四半期の外資生命保険の市場シェアは5.3%と決して大きくありませんが、これでも前年比+77.4%です。2012年から2014年までの市場シェアを見ますと、3.3%、4.2%、3.7%、そして伸び率は2012年こそ▲2.74%でしたが、2013年は+31%、2014年は+28.6%と増加傾向にあることがわかります。

 次に、損害保険を見ていきいます。2015年第1四半期の外資損害保険の市場シェアは生命保険の半分以下である1.94%、これでも前年比+94.87%です。2012年から2014年までの推移を見ますと、市場シェアはそれぞれ1.16%、1.05%、1.13%、伸び率が24.2%、5.76%、25.6%なので、シェアが小さいのを横においておきますとまずまずの成長率といえます。

 

 外資損保の伸びは自動車保険、特に自賠責の外資への開放による部分が大きいといわれていますが、それでも中国全体で見ればまだまだこの程度です。2014年の損害保険会社68社のうち、年度報告が発表されているのが62社か、そのうち利益計上できているのが41社、つまり21社が赤字です。この21社のうちなんと13社が外資です。利益トップ20の中に外資企業は一社もありません。利益を上げているところといってもぎりぎり利益が出ているところが多いようです。

 

 利益を計上し続けている30社のうち、外資はロイズ、韓国LIG、東京海上、三井住友海上、伊Genelari、AXA、サムスン等の7社で、この中で利益が最も大きいのが東京海上の4816万元(約9.6億円)です。逆に、損失を計上し続けている16社の損害保険会社のうち10社は外資で、このなかで損失の最も大きいのが米リバティミューチュアル(▲1.76億元)、独アリアンツ(▲1.5億元)、台湾富邦(▲1.2億元)となtっています。下表は22社の外資損保の損益計上額です。上にも紹介しましたが、日系だと東京海上と三井住友海上が利益を計上しており、損保ジャパン(日本財産+日本興亜)も合併後だとプラスですね。日系は自賠責の認可を第一陣で取得できなかったことを考えれば外資の中ではなかなか検討しているのではないでしょうか。

 

 

 日本だと外資保険会社の存在感はかなり大きいように思います。実際にインターネット経由で外資保険会社と契約している人も多いのではないかと思います。中国の場合は金融分野の開放が遅かったこと、その間にただでさえ規模の大きかった中国の国有系保険会社がマンモス化したこと、それらの要因もあってなかなかシェアを大きくできていません。しかし、第1四半期の状況を見る限りでは母数が小さいこともあるのでしょうが伸び率も大きく、シェアも増やしてきています。日本のように外資保険会社が身近な当り前な存在になるのはそう遠くないでしょうと言いたいところですが、今のシェアを見る限りではまだまだ時間がかかりそうですね。