呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

楽曲版権費の行き先は闇の中~その2

2009年05月13日 | 未分類
  8000万元の流れについて更に調査を続けていくと、その内訳が次のようになっていることがわかった。

    ① 音楽著作権協会40%(3200万元)
    ② 中国音像集体管理協会及びその授権を受けた天合公司30%(2400万元)
    ③ 歌手が所属する各レコード会社30%(2400万元)

  つまり、企業が納付した8000万元の版権使用費用は、まず40%(3200万元)を音楽著作権協会に差し引かれ、これを源資として作詞作曲者に渡し、残り4800万元の50%の2400万元を中国音像集体管理協会及びその授権を受けた天合公司の管理費用として差し引かれ、最後に残った2400万元を歌手が所属する各レコード会社への分配に用いられるというスキームだ。また、中国音像集体管理協会は2年来に亘って8000万元の版権費を主管してきたが、具体的なこの費用の回収及び管理を担当しているのは天合という会社だ。「天合は銀行と同じようなもので、水・電気代の回収のようなものだ。」と天合文化集団公司公共事務部総経理楊立順は言う。また、天合文化集団副総裁冯全甫は「我々は協会のためにサービスを行い、その対価として一定の費用を受け取っているが、これは双方が協議した結果でありが、我々はその具体的な内容を漏らすわけには行かない」と言っている。

  一部のレコード会社からは管理者の収入比率が高すぎるとの声が上がっている。これに対して中国音像集体管理協会の馮全甫は「中国音像集体管理協会が受け取る管理費が高いというならば自分で受け取りに行けばいい!」と言う。おおおおお、開き直ってますよおおお!

  このような状況に対して、版権管理機構は中国音像集体管理協会のやり方は妥当性にかけると考えており、国家版権局版権管理司王自强司長は記者の取材に対して、集体管理組織はひとつの非営利性機構にすぎないという観点から、第三者が現れることに対して疑問を持っているようだ。

  《著作権集体管理条例》第二十八条では「著作権集団管理組織は受け取る使用費から一定比率を管理費用として、その正常な業務活動の維持に用いることができる。著作権集体管理組織が受け取る管理費用の比率は使用費収入の増加に応じて次第に引き下げなければならない。」。そして、第二十九条では更に明確に、「管理費を受け取った後、全てを権利者に振り替えなければならない」と示している。

  本件に関しては連日のように報道されているので、この続きはまた今度紹介したいと思う。