ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第86巻-1禿鷲伝説

2007-07-30 23:48:21 | 第086巻~第090巻

■禿鷲伝説(第293話) 発表1989年2月

評価   ★★★★★

依頼人  保守党の長老 黒井信介

ターゲット 元KGB特別局の暗殺者イワン・マルコビッチ・コズロフ

報酬     不明

今回弾丸発射数      4/ 通算弾丸発射数 1,628

今回殺害人数        2/ 通算殺害人数   3,791

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    92

<ストーリー>
ゴルゴは日本陸軍特務機関”卍”の1級暗殺者「東堂征一郎」大尉の息子「東堂高志」なのか?ルーツもの第8弾!

<東堂高志の一言>
俺の背後に忍び寄るのはよせ・・・嫌いなんだ・・・

<解説>
『日本人・東研作』(第14巻-1)『芹沢家殺人事件』(第27巻-1)『おろしや間諜伝説』(第36巻-1)、『蒼狼漂う果て』(第41巻-1)『毛沢東の遺言』(第51巻-1)『河豚の季節』(第57巻-1)『すべて人民のもの』(第81巻-1)に続く、ゴルゴ出生の謎に迫る「ルーツもの」第8弾。

ソ連はペレストロイカ(改革)の一環で、グラスノスチ(情報公開)を進めていた。KGBは過去に為されたゴルゴへの殺人依頼が表沙汰になることを恐れ、ゴルゴの殺害を企てる。同時にゴルゴの過去を発表し、KGBの情報収集能力を高さをアピールする作戦に出る。元KGB特別局の暗殺者「イワン・マルコビッチ・コズロフ」はKGB本部より命を受け、ゴルゴの過去を探り、ゴルゴの殺害に執念を燃やす。

コズロフは東京→神戸→香港→ロサンゼルスと移動、ゴルゴ=「東堂高志」説を追う。しかし、「東堂高志」がベトナムで殺されていたことを知った直後、ゴルゴにより殺害される。

[東堂高志プロフィール]
1940年頃  父・陸軍特務機関”卍”「東堂征一郎」大尉、小学校教員の母の間に出生
1945年8月 旧満州黒竜江省でソ連兵に襲われ、姉を面前で犯される。直後、ソ連兵を射殺。 
        その後、旧北満州・ペイアン高原で中国人「馬天明」に育てられ中国拳法を教わる。
        中国名は「馬禿鷲」。
1955年頃  毛沢東の解放軍4名を殺害、ペイアン高原を去る。
1960年頃  黒河北方で毛沢東軍と闘う”黒竜団”の頭目「雷学両」に見込まれ、射撃術を学ぶ。
1965年頃  黒竜団を離れ、北ベトナムへ。「ヨン・リー・バンミン」を名乗る。
1968年   ベトナム人兵士「グエン・フン・ロウ」と出会う。米軍前線管制官を100名以上狙撃。
        その後、グエンの裏切りに合い、背後から撃たれて死亡。
※東堂高志 通算弾丸発射数108/通算殺害数106/通算まぐわい回数0

ゴルゴは第85巻-4『14Kの謎』に登場する保守党長老「黒井信介」から、コズロフ殺害の依頼を受けていたのだ。コズロフが東堂征一郎・高志を探っていることを知った黒井は、満州に残されたとされる旧日本軍の「Z資金」をソ連が探っていると誤解し、ゴルゴにコズロフ殺害を依頼したのであった。

ゴルゴは「東堂高志」なのだろうか?当総合研究所では、その可能性は低いと考える。
まずは、グエンが高志を殺したという具体的証言が決定的だ。グエンの持つ高志の最期の写真には背中しか写っておらず、高志死亡の決定的証拠にはならないが、グエンが懸賞金をもらいアメリカへ亡命したとすれば、当然アメリカ側は高志の死亡を確認したはずである。高志=ゴルゴで、高志が生き延びていたのだとしたら、真っ先にグエンに復讐に行っているだろう。また、高志が1965年以降北ベトナムで戦闘に従事していたのであれば、ゴルゴが関与した最も古い1965年の事件(『ビッグ・セイフ作戦』『60日間の空白への再会』)と合致せず、東堂高志=ゴルゴを否定する材料となる。

とはいえ、陸軍特務部隊”卍”幹部の血を引く中国残留孤児が、中国拳法を身につけてスナイパーへと成長するストーリーは、ゴルゴの出生の秘密としてはいかにもありそうで、本作の価値は非常に高い。また、終戦間際の秘密財宝「Z資金」とからめた歴史ミステリーの色彩を帯びているも痛快だ。

その「Z資金」を語る保守党長老「黒井信介」は、第85巻-4『14Kの謎』に登場する。実際の発表順は本作『禿鷲伝説』→『14Kの謎』であり、この2作を通じて初めて「黒井信介」の正体が判明する。満州のダイヤモンド、特務機関、政界への影響力などを考えるとこの黒井信介のモデルは児玉誉士夫か?とすると、本作にも登場し『14Kの謎』でゴルゴに戦いを挑む「ヨシオ」というのは児玉誉士夫にかけたネーミングなのだろうか・・・。児玉誉士夫については『黒幕―昭和闇の支配者』が詳しい。

蛇足ながらもう一点。本作でゴルゴは大型ウイングのついたフェラーリに乗っている。コズロフの車に平行して走っているときは明らかに右座席にハンドルがついている。しかし、ゴルゴがフェラーリから降りるときは左座席から降りている。このフェラーリ、左右どちらにハンドルがついているのだろう・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (86) 巻掲載
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