ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第81巻-1すべて人民のもの

2007-07-07 23:46:59 | 第081巻~第085巻

■すべて人民のもの(第277話) 発表1988年5月

評価   ★★★★★

依頼人  KGB

ターゲット ニコライ・シュヴァイツェル陸軍大佐(本名ニコライ・セルゲヴィチ・ロマノフ)

報酬    不明

今回弾丸発射数      1/ 通算弾丸発射数 1,583

今回殺害人数        1/ 通算殺害人数   3,734

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    91

<ストーリー>
ロマノフ王朝ニコライ二世の相続人がスイス・プライベートバンクに現れ遺産の引き出しを要求。相続人を巡りゴルゴの過去が明らかになる!?ゴルゴはロマノフ王朝の末裔なのか?ルーツもの第7弾・・・

<この一言>
・・・

<解説>
『日本人・東研作』(第14巻-1)『芹沢家殺人事件』(第27巻-1)『おろしや間諜伝説』(第36巻-1)『蒼狼漂う果て』(第41巻-1)『毛沢東の遺言』(第51巻-1)河豚の季節』(第57巻-1)に続く、ゴルゴ出生の謎に迫る「ルーツもの」第7弾。

スイス・プライベートバンク”ヒューラー商会”にロマノフ王朝最後の皇帝ニコライ二世の相続人が現れる。ニコライ・シュヴァイツェル・ソ連陸軍大佐は、本名「ニコライ・セルゲヴィチ・ロマノフ」でニコライ二世の孫であること、正規の相続人の証であるロマノフ王朝のメダルの右半分を持ち、合い言葉である口座番号『ゴーゴリ1912』を告げたことから正規の相続人と思われた。しかし、世界の富の10分の1を占めるとも言われるロマノフ王朝の資産がソ連に渡るとなると、東西のパワーバランスが崩れることを懸念したヒューラー商会は、『フェイス』に「もう一人の相続人」を探すよう依頼する。「もう一人の相続人」もメダルの右半分を持っているという。

ニコライ二世には4人の皇女がいたというのが通説であるが、フェイスは5人目の皇女「ドーラ」の存在を突き止める。ドーラにはロシア人の夫との間にもうけた「ニコライ・セルゲヴィチ・ロマノフ(ニコライ・シュヴァイツェル)」と、日本人『東郷麟三』との間にもうけた『グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ』の二人の子供がいた。つまり、ニコライ二世→娘「ドーラ」→孫「ニコライ・シュヴァイツェル」「グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ」の系図となり、ニコライ2世の相続人はドーラの二人の息子ということになる。一方、ドーラはニコライ二世と皇后の間の子とされているが、実はラスプーチンと皇后の間にもうけられたのではないかとの説も浮上する。

KGBはシュヴァイツェル大佐がニコライ二世の財産を相続した後、クーデターを企てていた事を突き止め、ゴルゴにシュヴァイツェルの殺害を依頼する。

フィエスは調査の結果、「グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ」と第四皇女「アナスタシア」が6年前に再会し、皇士はアナスタシアからメダルを手渡されたことを確認する。相続口座の「ゴーゴリ」のロシア語表記をアルファベットに置き換え、並べ替えると「ゴルゴ」になること、また、皇士の過去が現在のゴルゴに繋がることから、フェイスは「グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ」はゴルゴであるとの推理を打ち立てる。遂にフェイスはドーラに接触し、ゴルゴの写真を示して、皇士がゴルゴであるか否かを問うが、明確な回答を得ることができずに終わる。

直後、シュヴァイツェルは自分を捨てた母親ドーラの殺害を試みるが、ゴルゴの気配を察知し、森の中へ逃げ込む。しかし、シュヴァイツェルの動きを読んだゴルゴは、不可視射撃でシュヴァイツェルを仕留める。グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフの得意技は動物の動きを読んで狙撃する「よみ撃ち」であった・・・。

[グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ  プロフィール]
1949年  父「東郷麟三」、母ニコライ二世の娘「ドーラ」の間に出生
1952年  父「東郷麟三」がモスクワへ出向き、皇士と別れる
1953年  皇士もモスクワへ。その後、父の遺体をラスプーチンの故郷ポクロフスコ村へ運ぶ
1982年  皇士、ドーラの姉「アナスタシア」と会い、ロマノフ家のメダルをもらう

※グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ 通算弾丸発射数2/通算殺害数1/通算まぐわい回数0

ゴルゴはグレゴリー・皇士・東郷=ロマノフなのだろうか?
当ゴルゴ13総合研究所では、ゴルゴ=グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ説の可能性は高いのではないかと考える。ラスプーチンの血を引くというところが、いかにもな印象を与える。また、皇士=ゴルゴとすれば、ゴルゴとシュバイツェルは異父兄弟となる。シュヴァイツェルが超能力のような眼力を使っているが、ゴルゴもある種のエスパーであり、「血は争えない」の格言通りである。さらに、ドーラが皇士を評して「皇士はやさしい子で、そのままでは生きていけない人間です。今生きているとすれば、・・・感情のすべてを破壊され・・・機械のようになっているでしょう」と語っている。時折見せるゴルゴの男気と、パーフェクト・マシーン・ゴルゴの両方を言い当てているではないか。
しかし、ゴルゴが伯母である「アナスタシア」に会いメダルを受けとるなどということは考えられない。ただ、血縁関係を認めずゴルゴがアナスタシアからなんらかの「依頼」を受けたのであれば、報酬としてメダルを受けとった可能性はある。

ニコラス二世とラスプーチンの歴史ミステリーにからめた超大作で、非常に読み応えのあるルーツものである。スイスの「プライベートバンク」が語られているのも興味深い。今日でこそ「プライベートバンク」が認知されているが、1988年発表の本作で取り上げられているのは、スイス銀行に巨額の富を蓄えているゴルゴならではと言えよう。

ズキューン

ゴルゴ13 (81) 巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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