極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

大容量電力貯蔵・送配電システム

2014年02月17日 | デジタル革命渦論

 

昨夜の『ポスト・メガソーラー・ハウジング』を上手く運用するには、電力自由
化制度上の商用送電と結合させた大容量蓄電システムあるいは発電・送配電・蓄
電システムが必要となる(下表の「電力貯蔵システム-Energy Storage System,
ESS-に求められる機能」参照)。上図は三菱重工業の電力貯蔵・産業用機器向け
高性能大型リチウムイオン二次電池
を用いたコンテナ型電力貯蔵システムである。
その場合、(1)メガソーラー・バイオマス発電・風力発電などの多形態の大容
量発電システム組み込み型、(2)「ポスト・メガソーラー・ハウジング」が配
置されたコミュニティ間の電力融通型、(3)大型電力事業所組み込み型などが
考えられる。

ところで、近年、地球において資源の枯渇と環境破壊は大きな問題とされており、
再生可能エネルギーによるゼロエミッション型社会の構築が求められ、風力発電
および太陽光発電などの再生可能エネルギー発電所は発電時にほとんど二酸化炭
素を放出しないため、今後の導入の大幅な伸びが予想されるが、再生可能エネル
ギーは不安定であるため、電力需要に応じた供給が難しい。また出力変動が存在
し、系統線に与える影響が大きい。これを解決するために、火力発電所や揚水発
電による電力需給ギャップの補填が行われているが、火力発電所は二酸化炭素を
排出し、揚水発電は立地場所が限られるなど問題を有する。そこで、大規模に電
力を貯蔵できる蓄電池が注目されている。

電力貯蔵用の蓄電池には、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、NAS電池、レ
ドックスフロー電池など構成部材や運転方法の異なる様々な種類が開発されてお
り、家庭用、発電所用、事業所用などの貯蔵規模や瞬停対策、系統向け電力平準
化、ロードレベリング(夜間電力利用)などの用途によって、それぞれに適した
装置構成、電気容量のシステムが提案されている。例えば、NAS電池は大容量
で長寿命とされており、ウインドファームやメガソーラーなど大規模な再生可能
エネルギー発電所にメガワット単位で導入し、系統連携用の平準化用途に利用す
るシステムが提案されている。リチウムイオン二次電池は重量当たりの蓄電容量
に優れ、充放電効率が高く、高出力化が可能であることから、家庭用のバックア
ップ用システムとして、特に東日本大震災を契機に各社から様々な容量の装置が
市販化されている。鉛蓄電池は信頼性が高く、蓄電容量あたりのコストが低いこ
とから、家庭用や事業所用のロードレベリングや再生可能エネルギー発電所用の
平準化など幅広い用途に提案されている。


電力貯蔵用の蓄電池は様々な構成が存在し、それぞれの特性によって用途に適し
たシ
ステムが提案されているが、今後見込まれる再生可能エネルギー電力の大量
導入には、
大規模な電力貯蔵に適したNAS電池やレドックスフロー電池の利用
が好ましい。しかしながら、NAS電池や有機溶媒を利用したレドックスフロー
電池では燃焼の危険があるため、外気から完全に遮断する必要がある。金属イオ
ンを用いたレドックスフロー電池は単位当たりの電気容量が低く、また金属イオ
ンの混合による自己放電の問題がある。また、リチウムイオン電池のコスト高と
同様に、これらの問題は装置コストの上昇要因となり、電力貯蔵の大容量化の妨
げとなっている。


一方、風力発電設備や太陽光発電設備は大規模化が進んでおり、また世界的に再
生可能エネルギー由来の電力導入割合を増やす傾向にあり、電力の需給ギャップ
を調整するための蓄電設備の大容量化に対する需要は今後急増すると考えられる。

このように、再生可能エネルギー由来の電力を大規模に貯蔵する蓄電システムの
ニーズは高まる一方、従来の蓄電池では上述のような大規模貯蔵の実現には課題
が残されている。下図は大容量蓄電に適したレドックスフロー電池の新規考案の
一例である。

JP 2014-10999 A 2014.1.20

さらに、電力系統に複数の蓄電池を接続する、マイクログリッド等と呼ばれるシ
ステムとして、蓄電設備と自家発電設備を備え、電力系統からの潮流を検出する
潮流に応じて蓄電池の充電および放電を制御する技術がある。また、他の従来技
術として、太陽光発電装置からの発電を系統側に売電するか、またはエネルギー
蓄積装置に蓄積するかを、系統側に過去に発生した電圧抑制の状況に応じて切り
替える技術もあるが、複数の蓄電装置が設置されている場合、一方の蓄電装置で
の放電と他方の蓄電装置での充電とが、同時に同量だけ発生した場合、一方の蓄
電装置から他方の蓄電装置に単に電力量が移動するだけのように見えるが、実際
には、充電時、送電時、放電時のそれぞれにおいて、電力損失が発生する。例え
ば、直交変換時の損失、送電時の損失、交直変換時の損失、充電時に蓄電装置の
内部抵抗で生じる損失である。これら電力損失の分だけエネルギーが無駄に消費
されることになる。この無駄な充放電は、蓄電装置の性能劣化の原因となり、寿
命を縮める可能性があり、電力系統に設けられた複数の蓄電装置間での無駄な充
放電を抑制できるようにした蓄電装置制御システムおよび蓄電装置制御方法につ
いて下図のような提供がなされている。つまり、グループ管理される複数の蓄電
装置の充放電動作をグループ内で統一できるように管理できるようにした蓄電装
置制御システムおよび蓄電装置制御方法である。



JP 2014-3778 A 2014.1.9

また、太陽光発電システムや風力発電システム等の発電システムでは、一般的に、
系統連系運転方式と自立運転方式との2つの運転方式がある。系統連系運転方式
は、発電装置により発電した直流電力を交流電力に変換し、電力会社等の電力系
統に接続し、負荷系統に供給する電力に余剰が生じた場合に、電力会社等の電力
系統へ電力を供給する運転方式である。自立運転方式は、電力系統から解列し、
蓄電装置が蓄電している直流電力や発電装置により発電した直流電力を交流電力
に変換して負荷に供給する運転方式であり、パワーコンディショナに連結される
負荷(例えば、テレビ、冷蔵庫等の家電機器等)に対して安定した電力供給を行
う運転方式である。

また、パワーコンディショナは、電力系統及び負荷系統に対して安定した電力供
給を行うための装置であり、発電装置と電力系統との間に設置され、一般的に、
直流電力を交流電力に変換するインバータ、インバータを制御する制御装置やパ
ワーコンディショナ内に過電流が流れる等の異常が発生した場合に、インバータ
等の各部の運転を停止させる保護装置等から構成される。

(1)の方法:負荷と発電装置との間に双方向コンバータを設け、電力系統の正
常時には、双方向コンバータと発電装置との間に接続された蓄電池を浮動充電さ
せて満充電状態にしておき、電力系統側が停電した場合には、発電装置の出力や
蓄電池の充電電源によって負荷に電力供給する技術が提案されている。
(2)の方法:また、二次電池と電力変換機とを有し、電源系統と連系する蓄電
設備が、発電機によって対応できない比較的時間の短い瞬時的な電圧や周波数の
変動に対して安定化を図り、長期的な変動に対しては応答感度を落として二次電
池の充放電を抑えることにより、二次電池の過充電と過放電を防止する技術が提
案されている。

しかしながら、(1)の方法では、災害等によって停電が長期化し、蓄電池が放
電して蓄電残量がなくなると、停電が復帰するまで蓄電池の充電をすることがで
きないので、負荷に対して電力供給ができなくなるという問題がる。また、従来
の方法では、蓄電装置に蓄電できるのは、発電システムが電力系統側と接続され
ている場合であり、停電が発生した場合には、蓄電できないという問題がある。
また、2の方法では、瞬時的な変動に対処することしかできないという問題があ
る。

下図は、この問題を解決するために、つまり、この電力供給システムは、供給さ
れている電力から変換した電力を、敷設されている低圧配電線を介して複数の電
力供給先に給電する給電部と、電力を蓄積する蓄電部と、蓄電部に蓄積されてい
る電力に基づいて生成された蓄電電力を、複数の電力供給先のうちの何れかの第
1電力供給先に供給する蓄電給電部と、給電部に供給されている電力の供給状況
に応じて、蓄電給電部からの電力の供給を制御する蓄電電力制御部を備えること
で、複数の電気使用場所がある需要場所に設置された蓄電装置て蓄積されている
電力を有効活用する三菱重工業の新規考案である。

JP 2013-176282 A 2013.9.5

以上、今夜は、最新の大容量電力貯蔵・送配電システム技術事情を俯瞰してみた
わけだが、技術的課題は多岐にわたるが問題解決可能だと楽観的な感想をもった。
もう原発は不要だが、それをより確かにするためにも量子スケール太陽電池の開
発が急がれるというわけだ。頑張ろう!

 

コメント
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