極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

量子スケールデバイス工学(5)

2014年02月04日 | デジタル革命渦論

 

 

図1

●量子スケールデバイス工学(5)

【量子ドット太陽電池研究Ⅰ 下】 
 

図7に示したように、エネルギー選択移動部21yは、キャリア発生部21xと発光部21z
とを繋ぐ部位であり、キャリア発生部21xで生成された様々なエネルギーを有する電子
及び正孔のうち、エネルギーがEc1bである電子とエネルギーがEv1qである正孔の
みを選択的に発光部21zへと移動させる機能を有している。同様に、エネルギー選択移
動部22yは、キャリア発生部22xで生成された様々なエネルギーを有する電子及び正
孔のうち、エネルギーがEc1bである電子とエネルギーがEv1qである正孔のみを選
択的に発光部22zへと移動させる機能を有している。また、エネルギー選択移動部23
yは、キャリア発生部23xで生成された様々なエネルギーを有する電子及び正孔のうち、
エネルギーがEc1bである電子とエネルギーがEv1qである正孔のみを選択的に発光
部23zへと移動させる機能を有している。キャリア発生部21x、22x、23xから
キャリア選択移動部21y、22y、23yを経て発光部21z、22z、23zへと移
動した電子及び正孔は、発光部21z、22z、23zで結合する。かかる過程を経るこ
とにより、波長変換部20は、エネルギーEg2の単色光を発生させる。

 図7

 

キャリア発生部21xで生成された電子のうち、エネルギーEc1bの電子は、そのまま
エネルギー選択移動部21yを通過して発光部21zへと達する。また、キャリア発生部
21xで生成された正孔のうち、エネルギーEv1qの正孔は、そのままエネルギー選択
移動部21yを通過して発光部21zへと達する。そして、発光部21zで電子及び正孔
が結合することにより、エネルギーEg2の単色光になる。これに対し、キャリア発生部
21xの伝導帯の電子分布においてEc1bとは異なるエネルギーを有する電子は、相互
にエネルギーの授受を行い、一部の電子のエネルギーはEc1bになる。同様に、キャリ
ア発生部21xの価電子帯の正孔分布においてEv1qとは異なるエネルギーを有する正
孔は、相互にエネルギーの授受を行い、一部の正孔のエネルギーはEv1qになる。こう
して、エネルギーEc1bになった電子、及び、エネルギーEv1qになった正孔は、エ
ネルギー選択移動部21yを経由して発光部21zへと移動することができ、発光部21z
で結合することにより、エネルギーEg2の単色光になる。

また、キャリア発生部22xで生成された電子のうち、エネルギーEc1bの電子は、そ
のままエネルギー選択移動部22yを通過して発光部22zへと達し、キャリア発生部22x
で生成された正孔のうち、エネルギーEv1qの正孔は、そのままエネルギー選択移動部
22yを通過して発光部22zへと達する。そして、発光部22zで電子及び正孔が結合
することにより、エネルギーEg2の単色光になる。これに対し、キャリア発生部22x
の伝導帯の電子分布においてEc1bとは異なるエネルギーを有する電子は、相互にエネ
ルギーの授受を行い、一部の電子のエネルギーはEc1bになる。同様に、キャリア発生
部22xの価電子帯の正孔分布においてEv1qとは異なるエネルギーを有する正孔は、
相互にエネルギーの授受を行い、一部の正孔のエネルギーはEv1qになる。こうして、
エネルギーEc1bになった電子、及び、エネルギーEv1qになった正孔は、エネルギ
ー選択移動部22yを経由して発光部22zへと移動することができ、発光部22zで結
合することにより、エネルギーEg2の単色光になる。

また、キャリア発生部23xで生成された電子のうち、エネルギーEc1bの電子は、そ
のままエネルギー選択移動部23yを通過して発光部23zへと達し、キャリア発生部23x
で生成された正孔のうち、エネルギーEv1qの正孔は、そのままエネルギー選択移動部
23yを通過して発光部23zへと達する。そして、発光部23zで電子及び正孔が結合
することにより、エネルギーEg2の単色光になる。これに対し、キャリア発生部23x
の伝導帯の電子分布においてEc1bとは異なるエネルギーを有する電子は、相互にエネ
ルギーの授受を行い、一部の電子のエネルギーはEc1bになる。同様に、キャリア発生
部23xの価電子帯の正孔分布においてEv1qとは異なるエネルギーを有する正孔は、
相互にエネルギーの授受を行い、一部の正孔のエネルギーはEv1qになる。こうして、
エネルギーEc1bになった電子、及び、エネルギーEv1qになった正孔は、エネルギ
ー選択移動部23yを経由して発光部23zへと移動することができ、発光部23zで結
合することにより、エネルギーEg2の単色光になる。

ここで、蛍光材料を用いている従来のダウンコンバージョン型の太陽電池では、相互作用
させることが可能な電子・正孔が、飛び飛びのエネルギー準位を有する電子・正孔に限ら
れていた。これに対し、キャリア発生部21x、22x、23xは、半導体材料によって
構成されているので、様々なエネルギーを有する電子同士・正孔同士を相互作用させるこ
とにより、エネルギーEc1bの電子、及び、エネルギーEv1qの正孔を生じさせるこ
とができる。さらに、波長変換部20は、互いに異なる離散準位が形成された波長変換粒
子21、22、23を有しているので、単一形態の波長変換粒子が用いられる場合と比較
して、エネルギーがEg1a以上である様々なエネルギーの光を吸収することができる。
加えて、互いに異なる離散準位が形成された波長変換粒子21、22、23において、量
子井戸層21yb、22yb、23ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギ
ーは、すべてEc1bとされており、量子井戸層21yb、22yb、23ybの価電子
帯側に形成されている離散準位のエネルギーは、すべてEv1qとされている。このよう
な形態とすることにより、波長変換粒子21、22、23のすべてから、エネルギーEg2
の単色光を生成させることができる。こうして波長変換部20で発生させた単色光は、光
電変換部30へと向かう。

光電変換部30は、バンドギャップがEg3であるn層31及びp層32を有している。
ここで、Eg3はEg2よりも約0.1eV小さい。それゆえ、波長変換部20で発生さ
せたエネルギーEg2の単色光は、光電変換部30に吸収され、電子及び正孔が生成され
る。こうして生成された電子及び正孔は、Eg2とEg3との差が約0.1eVと小さい
ため、ほとんどエネルギーを失うことなく、pn接合33によって形成された内部電界に
より分離され、電子はn層31側へと移動し、n層31に接続されている表面電極15へ
と収集される。また、正孔はp層32側へと移動し、p層32に接続されている裏面電極
14へと収集される。

0072
このように、太陽電池200では、キャリア発生部21x、22x、23xで発生させた
キャリアを、エネルギー選択移動部21y、22y、23yを経由して発光部21z、22z、
23zへと移動させ、発光部21z、22z、23zでこれらを結合させることにより、
単色光を発生させる。かかる形態とすることにより、キャリア発生部21x、22x、23x
で高いエネルギーへと励起された電子及び正孔を、エネルギーが失われる前に発光部21z、
22z、23zへと移動させて結合させることが可能になるので、エネルギー損失を低減
することが可能になる。また、波長変換部20は、キャリア発生部21x、22x、23x
で発生させたキャリアを発光部21z、22z、23zで結合させることを目的としてお
り、発生させたキャリアをそのまま外部へ取り出すことを意図していない。それゆえ
長変換部20では、従来のホットキャリア型太陽電池のように、キャリアを電極まで移動
させる必要がないので、移動時に失われるエネルギーを大幅に低減することが可能になる
特に、キャリア発生部21x、22x、23xの大きさ・厚さを制御して、キャリア発生
部21x、22x、23xで発生させたキャリアがエネルギー選択移動部21y、22y、
23yへと達するまでの移動距離を10nm以下程度にすることにより、移動時に失われ
るエネルギーを大幅に低減することが可能になる。さらに、キャリア発生部21x、22x
23x半導体材料を用いる形態とすることにより、蛍光材料を用いている従来のダウン
コンバージョン型の太陽電池よりも、キャリアを生じさせるために利用可能な光の波長範
囲を大幅に広げることが可能になる。さらに、波長変換部20が、大きさが異なるキャリ
ア発生部21x、22x、23xを有する波長変換粒子21、22、23を有する形態と
することにより、単一形態の波長変換粒子が用いられる場合と比較して、エネルギーがEg1a
以上である幅広い帯域の光を、キャリア発生部21x、22x、23xで吸収しやすくな
る。加えて、波長変換部20に用いられている波長変換粒子21、22、23は、量子井
戸層21yb、22yb、23ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギーを
等しくし、且つ、価電子帯側に形成されている離散準位のエネルギーを等しくするように
調整されている。かかる形態とすることにより、波長変換部20から発生させる単色光の
エネルギーをEg2に特定することができるので、n層31及びp層32を構成する半導
体材料のバンドギャップを、エネルギーEg2の単色光を低損失で吸収可能なように調整
することで、エネルギー損失を低減することが容易になる。したがって、本発明によれば、
光電変換効率を高めることが可能な太陽電池200を提供することができる。太陽電池200
では、光を単色光へと変換させる波長変換部20の効率を高めることにより、光電変換効
率を高めることが容易になる。また、エネルギー選択移動部21y、22y、23yや発
生部21z、22z、23zに用いる半導体材料の組成や形状を調節することにより、太
陽電池200では、波長変換部20で発生させる単色光のエネルギーを自在に調節するこ
とができる。

太陽電池200において、キャリア発生部21x、22x、23xを構成する半導体材料
のバンドギャップは、キャリア発生部16xa、16ya、16zaを構成する半導体材
料のバンドギャップと同程度にすることができる。キャリア発生部21xの直径及びバン
ドギャップは、キャリア発生部16xaの直径及びバンドギャップと同程度にすることが
でき、キャリア発生部22xの直径及びバンドギャップは、キャリア発生部16yaの
径及びバンドギャップと同程度にすることができ、キャリア発生部23xの直径及びバン
ドギャップは、キャリア発生部16zaの直径及びバンドギャップと同程度にすることが
できる。また、キャリア発生部21x、22x、23xは、キャリア発生部16xa、
16ya、16zaと同様の材料によって構成することができ、キャリア発生部16xa
16ya、16zaと同様の方法によって作製することができる。

また、第1障壁層21ya、22ya、23ya、及び、第2障壁層21yc、22yc、
23ycを構成する半導体材料のバンドギャップは、第1障壁層16xba、16yba、
16zbaや第2障壁層16xbb、16ybb、16zbbを構成する半導体材料のバ
ンドギャップと同程度にすることができる。第1障壁層21ya、22ya、23ya、
及び、第2障壁層21yc、22yc、23ycの厚さは、第1障壁層16xba、16
yba、16zbaや第2障壁層16xbb、16ybb、16zbbの厚さと同程度に
することができる。また、第1障壁層21ya、22ya、23ya、及び、第2障壁層
21yc、22yc、23ycは、第1障壁層16xba、16yba、16zbaや第
2障壁層16xbb、16ybb、16zbbと同様の材料によって構成することができ、
第1障壁層16xba、16yba、16zbaや第2障壁層16xbb、16ybb、
16zbbと同様の方法によって作製することができる。

また、発光部21z、22z、23zを構成する半導体材料のバンドギャップは、例えば、
0.6eV以上3.0eV以下とすることができ、発光部21z、22z、23zの厚さ
は、例えば2nm以上20nm以下とすることができる。発光部21z、22z、23z
を構成可能な半導体材料としては、Ge、GaSb、InPAs、GaAsSb、Ga
InAs、Si、InP、GaAs、CdTe、CdSe、AlGaAs、GaInP、
AlAs、ZnTe、GaP、CdS、ZnSe等を例示することができる。発光部21z、
22z、23zを、Ge、Si等のIV族元素や、InAs、GaSb、GaAsSb、
GaInAs、InP、GaAs、AlGaAs、GaInP、AlAs、GaP等のⅢ
-V族化合物で構成する場合、発光部21z、22z、23zは有機金属気相成長法(M
OCVD)や分子線エピタキシ法(MBE)等の気相成長法によって作製することができ
る。また、発光部21z、22z、23zを、PbSe、PbS等のⅣ-Ⅵ族化合物や、
CdTe、CdSe、ZnTe、CdS、ZnSe、ZnS等のⅡ-Ⅵ族化合物で構成す
る場合、発光部21z、22z、23zはイオンプレーティングを含む真空蒸着法や、ス
パッタ法等の気相成長法や、ゾルゲル法、ソルボサーマル法等の化学的合成法によって作
製することができる。

また、光電変換部30に用いる半導体材料のバンドギャップEg3は、例えば、0.5e
V以上1.6eV以下とすることができる。光電変換部30を構成可能な半導体材料とし
ては、Ge、GaSb、GaAsSb、GaInAs、Si、InP、GaAs、CdTe
等を例示することができる。光電変換部30において、n層31は、これらの半導体材料
に公知のn型不純物を添加することによって作製することができ、p層32は、これらの
半導体材料に公知のp型不純物を添加することによって作製することができる。n層31
の厚さは例えば100nm程度とすることができ、p層32の厚さは例えば2μm程度と
することができる。また、光電変換部30を、Ge、Si等のIV族元素や、InAs、
GaSb、GaAsSb、GaInAs、InP、GaAs等のⅢ-Ⅴ族化合物で構成す
る場合、光電変換部30は有機金属気相成長法(MOCVD)や分子線エピタキシ法(M
BE)等の気相成長法によって作製することができる。また、光電変換部30を、PbSe、
PbS等のⅣ-Ⅵ族化合物や、CdTe等のⅡ-Ⅵ族化合物で構成する場合には、イオン
プレーティングを含む真空蒸着法や、スパッタ法等の気相成長法や、ゾルゲル法、ソルボ
サーマル法等の化学的合成法によって作製することができる。



図8は、第2実施形態にかかる本発明の光電変換素子の、波長変換部に使用可能な波長変
換粒子41、42、43を説明する断面図であり、図9は、波長変換粒子41、42、43
のバンド構造を説明する、図7に対応した図である。


図8に示したように、波長変換粒子41は、キャリア発生部41xと、該キャリア発生部
41xの表面を覆うように配置されたエネルギー選択移動部41yと、該エネルギー選択
移動部41yの表面を覆うように配置された半導体部41zと、を有している。キャリア
発生部41x、エネルギー選択移動部41y、及び、半導体部41zは、何れも、半導体
材料によって構成されている。エネルギー選択移動部41yは、キャリア発生部41xの
表面に形成された第1障壁層41ya、該第1障壁層41yaの表面に形成された量子井
戸層41yb、及び、該量子井戸層41ybの表面に形成された第2障壁層41ycを有
している。波長変換粒子41では、その中心側から外側へ向かって、キャリア発生部41x、
第1障壁層41ya、量子井戸層41yb、第2障壁層41yc、及び、半導体部41z
が同心円状に配置されている。波長変換粒子41において、第1障壁層41ya及び第2
障壁層41ycは、キャリアがトンネル伝導により通過可能な厚さとされており、半導体
部41zは、キャリアがトンネル伝導により通過できない厚さとされている

図9
図9に示したように、波長変換粒子41は、キャリア発生部41xを構成する半導体材料
の伝導帯側に6つの離散準位が形成されており、キャリア発生部41xを構成する半導体
材料の価電子帯側には離散準位が形成されていない。キャリア発生部41xの伝導帯側に
形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位と、キャリア発生部41xの
価電子帯上端のエネルギーEv1aとのエネルギー差はEg1aである。また、波長変換
粒子41は、量子井戸層41ybを構成する半導体材料の伝導帯側に1つの離散準位が形
成されており、量子井戸層41ybの価電子帯側には離散準位が形成されていない。量子
井戸層41ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギーEc1bは、キャリア
発生部41xの伝導帯側に形成されている離散準位のうち、最も高エネルギーでもなく最
も低エネルギーでもない離散準位のエネルギーと同一である。Ec1bは、半導体部41z
の伝導帯下端のエネルギーEczよりも図9の紙面下側に位置し、EczとEc1bとの
差は、波長変換粒子41を有する光電変換素子の使用時に量子井戸層41ybに存在する
電子へと付与されるエネルギー(例えば、熱エネルギー等)よりも大きくなるように調整
されている。また、量子井戸層41ybの価電子帯上端のエネルギーEv1bは、Ev1a
及び半導体部41zの価電子帯上端のエネルギーEvzよりも図9の紙面上側に位置して
いる。Ev1bとEv1aとの差は、0.05eV以上0.2eV以下程度とされており、
EvzとEv1bとの差は、波長変換粒子41を有する光電変換素子の使用時に量子井戸
層41ybに存在する正孔へと付与されるエネルギー(例えば、熱エネルギー等)よりも
大きくなるように調整されている。波長変換粒子41において、Ec1bとEv1bとの
差はEg2である。

                    「特開2014-017420 光電変換素子」 第79項まで
                            株式会社 豊田中央研究所

 

   

【フード・ファントム・メナス(15)】 

   お茶

 ●「国産茶」はやめ、西日本の銘柄茶に

  2012年4月、一般食品中の放射性セシウムは1㎏当たり500ベクレルから
 百ベクレルに規制が強化された。ところが、お茶だけは規制が緩和されていたのに、
 まったく報道されなかった。
  測定対象を「茶菓」から「飲む状態」へと変更し、その基準を10ベクレルに厳し
 くしたのだが、ここに基準緩和が隠されていたのである。
  基準どおりにお茶を俺れ、業界が主張しているように成分が抽出されると、放射性
 セシウムの濃度は茶菓の60分の1になる。ということは、お茶の液体が10ベクレ
 ルなら、茶菓は600ベクレルになる。
  つまり、お茶は、500から600ベクレルに規制が緩和されていたのである。
  2012年の新茶からは、「飲む状態」で検査されている。その結果、基準の10
 ベクレルを超え、かつ各県で最も値が高かったのは、栃木県24ベクレル、茨城県
 19ベクレル、千葉県14ベクレル、岩手県11ベクレルである。
  この水準の食事を食べ続けると、体や頭に痛みが出てくる
  飲む状態の値を茶菓に換算すると、栃木県1440ベクレル、茨城県1140ベク
 レル、千葉県840ベクレル、岩手県660ベクレルとなる。
  事故から1年経過したのに、まだあなどれない数値の放射能が出ているのだ。
  また、チェルノブイリ原発事故から13年経過して、ウクライナの南に位置するト
 ルコ産輸入紅茶で60~100ベクレル検出されている。このことからお茶は、3年
 目以降も基準を超えた放射能汚染が続く可能性がある。
  一方、三重県の「わたらい茶」は、県の調査によると、2011年の茶葉で9ベク
 レルだったが、2012年の茶菓は1ベクレルになっている。
  茶葉でこのくらいの数値なら、安心してお茶を飲んでいいだろう。
  愛知県は三重県より放射能汚染が少なかったので、愛知県から西のお茶を選べば安
 心して飲むことができる。
  2011年産でも京都府を中心とする宇治茶、福岡県のハ女茶、鹿児島県の知覧茶
 などは、この銘柄茶が100%の商品なら安心して飲んでいい。


 ●放射能汚染がついて回る静岡茶

  静岡県産のお茶は、放射能で汚染されているかどうかが、わかりにくい。
  静岡県は震災後、お茶の検査をできるだけしないようにし、少数の検査結果も「す
 べて基準をクリアしている」と言うだけで、数値の公表を拒んだ。
  そこヘパリから、静岡産の緑茶が1㎏当たり1038ベクレルだったという情報が
 入ってきた。それは、EU基準の2倍の数値だった。
  これが大問題になったので、静岡県もお茶の検査に励むようになったが、その検査
 データを基に、古いお茶や、他産地のお茶とうまくブレンドするようになったのであ
 る。
  新茶はその年にとれたものだが、それ以外は、冷蔵庫で貯蔵し、数年のうちに出荷
 しているので、古いお茶に不自由することはない。
  したがって違反は出ないが、数年たっても、放射能の量が減らない静岡茶が存在す
 ることになる。こうして、静岡茶には放射能汚染がついて回るようになったのだ。
  2012年の新茶はすべて不検出、と静岡県は公表している。この検出限界は「飲
 む状態」で2ベクレルだから、茶菓では100ベクレルを超えている可能性がある。
  放射能は、集団が取り込んだ総量に応じて、遺伝的な被害者を出す。個人のリスク
 は無視できるほど小さいが、日本人全体では将来にわたって被害者が出てくる。
  被害者は1000年たっても出続けるが、国や静岡県は、業者を守り、補償金を減
 らすように努力はしても、将来の被害者を減らすことには努力していない。それどこ
 ろか、将来に遺伝的な被害者が増えるような施策を取っているのである。 

  ●売られている茶葉を測定すると

  消費者は、市販茶の実態を知らねば自衛できない。われわれは2012年8月に
 スーパーなどで、煎茶、ほうじ茶、玄米茶など13種類を購入し、さいたま市の民間
 放射能測定所「さいたまラボ」に依頼して検査した。高い数値の茶菓があるかどうか
 を見つけるための検査なので検出限界は二〇ベクレル/㎏とした。
  その結果は上表Iのとおりだ。
 「不検出」の茶菓は、飲む状態では0.4ベクレルを下回るので、安心して飲むこと
 ができるだろう。 
  最も高かったのは静岡県産の煎茶で、211ベクレルだった。
  原発の中では、100ベクレルを超えると「低レベル放射性廃棄物」としてドラム
 缶に詰められ、許可がないと人が入れない倉庫に貯蔵されている。ところが、原発の
 外では、100ベクレルを超えた茶菓が販売されているのである。国は、国民にでき
 るだけ放射能をとらせないように、少なくとも100ベクレルを超えた茶菓は、貯蔵
 分も探し出して処分し、生産者、飲料メーカーに損害分を補償すべきだ。
  静岡県産でも「不検出」が一つあった。
 番茶は、「国産」は不検出で、「静岡県産」だと32.4ベクレルだった。
 ほうじ茶は、2種類とも「国産」で、不検出と、119ベクレルだ。この値もドラ
 ム缶に詰めて廃棄してもらいたいレベルである。
  玄米茶は、2種類とも「抹茶入り」の「国産」で、不検出と、31ベクレルだった。
 「国産」と害かれただけのお茶は産地がわからない。これでは放射能レベルを推定で
 きないため、消費者は避けるのが賢明だろう。

 ●勇気ある生産者「杉本園」

  放射能値が高かった2011年産の茶菓は、本来なら県が買い上げて処分すべき
 だったが、それを自ら率先して焼却処分した生産者を紹介しよう。
  静岡県島田市の牧ノ原台地で1993年から無農薬・無化学肥料で、お茶を有機・
 自然栽培してきた「杉本園」の杉本芳樹さん(60歳)と、その家族だ。
  2011年5月に収穫したお茶を荒茶にして検査すると152ベクレル、6月は
 85ベクレル、11月が19ベクレルだった。このときの基準は500ベクレルだ
 ったので問題はなく、数値を公表して販売を続けた。
 その後、二〇12年4月から新基準になり、お茶は飲む状態で10ベクレルと規制
 されるようになった。杉本さんのお茶は、庵れると最大でも2.5ベクレルにしかな
 らない。
  ところが、一般食品が100ベクレルで規制されるときに、152ベクレルの茶葉
 が混ざったお茶をお客さんに売ることはできないとして、杉本さんは思い切って、2
 011年に生産したお茶の二t強をすべて、焼却処分してしまったのだ。
  2012年5月のお茶は、荒茶で12ベクレルと10ベクレルだ。このお茶を淹れ
 ると、0.2ベクレル以下になる。
  7月になると、荒茶でもついに「不検出」となった。
  2011年はまた収穫を始め、販売を再開している。こういう生産者をみんなで応
 援しようではないか。「杉本園」「お茶畑からこんにちは」でネット検索すれば、ホ
 ームページがあり、そこから通信販売で購入することができる。

 
 麦茶

 ●10ベクレル/kgを超える放射能が含まれるものが多い

  麦茶の原料は六条大麦だ。生産量が多い県は、福井、富山、栃木、茨城、宮城、石
 川、新潟各県などだ。
  2011年に収穫した六条大麦は、栃木県産で1㎏当たり89ベクレル、茨城県産
 で340ベクレルだった。
  麦茶は、抽出液でなく、麦の線量が100ベクレルを超えると違反になる。規準を
 超えた麦茶は、市場に出ていない。

  全国麦茶工業協同組合による国産麦茶の検査では、2011年産から68ベクレル
 検出されている。2012年のデータが見つからなかったので、スーパーで茨城県産
 大麦を使用した麦茶を購入して検査すると、17ベクレルだった。茨城県と栃木県の
 シェアは、国産原料を用いている麦茶の3割で、これらには10ベクレル/㎏を超え
 る放射能が含まれていることが多いだろう。
  伊藤は、国産とカナダ産を原料にしていたが、震災後は、原料麦をカナダ産だけ
 にしている。カナダ産の麦なら農薬の心配もないから、安全である。

 
 ペットボトルのお茶


 ●宇治茶をベースにした「伊右衛門」はおすすめ
 

  茶菓のお茶は、産地を選んで買えば、放射能を避けることができる。
  ところが、大手ペットボトルメーカーのお茶は「国産茶葉100%」で、表示を見
 ても産地がわからない。基準を満たしているかどうかの検査はパスしているが、それ
 でも、放射能汚染ができるだけ少ない産地のお茶を選びたい。

  大手メーカーは、年間生産量の少なくとも半分以上の茶菓を確保した上で、ペット
 ボトルのお茶を生産している。
  そのため、原発事故後に新茶が生産されるようになっても、ごく一部の新茶ブラン

 ドを除けば、前年の茶菓を用いてペットボトルのお茶は生産されていた。
  ところが、お茶に放射能の不安があることが繰り返し報道されたので、ペットボト
 ルの水を飲む人が増えてお茶は売れなかった。そのため、どのメーカーも前年度の茶
 葉を年末までは用いていた。年が明けると、2011年産の茶葉に切り替えるメーカー
 が増えたが、皮肉なことに最後まで二〇一〇年産を使っていたのは静岡県産の茶菓を
 用いたペットボトルだった。震災前の一番安全な茶菓が、最も敬遠されたのである。
  だが、表示を見ても、いつ生産された茶菓かは書いていないので、消費者がこのよ
 うな行動を取るのはやむを得ない。
  すべてのペットボトル茶が震災後の茶菓になった今は、大手のペットボトルのお茶
 では、「伊右衛門」をおすすめする。真っ先に静岡茶の使用をやめて、宇治茶をべー
 スにしたお茶に切り替えたからだ。
  西日本では、産地名を冠したご当地茶を買うのがいい。

                 小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.168-177



 

【快適ライフ・マリネ】

(1)5百ミリリットル広口瓶
(2)野菜:ゆで大豆50グラム、にんじん1/2本、ピーマン1個、ミニトマト5個、
 赤カブ2個
(3)マリネ:食酢/250ミリリットル、水/75ミリリットル、砂糖/2~3杯、塩
 /小さじ 1、黒胡椒/5~10粒、クローブ/2~3個、月桂樹/1枚

●つくり方

(2)をサイコロに切る(にんじんはあらかじめボイル)→鍋に(3)を入れ沸騰し
放冷し→(1)に大豆、野菜とマリネ入れ→一晩放置
 

 

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