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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

量子スケールデバイス工学(6)

2014年02月05日 | デジタル革命渦論

 

   

【フード・ファントム・メナス(16)】 

 ●放射能を防ぐミネラル補給法

  一昔前までは、味噌汁に煮干しを入れて、そのまま食べる家庭が多かった。これを
 まねて、煮干し粉を食事にかけて食べるのがいい。
  煮干しを粉末にすると、かなりの量になる。それぐらいの多さをイメージして、煮
 干し粉を汁物に入れたり、ご飯にかけるのが、ミネラル補給のコツだ。
  煮干しや煮干し粉は、西日本産を探そう。これで、カルシウムを補給すれば、同族
 ミネラルである放射性ストロンチウムを体から出す効果がある。
  煮干しは短時間だが水煮しているので、成分が少し抜けているが、焼きアゴ(飛
 魚)には、成分がそのまま含まれている。価格が高いので、本書では推薦していない
 が、無添加・焼きアゴ粉末の方がミネラルを的確に摂ることができる。
  焼きアゴ粉末、酢、塩、エキストラバージン・オリーブ油を混ぜてペースト状にし
 たものを常備し、食事にかけて使えば、ミネラルだけでなく、レシチンも補給できる。

 
 パスタ

 ●イタリア有機農業の先駆者・ジロロモーニ氏のパスタ

  福島県を中心に、かなり広い範囲が放射能で汚染された。岩手県南部から関東まで
 の小麦も、2011年産は1㎏当たり10ベクレルを超えるものが多かった。

  放射能を避けるには、国産よりも輸入品の方が安全になったのだ。
  私の友人である「イタリア有機農業の先駆者」ジーノ・ジロロモーニ氏(2012
 年3月に逝去)は、彼の有機農業とパスタについて次のように語っている。パスタを
 選ぶときの参考にしていただきたい。
 「持続可能な有機農業は、土からスタートする。
  土は能力の100%を利用してはならない。輪作して、複数の作物を栽培するのが
 基本だが、アルファルファを栽培した畑なら、窒素が土壌に戻るので、小麦を2年続
 けて植えることができる。
  私が有機農業を始めたとき、小麦は3tとれていた。隣の化学肥料を使ってでは4t
 もとれたので、『有機農業を始めたジーノはバカだ』と言われた。
  ところが、化学肥料を使っていた畑は、30年だつと土が悪くなって小麦を作れな
 くなり、今は何も作っていない。私の畑は、今でもずっと3tとれている。
  
  畜産では、飼っている動物は自由でなければならない。動物が病気になったら、医
 薬品を用いず、代替医療を行う。
  牛乳を搾るために飼われている近代畜産の牛は、年間20tも牛乳を出す。しかし、
 体が持たないので、2年たったら肉にされてしまう。私が飼っている牛は3tしか出
 さないが、15年間連続して乳を出す。
  有機農業にすれば、このように持続的に生産できる。
  有機農産物は、基本的に余分なものを加えてはいけない。
  私のところでは、収穫した小麦をタンク容器に入れた後、炭酸ガスを入れて保管す
 る。これで虫が死ぬので、冬を越すまで問題はない。翌年の春に小麦が残っていて、

 虫が見つかれば、もう一度、炭酸ガスをかける。もちろん、殺虫剤は使わない。
  この小麦を丸ごとひいて『ジロロモーニ全粒粉デュラム小麦有機栽培スパゲッ
 ティ』を作っている。世界中の全粒粉パスタのほとんどは、白い小麦粉にふすまを混
 ぜた全粒粉を使って作られている。カラメルを添加して着色することもあるが、この
 ような全粒粉パスタでも、有機農産物基準では認められているのである。
  しかし、私は、小麦を自然のままの全粒粉にすべきだと考えている。小麦と、有機
 に見合ったきれいな水を混ぜて練り、パスタの形にして乾燥させると、パスタが完成
  このときに高温の風を用いると、効率よく乾かせるし、品質の悪い小麦を用いても、
 品質がよく見えてしまう。それで、大手パスタメーカーはすべて、高温の風で乾かし
 ている。ところが、高温で乾燥させるとパスタが死んで、弾力性が失われるのだ。
  私は、最初に75℃の風でパスタの表面を乾かした後は、40℃前後で乾かす。
  これらの考えが認められて、ドイツでは私の全粒粉のパスタは人気がある。
 アメリカでは試食で圧倒的に一番うまいパスタと評価され人気が高くなっている。
  農薬残留だけを考えたら、カナダ産か、有機のパスタを選ぶのがいい。
  味は、手打ちパスタが一番うまく、次が低温乾燥パスタで、最後が高温乾燥パスタ
 になる。食べ比べてみれば、そのことがよくわかる。
  有機・低温乾燥のジロロモーニ・パスタは、日本では創健社が販売している。


 砂糖

 ●粗糖、黒砂糖、黒糖蜜がいい

  調味料は、「さしすせそ」の順で料理に使うのがいいとされている。
 この「砂糖」「塩」「酢」「せうゆ(醤油)」「味噌」が、日本の代表的な調味料で
 あ
るが、今は、そのどれにも問題があり、日本人の心身を損ねる原因になっている。
  個々に見ていこう。

  トウモロコシなどのデンプンの鎖を分解酵素で切ると、糖になる。これが異性化糖
 といわれる液糖で、甘さは砂糖とよく似ている。
  砂糖は、ブドウ糖と果糖が結合したもの。異性化粧は、ブドウ糖と果糖が混ざった
 液糖で、消化や吸収に違いはあるが、同じようなものである。
  砂糖の消費量は減り、異性化粧は増えている。この異性化糖のような液糖も含めて、
 本書では「砂糖」として書き進めることにする。
  砂糖が健康に悪いのは、ミネラルを含まないことと、量を摂りすぎているからだ。
  特に摂りすぎるのが、甘い清涼飲料で、夏に喉が渇いているとき、無果汁の甘い飲
 料なら、500mlを簡単に飲み干すことができる。
  だが、そこには砂糖が60gほど入っているのだ。
  ミルクチョコレートー枚は60gほどで、その約半分が砂糖である。一枚食べても、
 30gの砂糖を食べることにしかならない。
  スティックシュガーは、1本が3gだから、甘い清涼飲料を飲むと20本のスティ
 ックシュガーを食べることになる。砂糖を摂りすぎることは明らかだ。

 
 ●ミネラル不足だと満腹感が遅く出る

  摂りすぎていることがわかっているのに、どうして砂糖を摂りすぎてしまうのだろ
 うか。ここに、現代食品の宿命的な問題点が潜んでいる。そのことを知った上で、食
 生活を組み立てないと、心身を害することになるだろう。
  人間はもともと甘いものが好きだ。だが、現代人が特に甘いものを摂りすぎてしま
 うのには、理由がある。
  果汁100%のジュースだと、一度に500mlを飲めない人が多い。カロリーだけ
 でなく、ミネラルやビタミンなどが十分に入っていて、それが舌にシグナルを送るの
 で、「満腹感」や「満足感」が出てくるからである。
  食べ物も、ミネラルが少ない清涼飲料と同様に、ミネラルが少ないスナック菓子は、
 いつまでも食べ続けることができる。

  私の体験では、ミネラルが多い食品を摂るようになる前は、常に食欲があった。満
 腹になって豚カツ屋を出て、前に寿司屋があると、「寿司を食べたい!」と思ったも
 のだ。
  物理的にはもう食べられないのに、どうして食欲があるのか不思議だった。今は、
 そうなる原理がわかっている。
  食事を摂ると、脳の食欲中枢の神経細胞で「ネスファチン」とよばれるたんぱく質
 が増加する。食事を摂って、血中のブドウ糖とインスリンが高濃度になると、このネ
 スファチンが活性化し、「満腹感」が生じていると判明したのである。
  そのときにミネラル不足だと、ネスファチンを持つ神経細胞の活性化が不十分にな
 る。したがって、満腹感を覚えるのが遅くなり、食べたいという欲求が長く続いて、
 食べすぎることになるわけである。

                   -中略-

 ●現代食品はミネラル不足になる宿命を持っている

  チョコレートはミネラルが豊富なので、脳の食欲中枢の神経細胞は円滑に働くこと
 ができる。だから、「満腹感」が早く出て、食べすぎる人が少ない。
  ミネラル不足食品を食べると、満腹になっても、「もっと食べたい」という欲求が
 
続き、多く食べすぎて太ってしまう
  こういった「満腹感」は個人だけでなく、市場の形成にも大きな影響を与えている。
  ミネラルの豊富な食品は、食べ終えたとき、食事をストップさせる「満腹感イメー
 ジ」で終わる。だから、もう一度食べようとは思いにくくなるのだ。
  一方、ミネラル不足食品は、物理的に食べられなくなるが、満腹感がないので、次
 にその食品を見たときも、「満腹感イメージ」が浮かんでこない。そうなると、購買
 に結びつきやすい。
  したがって二度目に買われるのは、ミネラル不足食品が多くなる。
  ミネラルが多くて体にいい食品は市場では敗退し、精製度の高いミネラル不足食品
 だけが生き残ってしまうのは、現代の食品・食事マーケットの宿命といえよう。

                      小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.129-138

 

 

●量子スケールデバイス工学(6)

図1

【量子ドット太陽電池研究Ⅰ 下】 
 

また、図8に示したように、波長変換粒子42は、キャリア発生部41xよりも直径が小
さいキャリア発生部42xと、このキャリア発生部42xの表面を覆うように配置された
エネルギー選択移動部42yと、該エネルギー選択移動部42yの表面を覆うように配置
された半導体部42zと、を有している。キャリア発生部42x、エネルギー選択移動部
42y、及び、半導体部42zは、何れも、半導体材料によって構成されている。エネル
ギー選択移動部42yは、キャリア発生部42xの表面に形成された第1障壁層42ya、
この第1障壁層42yaの表面に形成された量子井戸層42yb、及び、この量子井戸層
42ybの表面に形成された第2障壁層42ycを有している。波長変換粒子42では、
その中心側から外側へ向かって、キャリア発生部42x、第1障壁層42ya、量子井戸
層42yb、第2障壁層42yc、及び、半導体部42zが同心円状に配置されている。
波長変換粒子42において、第1障壁層42ya及び第2障壁層42ycは、キャリアが
トンネル伝導により通過可能な厚さとされており、半導体部42zは、キャリアがトンネ
ル伝導により通過できない厚さとされている

 図8 


図9に示したように、波長変換粒子43は、キャリア発生部43xを構成する半導体材料
の伝導帯側に3つの離散準位が形成されており、キャリア発生部43xを構成する半導体
材料の価電子帯側には離散準位が形成されていない。キャリア発生部43xの伝導帯側に
形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位と、キャリア発生部43xの
価電子帯上端のエネルギーEv1aとのエネルギー差はEg1c(>Eg1b>Eg1a)
である。また、波長変換粒子43は、量子井戸層43ybを構成する半導体材料の伝導帯
側に1つの離散準位が形成されており、量子井戸層43ybの価電子帯側には離散準位が
形成されていない。量子井戸層43ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギ
ーEc1bは、キャリア発生部43xの伝導帯側に形成されている離散準位のうち、最も
高エネルギーでもなく最も低エネルギーでもない離散準位のエネルギーと同一である。E
c1bは、半導体部43zの伝導帯下端のエネルギーEczよりも図9右側に位置してい
る。また、量子井戸層43ybの価電子帯上端のエネルギーEv1bは、Ev1a及び半
導体部43zの価電子帯上端のエネルギーEvzよりも図9の図右側に位置している。

また、図8に示したように、波長変換粒子43は、キャリア発生部42xよりも直径が小
さいキャリア発生部43xと、該キャリア発生部43xの表面を覆うように配置されたエ
ネルギー選択移動部43yと、該エネルギー選択移動部43yの表面を覆うように配置さ
れた半導体部43zと、を有している。キャリア発生部43x、エネルギー選択移動部43y、
及び、半導体部43zは、何れも、半導体材料によって構成されている。エネルギー選択
移動部43yは、キャリア発生部43xの表面に形成された第1障壁層43ya、この第
1障壁層43yaの表面に形成された量子井戸層43yb、及び、該量子井戸層43yb
の表面に形成された第2障壁層43ycを有している。波長変換粒子43では、その中心
側から外側へ向かって、キャリア発生部43x、第1障壁層43ya、量子井戸層43yb、
第2障壁層43yc、及び、半導体部43zが同心円状に配置されている。波長変換粒子
43において、第1障壁層43ya及び第2障壁層43ycは、キャリアがトンネル伝導
により通過可能な厚さとされており、半導体部43zは、キャリアがトンネル伝導により
通過できない厚さとされている。

図9に示したように、波長変換粒子43は、キャリア発生部43xを構成する半導体材料
の伝導帯側に3つの離散準位が形成されており、キャリア発生部43xを構成する半導体
材料の価電子帯側には離散準位が形成されていない。キャリア発生部43xの伝導帯側に
形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位と、キャリア発生部43xの
価電子帯上端のエネルギーEv1aとのエネルギー差はEg1c(>Eg1b>Eg1a)
である。また、波長変換粒子43は、量子井戸層43ybを構成する半導体材料の伝導帯
側に1つの離散準位が形成されており、量子井戸層43ybの価電子帯側には離散準位が
形成されていない。量子井戸層43ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギ
ーEc1bは、キャリア発生部43xの伝導帯側に形成されている離散準位のうち、最も
高エネルギーでもなく最も低エネルギーでもない離散準位のエネルギーと同一である。
Ec1bは、半導体部43zの伝導帯下端のエネルギーEczよりも図9の図左側に位置
している。また、量子井戸層43ybの価電子帯上端のエネルギーEv1bは、Ev1a
及び半導体部43zの価電子帯上端のエネルギーEvzよりも図9の図右上側に位置して
いる。

波長変換粒子41、42、43の中では、キャリア発生部41xのエネルギー差Eg1a
が最小であり、Eg1a<Eg1b<Eg1c<Eg2となっている。そのため、透明物
質内に波長変換粒子41、42、43が分散されて保持されている波長変換部に太陽光が
入射すると、Eg1a以上のエネルギーを有する光が吸収される。こうして光が吸収され
ると、様々なエネルギーを有する電子が、キャリア発生部41x、42x、43xを構成
する半導体材料の価電子帯から伝導帯の離散準位へと励起され、当該半導体材料の価電子
帯には正孔が形成される。

キャリア発生部41xで生成された電子は、キャリア発生部21xで生成された電子と同
様の過程を経て、量子井戸層41ybの伝導帯に形成されている離散準位へと移動し、キ
ャリア発生部41xで生成された正孔は、キャリア発生部16xaで生成された正孔と同
様の過程を経て、量子井戸層41ybの価電子帯へと移動する。上述のように、Eczは
Ec1bよりも図9の図右側に位置し、そのエネルギー差は、電子が乗り越えられないほ
どに大きい。また、EvzはEv1bよりも図9の図右側に位置し、そのエネルギー差は、
正孔が乗り越えられないほどに大きい。さらに、半導体部41zの厚さはキャリアがトン
ネル伝導により通過できない程度に厚い。そのため、量子井戸層41ybへと達した電子
及び正孔は、半導体部41zを通過することができず、量子井戸層41ybで結合する。
このようにして電子及び正孔が結合すると、量子井戸層41ybでエネルギーEg2の単
色光が生じる。

また、キャリア発生部42xで生成された電子は、キャリア発生部22xで生成された電
子と同様の過程を経て、量子井戸層42ybの伝導帯に形成されている離散準位へと移動
し、キャリア発生部42xで生成された正孔は、キャリア発生部16yaで生成された正
孔と同様の過程を経て、量子井戸層42ybの価電子帯へと移動する。波長変換粒子41
の場合と同様に、量子井戸層42ybへと達した電子及び正孔は、半導体部42zを通過
することができず、量子井戸層42ybで結合する。このようにして電子及び正孔が結合
すると、量子井戸層42ybでエネルギーEg2の単色光が生じる。

また、キャリア発生部43xで生成された電子は、キャリア発生部23xで生成された電
子と同様の過程を経て、量子井戸層43ybの伝導帯に形成されている離散準位へと移動
し、キャリア発生部43xで生成された正孔は、キャリア発生部16zaで生成された正
孔と同様の過程を経て、量子井戸層43ybの価電子帯へと移動する。波長変換粒子41、
42の場合と同様に、量子井戸層43ybへと達した電子及び正孔は、半導体部43zを
通過することができず、量子井戸層43ybで結合する。このようにして電子及び正孔が
結合すると、量子井戸層43ybでエネルギーEg2の単色光が生じる。

このように、透明物質内に波長変換粒子41、42、43が分散されて保持されている波
長変換部を用いても、単色光を発生させることができる。波長変換粒子41、42、43
は、波長変換粒子21、22、23とは異なり、量子井戸層41yb、42yb、43yb
で単色光を発生させる。ここで、図7に示したように、発光部21z、22z、23zは、
Eg2以上のエネルギーを有する光を吸収することができる。これに対し、図9に示した
ように、量子井戸層41yb、42yb、43ybの伝導帯側には離散準位が形成されて
いるので、量子井戸層41yb、42yb、43ybはEg2のエネルギーを有する光の
みを吸収することができる。すなわち、量子井戸層41yb、42yb、43ybは、発
光部21z、22z、23zと比較して、吸収可能な光が限定される。そのため、波長変
換粒子41、42、43は、波長変換粒子21、22、23よりも多くの光を、キャリア
発生部41x、42x、43xに吸収させることができ、その結果、波長変換粒子41、
42、43は、波長変換粒子21、22、23よりも多量の単色光を発生させることがで
きる。また、発光部21z、22z、23zは、量子井戸層41yb、42yb、43yb
よりも厚い。他の波長変換粒子で生成された単色光が波長変換粒子41、42、43で再
吸収される量は、他の波長変換粒子で生成された単色光が波長変換粒子21、22、23
で再吸収される量よりも少ない。加えて、波長変換粒子41、42、43では、Ev1a
とEv1bとが異なるので、量子井戸層41yb、42yb、43ybで発生させた単色
光のエネルギーが、キャリア発生部41x、42x、43xの伝導帯に形成された離散準
位と価電子帯上端とのエネルギー差に一致しない。かかる形態とすることにより、量子井
戸層41yb、42yb、43ybで生じさせた単色光が、キャリア発生部41x、42x、
43xに再吸収される事態を防ぐことが可能になるので、より多くの単色光を光電変換部
30に吸収させることが可能になる。さらにまた、波長変換粒子41、42、43では、
Ev1bがEv1aよりも図9の紙面上側に位置するように調整されているので、キャリ
ア発生部41x、42x、43xで生成された正孔が量子井戸層41yb、42yb、43yb
に移動しやすい。かかる形態とすることにより、量子井戸層41yb、42yb、43yb
で電子と正孔とを結合させやすくなるので、より多くの単色光を発生させることが可能に
なる。したがって、波長変換粒子41、42、43を有する形態の波長変換部を用いるこ
とにより、光電変換効率を高めやすくなる。

波長変換粒子41、42、43において、キャリア発生部41x、42x、43xを構成
する半導体材料のバンドギャップは、キャリア発生部21x、22x、23xを構成する
半導体材料のバンドギャップと同程度にすることができる。キャリア発生部41xの直径
及びバンドギャップは、キャリア発生部21xの直径及びバンドギャップと同程度にする
ことができ、キャリア発生部42xの直径及びバンドギャップは、キャリア発生部22x
の直径及びバンドギャップと同程度にすることができ、キャリア発生部43xの直径及び
バンドギャップは、キャリア発生部23xの直径及びバンドギャップと同程度にすること
ができる。また、キャリア発生部41x、42x、43xは、キャリア発生部21x、
22x、23xと同様の材料によって構成することができ、キャリア発生部21x、22
x、23xと同様の方法によって作製することができる。

また、第1障壁層41ya、42ya、43ya、及び、第2障壁層41yc、42yc、
43ycを構成する半導体材料のバンドギャップは、第1障壁層21ya、22ya、23ya
や第2障壁層21yc、22yc、23ycを構成する半導体材料のバンドギャップと同
程度にすることができる。第1障壁層41ya、42ya、43ya、及び、第2障壁層
41yc、42yc、43ycの厚さは、第1障壁層21ya、22ya、23yaや第
2障壁層21yc、22yc、23ycの厚さと同程度にすることができる。また、第1
障壁層41ya、42ya、43ya、及び、第2障壁層41yc、42yc、43yc
は、第1障壁層21ya、22ya、23yaや第2障壁層21yc、22yc、23yc
と同様の材料によって構成することができ、第1障壁層21ya、22ya、23yaや
第2障壁層21yc、22yc、23ycと同様の方法によって作製することができる。

また、半導体部41z、42z、43zを構成する半導体材料のバンドギャップは、例え
ば2.0eV以上5.5eV以下とすることができる。キャリアがトンネル伝導により通
過できない厚さにする等の観点から、半導体部41z、42z、43zの厚さは10nm
以上とする。また、波長変換粒子41、42、43に占めるキャリア発生部41x、42x、
43xの割合が小さくなり過ぎないようにする等の観点から、半導体部41z、42z、
43zの厚さは100nm以下とすることができる。また、半導体部41z、42z、43z
を構成可能な半導体材料としては、GaAs、CdTe、AlGaAs、GaInP、
AlAs、ZnTe、GaP、CdS、ZnSe、GaN、ZnS等を例示することがで
きる。半導体部41z、42z、43zは、発光部21z、22z、23zと同様の方法
によって作製することができる。

量子井戸層で単色光を発生させる波長変換粒子に関する上記説明では、エネルギー選択移
動部の表面に半導体部が配置されている形態を例示したが、量子井戸層で単色光を発生さ
せる波長変換粒子は、当該形態に限定されない。量子井戸層で単色光を発生させる波長変
換粒子に備えられているエネルギー選択移動部の表面には、キャリアがトンネル伝導によ
り通過できない厚さの絶縁性材料が配置されていても良い。かかる形態であっても、エネ
ルギー選択移動部の表面に半導体部が配置されている形態と同様の効果を奏することが可
能になる。


また、波長変換粒子41、42、43に関する上記説明では、Ev1bが、Ev1aより
も図9の紙面上側に位置し、且つ、Ev1bとEv1aとの差が0.05eV以上0.2
eV以下程度とされている形態を例示したが、量子井戸層で単色光を発生させる波長変換
粒子は当該形態に限定されない。Ev1bがEv1aよりも下側に位置する形態とするこ
とも可能であり、Ev1aとEv1bとを等しくすることも可能である。ただし、量子井
戸層で発生させた単色光がキャリア発生部に再吸収され難い形態とすることによって光電
変換効率を高めやすくするという観点、及び、キャリア発生部で生成された正孔が量子井
戸層へと移動しやすい形態にして量子井戸層で単色光が発生しやすい形態とすることによ
って光電変換効率を高めやすくするという観点からは、Ev1bが、Ev1aよりも図9
の図右上側に位置し、且つ、Ev1bとEv1aとの差を0.05eV以上0.2eV以
下程度にすることが好ましい。

また、波長変換粒子41、42、43に関する上記説明では、量子井戸層41yb、42
yb、43ybの価電子帯側には離散準位が形成されていない形態を例示したが、量子井
戸層で単色光を発生させる波長変換粒子は当該形態に限定されない。量子井戸層で単色光
を発生させる波長変換粒子には、価電子帯側に離散準位が形成されている量子井戸層も用
いることができる。

また、本発明に関する上記説明では、粒子状のキャリア生成物質であるキャリア生成粒子
や、粒子状の波長変換物質である波長変換粒子が用いられる形態を例示したが、キャリア
生成物質や波長変換物質の形態は、粒子状に限定されない。キャリア生成物質及び波長変
換物質は、線状等の他の形態とすることも可能である。キャリア生成物質や波長変換物質
の形状を線状にする場合には、線状のキャリア発生部の直径を、粒子状のキャリア発生部
の直径と同程度にすれば良い。なお、線状のキャリア生成物質や線状の波長変換物質を用
いる場合、混合pn材料層や、波長変換物質を分散し保持する透明材料を突き破らないよ
うな長さにする等の観点から、線の軸方向長さは、例えば20nm以上500nm以下と
することが好ましい

化学的合成法を用いた線状のキャリア生成物質(以下において、「キャリア生成細線」と
いう。)の作製法の具体例として、キャリア発生部にPbSe、第1障壁層及び第2障壁
層にZnS、量子井戸層にCdTeを用いた場合について、以下に説明する。

●キャリア発生部の合成

フラスコ(キャリア生成細線の作製法に関する以下の説明において、「第1フラスコ」と
いう。)に、溶媒となるフェニルエーテル、及び、オレイン酸と、Pb源である酢酸鉛と
を入れ、不活性ガス中で150℃程度に加熱することにより酢酸鉛を溶解した後、60℃
程度に冷却する。次いで、第1フラスコに、Se源であるセレン化トリオクチルフォスフ
ィン、及び、トリオクチルフォスフィンを加える。一方、第1フラスコとは別のフラスコ
(キャリア生成細線の作製法に関する以下の説明において、「第2フラスコ」という。)
に、フェニルエーテル及びテトラデシルフォスフィンを入れ、不活性ガス中で250℃程
度(注入溶液の温度)に加熱する。その後、加熱された第2フラスコへ、Se源等が加え
られた第1フラスコ中の溶液を注入し、180℃程度(反応温度)に保持する。以上の過
程を経ることにより、太さ6nm程度のキャリア発生部(PbSe細線)を生成すること
ができる。ここで、注入溶液の温度及び反応温度が高くなるほど、溶液中の原料濃度比率
Pb/Seが大きくなると、球状粒子ではなく細線を生成しやすくなる。なお、PbSe
のバンドギャップはバルクでは0.27eVであるが、量子効果により0.7eV程度と
なる。

●第1障壁層の合成

フラスコ(キャリア生成細線の作製法に関する以下の説明において、「第3フラスコ」と
いう。)に、トリオクチルフォスフィンを入れ、さらに、Zn源であるジメチル亜鉛、及
び、S源であるビストリメチルシリルサルファイドを加え、300℃程度に加熱する。そ
の後、第3フラスコの溶液を、200℃程度に再加熱した第2フラスコへと加え、100
℃程度に冷却する。以上の過程を経ることにより、キャリア発生部の周囲に、厚さ3nm
程度の第1障壁層(ZnS層)を形成することができる。このようにして形成したZnS
層のバンドギャップは、3.58eVである。

●量子井戸層の合成

フラスコ(キャリア生成細線の作製法に関する以下の説明において、「第4フラスコ」と
いう。)に、トリオクチルフォスフィンを入れ、Cd源であるジメチルカドミウム、及び、
Te源であるトリオクチルフォスフィンテルルを加え、220℃程度に加熱して溶解する。
その後、第4フラスコの溶液を、240℃程度に再加熱した第2フラスコへと加える。以
上の過程を経ることにより、第1障壁層の周囲に、厚さ5nm程度の量子井戸層(CdTe
層)を形成することができる。なお、CdTeのバンドギャップはバルクでは1.44eV
であるが、量子効果により1.65eV程度となる。

●第2障壁層の合成

フラスコ(キャリア生成細線の作製法に関する以下の説明において、「第5フラスコ」と
いう。)に、トリオクチルフォスフィンを入れ、さらに、Zn源であるジメチル亜鉛、及
び、S源であるビストリメチルシリルサルファイドを加え、300℃程度に加熱する。そ
の後、第5フラスコの溶液を、200℃程度に再加熱した第2フラスコへと加え、100
℃程度に冷却する。以上の過程を経ることにより、量子井戸層の周囲に、厚さ3nm程度
の第2障壁層(ZnS層)を形成することができる。このようにして形成したZnS層の
バンドギャップは、3.58eVである。こうして第2障壁層を形成したら、例えばメタ
ノールを用いた洗浄を行う工程を経て、キャリア生成細線を得ることができる。

このような手順で作製可能なキャリア生成細線を備える太陽電池は、キャリア生成粒子に
代えてキャリア生成細線を用いるほかは、太陽電池100と同様の方法によって作製する
ことができる。キャリア生成細線を用いる太陽電池において、混合pn材料層に含まれる、
キャリア生成細線、p型半導体材料、及び、n型半導体材料の混合比率は特に限定されず、
例えば、質量比で、キャリア生成細線:p型半導体材料:n型半導体材料=2:1:1と
することができる。キャリア生成細線、p型半導体材料、及び、n型半導体材料の混合比
率は、それぞれ、0.1倍~10倍の範囲で適宜変化させても良い。

また、線状の波長変換物質(以下において、「波長変換細線」ということがある。)は、
上記キャリア生成細線のキャリア発生部から第2障壁層までを作製する手順と同様の手順
で第2障壁層を作製した後、波長変換粒子における発光部や半導体部を作製する際の方法
と同様の方法によって発光部や半導体部を作製することにより、作製することができる。
このような手順で作製可能な波長変換細線を備える太陽電池は、波長変換粒子に代えて波
長変換細線を用いるほかは、太陽電池200と同様の方法によって作製することができる。

本発明に関する上記説明では、粒子状のキャリア生成物質若しくは粒子状の波長変換物質、
または、線状のキャリア生成物質若しくは線状の波長変換物質が用いられる形態を例示し
たが、本発明の光電変換素子は、当該形態に限定されない。本発明の光電変換素子は、キ
ャリア生成粒子及びキャリア生成細線が同一層内に分散された形態の層を有していても良
く、波長変換粒子及び波長変換細線が分散された波長変換部が用いられる形態であっても
良い。ただし、光電変換効率を高めやすい形態にする等の観点からは、キャリア生成粒子
や波長変換粒子を用いることが好ましい。


                        「
特開2014-017420 光電変換素子」 
                            株式会社 豊田中央研究所


以上、この件は上がり。これを踏まえ、量子ドット太陽電池の個々の独創的な試作アプロ
ーチ合戦がはじまる。

 

 

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