【太陽電池にシフトする米国】
2011年2月4日
脱原発の動きは原発本家の米国にも及んでいる。米研究開発機関のセマテック(SEMATECH)
が米エネルギー省(DOE)から6,250万ドル(約50億円)の補助を受け、太陽電池技術の開発
を進める。2020年までに火力などの既存エネルギと同等のコストに引き下げる「グリッドパ
リティ」実現を目指す。米DOE太陽電池システムコストを現状比75%引き下げることでグリッ
ドパリディを実現する「サンショット・イニシアチプ」を推進中。この一環としてセマテッ
クに太陽電池の研究開発と低コスト化に焦点を当てた事業を委託する。実態期間は5年間。
2011年6月30日
DOE Pursues SunShot Initiative to Achieve Cost Competitive Solar Energy by 2020
エネルギー省は、3つのカルフォルニア太陽光発電所のために45億ドル(約3600億円)を支
援融資保証する。太陽光発電量は約1,330メガワット出力(予想)。
2011年6月21日 日経キャリア
拡大する米国の太陽電池市場、電力会社への罰則規定で大型化が加速
米Solarbuzz社の調査では、米国の太陽光発電プロジェクトの2015年までの受注残量が18GW
を超えた。電力事業者用大型電力発電所がその90%以上を占める。一方で日本では、電気事
業者が2020年度までに全国約30地点で約140MWの太陽光発電設備を設置する「メガソーラー
発電」計画を公表している。両者を比較すれば、いかに米国が大規模な開発を進めようとし
ているかが分かるだろう。
米国の中でも「中部大西洋地域は、カリフォルニア州を抜いて一番大きな太陽光発電市場とな
っている」(アメリカ太陽エネルギー産業協会(SEIA)会長のRhone Resch氏)。中部大西洋
地域には、ペンシルバニア州やデラウェア州、メリーランド州、ニュージャージー州、ニュ
ーヨーク州、バージニア州、ウエストバージニア州、そしてワシントンDCが含まれる。この
うちニュージャージー州は、アメリカの太陽電池市場でトップ2に位置し、2010年には州内
で前年の3倍近い約160MWを設置した。ペンシルバニア州も大きく飛躍しており、2010年には
50MW以上を設置している。
カリフォルニア州のような広い土地や豊富な日射量がない東海岸で太陽電池を推進する要因
となっているのは何か?それは「再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(Renewable
Portfolio Standard:RPS)」の一部である「ソーラー・セットアサイド」という条項である。
RPSは、電力事業者に電力販売量の一定の割合を再生可能資源を利用した発電でまかなうこ
とを義務付けたものだ。ただし、特に再生可能エネルギー技術に規定のない場合、風力など
の設置コストの低い技術に偏る可能性がある。これを解決する手段として、一部の州では、
再生可能エネルギーを利用する発電量のうち一定量を太陽光発電でまかなうという条項を定
めている。これをセットアサイド条項と呼び、ニュージャージー州やペンシルバニア州を含
めた13州と、ワシントンDCが採用している。
ニュージャージー州では、2026年度(2025年6月~2026年5月)までに5.316GWhを太陽電池に
よる発電でまかなわなければならない。ペンシルベニア州では、2021年度(2020年6月~2021
年5月)まで電力販売量の0.5%(累積約850MW)を太陽電池で満たすという目標を設定してい
る。このような義務は管理システムがなければ達成できないだろう。両方の州では、義務が
満たされない場合、電力会社にペナルティーが課せられるようになっている。例えばニュー
ジャージー州では、2011年度(2010年6月~2011年5月)の場合、満たされなかったMWh単位ご
とに675米ドル、約54.6円/kWh($=80.8円)が課せられる。
日本と比べてみよう。今年度から余剰電力買取価格が住宅用42円/kWh(420円/MWh)、非住
宅用が40円/kWh(400円/MWh)となった。日本では平均電力小売価格の約2倍で買い取りされ
ている。ニュージャージー州の住宅用電力小売価格は約16.6セント/kWhで、ペナルティー額、
または、満たされなかったMWhごとの買取価格が平均電力小売価格の4倍以上となる。
※さすが「戦略思考」の国だけのことはある。日本はなんと保守的で官許的国家なんだろう
かと思わずため息がでてしまう。思えば、この思考枠の下で原子力兵器開発の副産物の原
子力発電に投じられた巨額資金が、国家主義的あるいは軍事ケインズ主義的と言い換えて
も良いが、有効・無効の是非を超えた需要及び価値・無価値の是非を超えた労働が、集中
投入されてきたわけで、原子力の電力料金(ライフサイクルコスト、リスクコスト→テロ
及び二酸化炭素リスクコストを含む)が安いと戯けた喧伝を続けてきた日本政府と異なり、
当事者意識が健全に働いているようにも受け止められられなくはない。かといって、人類
史初で最大級の広島・長崎への原爆投下という戦争犯罪が許されものでもない。
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【されど、吾が道を行く群日本技術】
2011年6月15日 経産業新聞
金沢工業大学 太陽光発電セル、希少金属不要
2011年6月20日 日経ビジネス ONLINE
塗って作れる太陽電池 印刷のように大量生産、カーテンや衣服でも発電へ
2011年6月20日 日経産業新聞
電流密度最大3300倍 有機薄膜太陽電池 厚膜化で効率向上 分子研
2011年6月21日 日刊工業新聞
東北大 太陽電池変換効率 シリコンで45%超 量子ドット型、安価に
2011年6月22日 日刊工業新聞
東大 色素増感型太陽電池 変換効率11.3%試作
2011年6月23日 マイコミジャーナル
IMSら、有機薄膜太陽電池の光電流を向上できる新手法を開発
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富山大学の和漢医薬学総合研究所、国立がん研究センター、富山県高岡市の製薬会社が、共
同で取り組み、自覚症状がほとんどなく、手遅れになることが多いすい臓がんの治療に漢方
薬を利用できないか調べるため、5百種類以上の漢方薬の成分を試験管の中のすい臓がんの
細胞に直接、投与したところ、解熱剤として使われてきたごぼうの種に含まれるアルクチゲ
ニンという成分にがん細胞を小さくする効果を発見。すい臓がんを発症させたマウスにアル
クチゲニンを口から与えたところ、およそ1か月後には投与しなかったマウスに比べてがん
細胞の成長が3分の1ほどに抑えられたほか、アルクチゲニンを与えたマウスでは与えない
マウスの倍の100日程度生きていたという。現在、アルクチゲニンの臨床試験を開始、安
全性や有効性を確認できればすい臓がんの治療薬として開発を進めるという。富山大学和漢
医薬学総合研究所の門田重利教授は「ヒトに対しても治療効果があることを証明し、すい臓
がん患者を助けられるよう新しい薬を作りたい」と話す。
2004年における10万人毎の膵癌による死亡者数(年齢標準化済み)
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