組み立て完了から数ヶ月を経て、塗装作業に入りました。この時点で知波単学園チームの九七式中戦車を新旧2輌ずつ組み立て終えていましたので、4輌まとめて塗装しました。結果的には塗料の節約にもなりましたし、迷彩模様も連続で塗るので筆運びや状態も同じスタンスを維持出来、4輌全てが同じ仕上がりになったので良かったと思います。
今回の西車については、チームの隊長車であるためか、迷彩パターンも分断色の黄帯も独特のデザインとなっています。とくに黄帯は幅が太くて目立ちます。それで、塗料の粘度を上げて塗る手法を試してみることにしました。
まず、車体の基本カラーである茶色を吹き付けました。今回のキットはファインモールド製品ですが、その製作ガイドの塗装指示の茶色TC17(ミスターカラーの526番に相当)は、劇中車のカラーより濃いです。どちらかといえば帝国陸軍車輌のカラーです。
カラーチャートで検討したところ、劇中車の茶色はブラウンよりは明度があってウッドブラウンに近いカラーであると分かりました。たまたま手元にミスターカラースプレーの43番ウッドブラウンがありましたので、試しに吹いて発色を確かめたところ、ほぼ劇中車のカラーになりました。
そこで、知波単学園チームの茶色カラーは全てミスターカラースプレーの43番ウッドブラウンに統一し、これを最初に吹き付けて基本カラーとする方針でゆくことにしました。エアブラシでも出来ますが、4輌まとめての塗装ならば、缶スプレーの方が手っ取り早いからです。
次に迷彩の塗装を細筆で行いました。緑色は525番を使用しました。劇中車の公式図やアニメのキャプチャー図などを見ながら模様を合わせて塗りました。
仕上がりました。車輪も緑色の部分を塗りました。
続いて522番の土地色の模様を塗りました。土地色の模様は、緑色の模様の上に重なる箇所がありますので、塗る順番も合わせました。
仕上がりました。車輪のほうも塗りました。
転輪の塗り分けに関しては注意点が一つあります。ファインモールドの製作ガイドの塗装指示において西車は塗装例1にあたりますが、その右側の5番目と6番目の転輪はTC13つまり522番の土地色が指定されています。
しかし、劇中車は5番目と6番目の転輪が茶色ですので、TC17つまり526番で塗るのが正しいです。私の製作では茶色をウッドブラウンとしていますので、缶スプレーによる基本塗装のウッドブラウンのままとしました。
砲塔の砲身部分と基部を55番のカーキで塗りました。知波単学園チームの車輌は、全て同じ部分がカーキであり、ハッチ内側もカーキになっています。
分断色の黄帯を塗りました。ネット上などで見かける先行作例では、発色を良くするためにホワイトを敷いてから黄色を塗るという手法が多く使われています。
しかし、黄色は白色よりも隠蔽力が強いカラーです。水彩、油彩、パステル画いずれにおいても同様であり、ホワイトを敷かなくても黄色本来の発色を得る簡単な方法があります。それは、先ほど述べた、塗料の粘度を上げてから塗る、というやり方です。
芸大の絵画実習では必ず学ぶ基礎的なテクニックですが、模型業界ではあまり知られていないようです。ホワイトを敷いてから塗る、というのは、塗料の粘度を上げずに薄めたりして塗るから必要になるのでしょう。
塗料の粘度を上げるのは簡単です。黄色は4番を使用しましたが、これは原色なのでツヤもあって発色性も良いです。その塗料瓶のフタを開けて、しばらく放置すれば塗料の粘度が上がってきます。
塗装の経験がある方なら誰でも御存知でしょうが、塗料はフタを開けたまま置いておくと、次第にサラサラからドロドロ状態になってきます。このドロドロ状態を目指せば良いです。そのドロドロ状態の塗料を細筆にたっぷりふくませて、塗るというより付けるという気持ちで、塗料の滴をベタッという感覚で置きます。
なので、黄色の部分だけ厚みが生じますが、乾燥すれば厚みも減ります。塗料の量が足りなくて隠蔽が弱い部分があれば、そこにタッチアップして仕上げます。今回はそのタッチアップも殆ど必要ありませんでした。
仕上がりは、上図の通りです。ホワイトを敷かなくても充分に黄色本来のカラーが定まっています。
黄帯の塗装が済んだら、転輪を取り付けます。各カラーの転輪の位置を間違えないようにしましょう。
車体前面の機銃は28番の黒鉄色で塗りました。
排気管は61番の焼鉄色で塗りました。その後、エッチングパーツの網カバーをかぶせましたが、柔らかくてすぐ曲がったりするので、取り付けに苦労しました。この部分はタミヤ製品のブラパーツの方が楽です。
砲塔背面の機銃も28番の黒鉄色で塗りました。 (続く)