ラストのステップ9では、車体背面のラックに載せる備品やガソリン缶を作りますが、劇中車には装備されていませんので、これらは不要です。砲塔をつければ、完成です。
下部車体に、起動輪、VVSS、誘導輪を取り付けました。いずれもアスカモデルのパーツですが、イタレリのキットにも違和感なくおさまりました。
最後の追加作業として、フェンダー前部の形状をプラ板の貼り増しにて修正しました。キットのパーツは丸くまとまりますが、劇中車では外に広がる形です。ファイアフライの同部分とほぼ同じ形状なので、これも3Dデータを共用しているものと思われます。
イタレリのキットの車輪部は、そのまま組むと全体的やや前に寄った状態になります。劇中車は誘導輪がもっと後ろに位置しますが、イタレリのキットでは5ミリほど前に位置するので、上下車体のかみ合わせ調整の際に下部車体の後端を3ミリほど削ってバランスを取りましたが、それでも車輪部が前のめりになる印象が払拭出来ませんでした。
それが、フェンダー前部の形状を修正して前端を3ミリほど出すことで、少しバランスがよくなってきた感じでした。
修正が完了しましたので、砲塔を仮組みしてみました。
とりあえず、塗装前の組み立てと修正の全てが終わりました。
塗装に進みました。サーフェイサーを薄く吹きつけて下地をこしらえました。
車体色は、前回のケイ搭乗車と同じタミヤのエアモデルスプレーAS14を使用して吹き付けました。
履帯は、ミスターカラーの28番黒鉄色で吹き付け塗装し、乾燥した後にゴム部分をポスカの黒で塗りました。
転輪も、ポスカの黒で塗りました。ペン先を当てて固定しておき、転輪を指で回して塗りました。
履帯を装着しました。上部車体と組み合わせると、履帯の上半分はサンドスカートに隠れてしまいますので、車体を組み合わせる前に塗装と装着を済ませておく必要がありました。
車体の上下を組み合わせて、砲塔もセットしました。アリサ搭乗車独特の鋳造車体の曲面ラインが印象的です。
車外装備品を塗りました。木製部分は43番のウッドブラウン、金属部分は28番の黒鉄色としました。劇中のワンシーンを参考にして塗りました。
予備履帯ラックは28番の黒鉄色、予備履帯はポスカの黒で塗りました。後部ライトは8番のシルバー、左ライトの上側のみ47番のクリアレッドで塗りました。
後部の装備品類の塗装が終わりました。
車体前部においては、ライトを8番のシルバー、前部機銃を28番の黒鉄色で塗りました。
デカールは、モデルカステンのガルパンデカールセットVol.1にあるものを使いました。
サンダースのマーク群のうち、最上段に並ぶのが今回の車輌に使う分です。M4Aとあります。大きいサイズ2枚は砲塔左右に、小さいサイズ1枚は車体前面に貼ります。
デカールを貼りました。
砲塔の左右のデカールは、左右対称の位置にはありませんので注意して下さい。左側のマークがやや前に位置しています。
左側面観です。
右側面観です。
正面観です。砲塔を右に向けてみました。76ミリの長砲身がカッコいいです。
背面観です。背面左右にセットされた予備履帯ラックが、外観にメリハリを与えています。テレビ版仕様では予備履帯ラックがありませんので、外見の面では劇場版仕様のほうが変化に富みます。
今回の製作ではVVSSをアスカモデルのパーツに交換し、サスペンションを可動にしていましたが、履帯を仮に付けてみると、その張力によって第一転輪と第六転輪が上に持ち上がって浮いてしまうのでした。実際には有り得ない状態なので違和感がありました。
そこで、第一、第二転輪と第五、第六転輪は左右ともあらかじめサスペンション部を接着固定し、転輪だけが回るようにしました。その状態で履帯を付けたのが、上図の状態です。
かくして、サンダース大学付属高校チームのM4シャーマン76mm砲搭載型が劇場版仕様にて完成しました。製作日数は、2016年7月21日から7月29日までの9日でした。組み立てに6日、塗装に1日、塗装後の組み立てとデカール貼り付けに1日かかりました。
キットはイタレリの製品を使いましたが、スカート前端の形状と、砲塔の幾つかの細部が異なる程度でしたので、修正作業も比較的少なくて済みました。VVSSのパーツは劇中車の初期型と違って後期型であるため、こだわるならばアスカのパーツセットに交換するか、ドラゴン等の他キットのパーツを転用する必要があります。
従来、ガルパンのM4A1シャーマン76mm砲搭載型の元ネタは、今回のイタレリのキットであるとされてきましたが、全体的にはその通りであることが実感出来ました。ただ、3Dデータ化の際のアレンジが各所に施されているようで、キットでは曲面になっている部分がアニメ劇中車では平面的になっていたり、砲塔側面の傾斜面が垂直面に変更されていたりと、多少の変化が見られたのも事実です。
なので、制作自体は割合に楽なキットですが、劇中車に完全に合わせようとすると、車体側面部や砲塔部分を中心に大幅な整形作業が必要になります。再現度は九割で、と割り切っておくのも手でしょう。
今年の6月から、今回のキットの再生産再販分が「WORLD OF TANKS アメリカ 中戦車 M4」として販売されていますので、現時点では入手も容易なほうでしょう。古いキットですが、出来は良く、パーツ数も少なく組み立て易いので、初心者にもおすすめだと思います。