福島木工家具店

製作した家具の紹介と日記

帰省日記 3 中村好文講演会

2009-05-21 06:54:24 | 日記
帰省目的の一つであります、中村好文氏の講演会へ行ってきました。

数年前、NHKプロフェッショナル(http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/060413/index.html)

という番組で建築家として紹介されていたのを偶然見たことがありました。

この中で、「どんな家が欲しいのか、依頼者にはわからない」という氏の言葉が印象に残っています。

つまり、依頼者の要望をすべて盛り込んでは、いい家は出来ない。

これは一歩間違うと設計者の押し付けになってしまうリスクを孕んでいます。

この自信はどこから来るのか? 興味深く番組を見たのを覚えています。


その中村氏が名古屋で講演会をすることに。

題目は、「私のデザイン手法 建築と椅子」with 3人の木工家。

講演開始早々、スライドに ENKEL SPIRIT と出てきました。

ENKELとは、スウェーデン語で「簡素な、質素な」と言う意味だそうです。

つまり、普通で丁度良い、過不足無いのが美しい ということ。


いきなり核心をつく話にグッと引き込まれました。

私は普段あまりデザインを意識しません。

目の前にある材料で、無理・無駄なく実用的に考えて形を決めていきます。

デザインを意識すると、どうしても自分を表現したくなってしまいます。

これは私の場合、我を出すことになり、独りよがりなモノとなる傾向があります。

当然、作られたものは存在感があり目を引きますが、こってりと味が濃く、なんだか馴染めない感じとなります。

我とは、自分勝手、差別、優劣・・・ 

突き進んでしまうとそれはいびつになり、心がねじけて凝り固まりそうでよくありません。


ちょっと話が深みにはまりそうなのでここで転換。

講演する中村氏を見てて感じたことは、なんといっても目が少年のようにキラキラしていること。

そしてトークが軽快で軽やか。重く感じません。淀みのない清流のようでした。

立ち位置も流動的でそこに留まる(拘る)ことない様子。

どうもこのあたりがデザイン手法のポイントのような気がします。

ただのテクニックではなく、過去の実績だけでなく、

今を生きるその人の生き方そのものがデザインになるのかなと、

わかったようなわからないような・・・

結論は簡単に出ないけど、逆に出てしまうとそこで終わってしまうので、

これは生きながら悩み続けるのがいいような気がします。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする