福島木工家具店

製作した家具の紹介と日記

一人弁当箱 製作記録 11

2020-01-29 22:30:36 | 製作記録
毎日漆塗りしています。

いくつか残しておきたい注意点があるので書き留めます。

(興味の無い方は読み飛ばして下さい)

・ 目止めのとの粉を使うタイミングは、最初に塗るよりも漆塗りをかけた後の方が粉の伸びがよく、導管に入れ込むのが容易に思うので今度やってみようと思う。

・ 漆に対して乾燥したはずのボンド(タイトボンド)がしみ出てくる問題で、これは漆塗りをかけて乾燥した後にはみ出た分はその都度鑿などでそぎ落とすことをマメにすること。

・ 室(ムロ)での乾燥では、蒸気が出るほどの加湿では艶が消えて曇りが出てしまうので、過加湿はしないよう気をつけること。

・ 塗り立てにおいては薄塗りを心がけて(縮み防止)2回以上の塗りをするつもりで。埃が目立つので水研ぎも必要。

・ 塗り立ての水研ぎは、漆の乾燥が不十分の場合、鑿(一寸二分)と底さらい鑿を使って、テレピン油で拭きとりながらの方法が良い。

まだあるかもしれませんが、とりあえず気がついたこと。

ただこれは自己流の話なので、ちゃんとした漆塗りには参考になりません。漆塗り職人のしている技法と工程は次元が違います。



今回、簡易の室という、漆塗りを乾燥させるためのスペースを作ってみました ↓


隙間があるので加湿・加温の効率が悪いです。



中はこんな感じ ↓


いつか機密性の良い室を作ってみたい。



やはり一月です。寒風が吹いて乾燥しているときには漆は乾きません。

納期も無いので室(乾燥部屋)を初めて作ってみましたが、加湿のしすぎに注意です。

IHクッキングヒーターで鍋に水を入れ、暖めて加湿するのですが、ついつい早く沸かしてやろうと思い、

調節を強のままでちょっと目を離したすきに沸騰して室の中がもくもくと蒸気で満たされてしまいました。

こうなると漆は表面の艶が無くなり曇ったようになってしまいます。


写真の明るい朱色が通常で、紫がかった方が過加湿で曇った状態 ↓





漆の塗り立て ↓




漆と刷毛 ↓



刷毛は漆刷毛でないと塗り立てはきれいに塗れません。

拭き漆と違い、塗り立ては難しい。

四苦八苦の日々が続きます・・・。




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一人弁当箱 製作記録 10

2020-01-26 20:07:59 | 製作記録
いよいよ漆塗りのスタート! と気合いを入れていたのですが、作り忘れた物がありました。

それは楊枝。

よくある使い捨ての楊枝で無く、弁当箱スライド蓋の裏に箸と一緒に収納するための物です ↓



収納した状態(まだ仕上げていません)。



素材は竹を使います ↓





適当な大きさに割って鑿と鉋で形を整えていきます ↓





竹楊枝の出来上がり ↓



竹を割った状態から鉋と鑿でそぎ落とした形にして、ワイルドな感じに仕上げました。



やっと漆塗りの開始 ↓





湿度、温度(やや低めですが)ともにGood!





2~3回塗りしてから水研きをします ↓




昼夜問わず、大変な作業が続きます。

しかし、1月とは思えないほど気温が高いです。

そして雨の日は湿度も十分に上がり、漆塗りの環境にとても恵まれ思わず自然と木工の神様に感謝です。




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一人弁当箱 製作記録 9

2020-01-22 00:52:16 | 製作記録
製作記録も随分と回を重ねて、今回で9回目となりました。




弁当箱の各パーツは出来上がり、最後のペーパーがけを終えた後に気づきました。

前蓋をスライドする際に、指(爪)をかける三角形のくぼみを彫り忘れていました。

木取りをする時に使った型紙を出してきて、加工位置に三角形に切り抜きをして墨付けをする ↓



型紙と書きましたが、正確にはクリアファイルを切って作ったものです。

弁当箱には屋久島産センダンを使用していますが、割と木目がはっきりしているので、漆塗りをして色が濃くなるにしても、

仕上がった時の木目のあらわれ方はやはり大事でしょうということで、板材から木取りする際に各パーツの型紙をクリアファイルで作って、

弁当箱になった時の形を想像しながら材木にあてがい最善を選ぶのに使いました。




彫り終えたところ ↓



板の厚みは3mmと薄いので彫りすぎて穴をあけないように慎重に手加減しながら鑿を動かします。



いよいよ漆塗りの準備が整いました ↓



寒くて乾燥した季節の冬に漆塗りは不向きです。

さて、どう工夫して乗り切ろうか・・・



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一人弁当箱 製作記録 8

2020-01-18 21:09:15 | 製作記録
こちらはルーターという機械 ↓



ルーターテーブルに取り付けた状態です。

両手で持っても使いますが、今回のように小さな部材の加工をする時にはこのような専用テーブルに固定して使います。




ルーターに取り付けるビット ↓



ルーターの取付ビットの軸径は一般的に12mm(写真右側)となります ↑

ルーターよりも小さい電動工具にトリマーという片手で持てるものがありますが、こちらのビット軸径は6mm(写真中央)。

トリマー用のビットをルーターに取り付けるには軸径が合いませんのでルーターコレットスリーブ(写真左側)というものを使って軸径を変換します。





今回はたまたま12mm軸の径6mmビットがありましたので、これを使って加工します ↓



重箱の蓋の裏に反り止めを入れるための溝掘り加工。




仕上は鑿で ↓



ビットでの加工端末は丸い為、手作業となります。




続いて蓋の周囲を飾り面(ギンナン)コーナービットで加工 ↓



判りやすいよう反対にして加工面を見えるようにしてあります。

この飾り面ビットは軸径6mmのトリマー用なので、先ほどのコレットスリーブで軸径を変換しています。




最後にもう一つ ↓



弁当箱のスライド蓋の加工。

小さな部材の様々な加工にはルーターテーブルが活躍します。




3mmの薄い板を張り付けた後、はみ出ているところを手鉋で落としてからの加工です ↓



(写真は薄い板を張ったあとのもの)




弁当箱の前蓋がスムーズにスライドするように調整を繰り返します ↓



もちろん漆の塗り厚を考慮して、やや緩めに設定しています。




8セット分の弁当箱 ↓



各パーツが組み上がってきて整理整頓が楽になってきました。




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一人弁当箱 製作記録 7 箸づくり編

2020-01-16 20:28:04 | 製作記録

箸の材料は屋久島産イスノキにしました(写真上の箸は4年前に製作した物) ↓



写真下 今回用意した細長い角材

ユスノキとも呼ばれている硬くて重たい木です。



4年前の弁当箱製作の際は、箸を先細りにする治具を作りました。

その時のブログ記事はこちら → 箸作り

当時の治具がどこかにあるはずとアチコチ探し回ったのですが見つからず、改めて作り直すことに。


新しい治具 ↓



試作で作った箸を置いてみました。





↑ 加工前の角材が置いてあります。

前回よりも安全面に配慮した設計。

加工前の箸材を横から挟み込んでテーブルソーに通します。

一度ノコで挽いた箸材を90度転がして再び治具に挟み込んで挽きます。

二回目を挽く時は材がバタついてしまうので、押さえ棒を用意して材を押さえながら挽きます。

挽くのは二面のみ。

ノコ刃の跡が挽いた面に残っていますので、これを手鉋できれいにします。



先ほどの箸づくり治具を利用してもう一つの機能を付け加えました ↓



箸と同じテーパーのついた角材二本とずれないようにストッパーを取り付けました。

真ん中に削る箸材をセットします。



手鉋で1~2回挽くとピカピカになります ↓





今回は8セットの弁当箱を製作していますが、予備を含めて11膳の箸をつくっています ↓





箸の両端を枠に収まるように45度に切り落とします ↓



こんな感じで納まります。


箸には塗り立てという漆塗りをします。

何度も塗り重ね、漆の厚みが増していくので、その厚み恐らく0.2~0.3mmくらいを考慮して箸の全長を改めて微調整しなくてはなりません。

蓋の枠内に丁度良く納まるようにするのが勘所。

小心者の私にとっては毎度毎度緊張と不安の連続です。



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一人弁当箱 製作記録 6

2020-01-14 19:23:05 | 製作記録
前回の続き

外箱の仮組が終わったので接着クランプ ↓



接着剤は耐水性のものを使用していますので、完成した後は水洗いしても大丈夫です。




弁当箱 スライド蓋づくり

まずは枠 ↓



バリを取り除いて仮組をしていきます。



各セットにして番号を振って、正しく組み建てられるように準備 ↓






スライド蓋内側に楊枝を建てられるように穴あけ ↓



この作業は、枠を組む前にボール盤でするのを忘れていたので手で穴あけをすることに。



スライド蓋鏡板の接着クランプ ↓



蓋の鏡板厚みは約3mmと薄いです。向かい合うようにしてペアでクランプしてあります。

また、鏡板は枠よりも数ミリ大きくして貼り付け。

乾いた後に枠に合わせて切りそろえる為。




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一人弁当箱 製作記録 5

2020-01-11 20:03:10 | 製作記録
重箱 クランプ接着 ↓



直角が出ているかどうか、90度の定規を当てながらの作業。




再び水引 ↓



クランプで圧力を加えた為、念のための水引。

最近は乾燥した日が続くので、乾きが早くて助かります。




側板の加工 ↓



見る人が見ればクレイジーな加工方法。

材が薄くて小さいので、逆方向からの加工ができますが、大きい材では間違いなく怪我をします。

ノコ刃を大きく出しているのは加工範囲の高さを稼ぐため。更に危ないですが・・・。




側板溝加工 ↓



これも安全面と加工制度においておすすめできない方法。

機械で出来る作業は早いのでしますが、あまり欲張ると良いことがありません。




ルーターによる溝掘り加工 ↓



幅5mm、深さ2mmの加工。

溝掘りは綺麗に正確に加工したいので、2mmの深さを3回の高さに分けてしました。

ビットは新しいものなのでとても綺麗に仕上がり満足で気分が良い。




最後は手作業 ↓



手作業は時間がかかり、加工精度も均一にするのが難しいので出来るだけ機械を多用してしまうのですが、

やってみると意外と手作業の方が早くて綺麗に仕上ることもあったりする。

ここでも一分鑿は大活躍。




背板の穴あけ ↓



☆Мの竹用ドリルは綺麗に加工できるのでおススメ!




弁当箱仮組と取っ手仮取付 ↓



形になってきました。

漆塗りは本組みの後に。






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今日のモッチョム岳

2020-01-08 11:15:00 | 日記


午前10時頃撮影



今日のモッチョム岳です。


写真では澄み渡るような静かな深い青ですが、台風のような大風が吹いております。


昨日は集落恒例の鬼火焚きと門参りを無事に終え、正月行事に一区切りついたところです。

静かで穏やかな正月を迎えた後に全てを一掃するような凄い風。

自然の威力を肌で感じます。

締めの大祓というところでしょうか。

自然とともに生きていることを忘れず、驕らず、日々の生活をしていきたいと思います。



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