福島木工家具店

製作した家具の紹介と日記

八脚案 組み立て

2016-09-15 01:38:25 | 製作記録
いよいよ組み立てです。

今までの一つ一つの製作努力が一度に形となる時です。

毎度のことながら色々な意味でドキドキします。


まずは脚からの組み立て。


接着剤をホゾ穴に塗布します ↓





9mm幅のホゾ穴用にアクリルの端材で作った専用ヘラを使っています。



ホゾ穴にホゾを入れる ↓






当て木をしてゴムハンマーで打ち込んでいきます ↓






クランプで最後まで締め込みます ↓






クランプの締め具合が悪かったりすると歪んでしまうこともありますので、

その場合は、クランプをたすき掛けにして歪みを直します ↓






締め付け後には必ず直角定規を当てて確認します ↓







八脚案は、主に神道における行事で使用される台のことです。

脚は片方に4本、合計8本あることから八脚案、または八足案と呼ばれています。

なぜ8本なのか?

一説には、神様の使いである蜘蛛の足の数からきているという話があるようです。




脚の接着剤が乾いた後に天板へ取り付けていきます ↓






今回は、神具ということもあり、いつもの補強の為のビスや釘を使わずに木組みだけで製作しています。

天板への取り付けは、吸い付き蟻桟という伝統的な工法となります。



手前より奥の方は、幅を1mm狭くして加工してあります(凸凹共に) ↓





勾配は、1/300となります。

今回の天板奥行きは丁度300mmですので、1mmという訳です。



まずは手でスーッと入るところまで押し込みます ↓






手前も奥も同じ割合でピタッと合わさって止まります。


ここからクランプで押し込んで行きます ↓






押し込めば押し込むほど、桟(凸)と天板(凹)が吸い付いてピタッとなる訳です ↓





吸い付き分を考慮して、台形の底辺部分は少し隙間(コンマ数ミリ)をあけてあります。


この工法は、天板の反り止めの効果があります。

また、木は湿度などの環境によって伸縮しますので、この吸い付き蟻桟には接着剤は使いません。


組み立て終了 ↓





無事に終わってホッとしています。


あとは仕上げをするだけ。


普段作らないものでしたので記録としてブログに残した次第です。


八脚案製作紹介は今回でおしまい。


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八脚案 ホゾ加工調整

2016-09-13 22:21:19 | 製作記録
八脚案の製作も中盤に差し掛かってきました。

機械加工したホゾですが、機械だけでは出来ない手作業をしなければいけません。



ホゾ先の角を鑿で削ぎ落としてホゾ穴に入りやすいようにしておきます ↓





また、四方胴付きの部分も綺麗に面が揃っているかチェックします。



カンナがけ ↓





今回は無節のヒノキですので手カンナをかけてみました。

通常はサンドペーパーで仕上げておりますので、カンナで仕上げることはほとんどありませんので、

カンナがけは下手くそです。

節なしの材といいましても木目が錯綜している箇所もあり、

逆目を出して、深くえぐってしまうこともありますので要注意なのです。

カンナの裏金を合わせ、台をしっかりと調整できればいいのですが億劫になってしまいます。

ですので、これは明らかに逆目が出るようなとこは、機械の手押しカンナ仕上げのままとしました。

まだまだ未熟者です。


こちらはホゾ穴の底を鑿でさらっているところです ↓





角ノミ機で四角い穴をあけたのですが、ドリルの部分を除く角のみの四隅の部分までは掘ることは出来ません。

鑿を入れて、底を平らにしていきます。


ここで便利な道具がコレ ↓





底さらい鑿です。


鑿の先はL型になっています ↓





これで簡単にホゾ穴の底を平らに出来ます。

まあ、簡単は簡単なのですが、数が多いので大変であり、とても地道な作業です。

黙々と下を向いての作業です。


そして、手カンナで面取りをして、尖った部分を軽く手でペーパーがけをします ↓





これも黙々作業です。



最後にオイル塗装 ↓





塗装作業は夜にすることが多いです。


日中の気温が上昇するような時間よりは、気温が下がっていく時間帯の方がオイルが良く沁み込むからです。

これを例えば、お昼頃に塗装した場合は、一度塗ったオイルが、気温上昇に伴い、沁み込んだ導管から逆流して噴き出してくる場合があり、

こうなると、5分、10分おきくらいに点検し、噴き出したオイルを拭きとらなくてはいけません。

もし、拭きとらずに放っておくと、そのまま乾いて導管のまわりにオイルのシミが出来てしまいます。


夜1人での仕事場での黙々作業ですが、昔から一人には慣れておりますので平気なのです。



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八脚案 ホゾ加工

2016-09-11 00:36:13 | 製作記録
引き続き、八脚案製作の紹介です。

今回は、前回のホゾ穴に入るホゾ加工です。


ホゾ穴の幅は約9mmの角ノミを使ってあけました。

その穴に丁度良い具合のホゾの加工をしなくてはなりません。

緩すぎてはすぐに抜けてしまい、きつ過ぎてはホゾ穴側の材を割ってしまうこともありますから要注意です。



テーブルソーという機械でテストピースを作ってみて勘合具合を確かめます ↓





コンマ数ミリという微調整を繰り返して、機械のセッティングを行います。




まずは縦方向にテーブルソーのノコ刃の切れ目を入れます ↓






二回通すとホゾの幅が出来上がりました ↓






この際、予め毛引きを使って、ノコ刃による繊維上のむしれをストップさせるために切れ目を入れてあります ↓






そしてスライド丸ノコという機械で余分な部分を切り落とします ↓






ホゾ幅を約9mmで揃えた後に、今度はホゾの長手方向を揃えるために切れ目を入れていきます ↓






この時に、一つの材では不安定ですので、二つ重ねて加工します ↓






再び、スライド丸ノコで余分な部分をカット ↓






これで四方胴付きホゾ出来上がり ↓






各作業の後には、加工ミスや加工残しがないかどうか確認を行います。

後になって、機械のセッティングを変えてしまってから気付き、

再び、セッティングし直そうにも、100%完璧に前回のセッティングを復元することは困難です。

品質を揃える場合には、やはり一度にすべて加工するのが間違いがありません。

今回のホゾ加工には、テーブルソーとスライド丸ノコを何度も調整して行ったり来たりの加工となるので尚更です。

理想としては、ホゾ取り用の木工機械を一式揃えれば良いのですが個人事業者にとっては資金的に大変厳しいです。

あれもこれもと言い出したらきりがないので、現在ある道具と機械で出来ることを精一杯するのみです。



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八脚案 ホゾ穴加工

2016-09-09 21:56:32 | 製作記録
地元の氏神神社に納める八脚案を製作しています。

材料は紀州産のヒノキ。

ヒノキ大好きです!

この香り最高です!!


20代の若かりし頃、よく週末に山に入っていました。

山奥の林道から沢に下りて、国土地理院の1/25000地図を片手に沢伝いに歩いてあちこちと探検したものです。

木曽地方にお気に入りの沢があり、そこで野宿するのが楽しみでした。

木曽ヒノキの産地だけあって、沢のカーブなどの砂地には、

恐らく増水した時に流れ着いたと思われる良く乾いたヒノキの流木がたくさん溜まっていたものです。

そのヒノキで火をおこし、夕飯を頂き、夜にはお酒を飲みながら、沢のせせらぎと、

焚火のはじける音を聴きながら、満天の星空を満喫しながら眠りに着いたものです。

その時の焚火からは、ヒノキの燃える香ばしい香りが想い出に残っています。


話がそれてしまいました。


ヒノキの加工をしている作業場はとても良い香りに包まれており、

至福の時間を過ごしながら仕事をしているわけです。

とはいうものの、神経の使う細かい仕事ですのでなかなか気を抜くことは出来ないのですが・・・


八脚案のホゾ穴を掘る位置を墨付けしています。

墨付けの基準定規は厚紙で作り、

一つ一つの材料に印をつけていきます ↓






つづいて、毛引きでホゾ幅の印をつければ墨付け終了 ↓






一通り、墨付けが終わった後に並べてみて間違いないかどうか確認 ↓






角ノミ機という四角いホゾ穴を掘る機械を使って加工します ↓






一つの材に4箇所の穴があきました ↓






念のため、加工後も並べてみて確認です ↓







たまにボーっと他事を考えながら仕事をしていると、信じられないようなボケをすることもあるものです。


貴重な材料です。

気を引き締めて、目の前の大変有難い仕事に専念して頑張りたいと思うのです。


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