シゲ。
彼はスコップ団の頃、ワイパーを持って側にいてくれた人。
つまり、僕以上に水に濡れたのは彼だ。
何もかも洗いたかった。
悲しみも涙もね、流してしまいたかった。
なんか僕達はそんな役目だった気がする。
溜息と戦って、いつも負けてた。
彼はしぶきっていうカツ丼屋さんを切り盛りしています。
ヘラヘラしてるけど、ちゃんと考えて商売をしてる人だなぁと思う。
友達も多いしね、兄弟そろってシッカリしてる。
兄貴もいい男なんだコレが。
元々はポポラリタのトシちゃんの友達でね、ポポラリタの工事をしてる時に初めて会ったんだと思う。
看板はどうしても最後になってしまうから、ポポラリタの看板が出る前にオープン時に彼からトシちゃんにデッカい花輪が届いたものが看板みたいに見えた。
「カツ丼 しぶき」
そうドンと中央の真ん中に書いてある。
ほほう。
今は平成なのに、随分と昭和な感じで派手にやるじゃないか。
立派だなぁ。
などと話していた。
本来ならば、
「祝 ヘアデザイン ポポラリタ様開店」
の様な文言がドンと書いてあって、しぶきが下の方にくるべきだった。
すると、近所のOLやサラリーマンがポポラリタをカツ丼屋だと思ったらしく(笑)オープン当時に、
「違います、違います。」
という接客をトシちゃんにさせた人物でもあります。
話したこともなかったけど、カツ丼を食べに行ったっけなぁ。
いつしか、スコップ団に参加するようになり、今では商売上でも繋がりがあります。
一緒に色々見たからね。
それ以上の繋がりもある、と僕は思う。
いけこは今、彼の家にビバーク中。
僕は色んな飲み会を断るけれど、君らが揃ったら行くぞ。
九二四四のケーキでいけこの誕生日を祝う。
おめでとう、いけこ。
誕生日はさ、祝おう。
照れることないよ。
とてもね、嬉しい日だよ。
生まれて良かった。
生きてて良かった。
そんな日だから。
「やいシゲ。ちょっとお前、こわいぞ。見た目。かわいく食べてみて?」
「ェェェぇぇえ??無茶振り……」
「こうすか?」
「ますます怖い。照明のせい?トランプのジョーカーみたい。」
「了さんやってみて下さいよ。」
「え???俺は無理だよ。」
「人に言っといて??はは~ん。」
「分かったよ…こうかな?」
「かわいくねぇし、かわいく食べろという意味が分からないんすけど。もうやめましょう。腕。なんすかその腕。」
その通りだね。
違うのだ。
なんかね、受け入れられる雰囲気は大切な気がしてね。
明日は、段取りがうまく行けば現場でバリバリと思っていましたが間に合わなかったしちょっと急なので、いけこ担当を僕が引き受けます。
一日空いたから。
スコップ団福岡!
任せておけい、彼を!
ははははは。
仙台はもうアチコチ見ただろう?
盛岡に行こう。
明日は、盛岡に行くぜ!