ヤマザキ マリ著「テルマエ・ロマエ 第5巻」とともに、佐藤秀峰著「特攻の島 第5巻」を購入して一読。
戦争漫画・映画の中で、潜水艦モノというのは、描写がしやすいこもとあってか、一つのジャンルを形成していて、これまで実に多くの作品が発表されている訳だが、本作「特攻の島」は太平洋戦争末期、絶対に死ぬ特攻兵器人間魚雷回天をテーマにしているということで、本当に重苦しいトーンで展開されている。
この手の漫画は、何しろ絵が上手く、細部をちゃんと描写してないとお話にならない訳だが、ここあたりは流石 佐藤秀峰(とその作画スタッフ)という感じで手抜きは一切なく、文句のつけようがない…といったところ。ストーリー展開にしても、不自然さを感じるところはほとんどなく、今までのところ、兵器・戦史オタクの目から観ても納得できる仕上がりになっている。(潜水艦モノは「そんなの無理でしょ。」という強引な展開が多いのだ。)ここあたり、全国回天会への取材、上原光晴さんの監修が効いているのかな…といったところ。
潜水艦モノと言えば、映画ではドイツ映画「Uボート」がなにしろ傑作として燦然と輝いている訳だが、本作「特攻の島」は漫画での潜水艦モノの決定版になるかな…と言う印象を持った次第である。
しかし、生と死をひたすら暗く描いた本作が既に累計で85万部を突破している…と言うのは、さすが「海猿」や「ブラック・ジャックによろしく」などの大ヒットを送り出している佐藤秀峰…と言ったところ。
少年・青年漫画の中には本宮ひろしや江川達也のように、あれだけ引っ張っておいて、最後これかよ…という巨匠も多く(江川達也なんてまともに終わった作品がいくつあるのだろうか?)、佐藤秀峰氏についても「ブラック・ジャックによろしく」については、ちょっと引っ張りすぎた…という恨みが残っている訳だが、本作はテーマがテーマだけに最後まで丁寧に描ききって欲しい…と切に祈る次第である。
特攻の島傑作ですね。
これからもよろしくお願いします。