ファーストUKのウエットン&ブラフォードは言うまでもなく後期キング・クリムゾンの黄金のリズム・セクション。UKのCDを聴きまくってくると、時代を遡って所謂後期クリムゾンを聴きたくなってくる。
後期クリムゾンが残した「太陽と戦慄」「暗黒の世界」「レッド」と言う3枚のスタジオ・アルバム(一部ライヴ録音)は甲乙つけ難いと言うか、一長一短で、これ一枚に決められるファンは少ないのではないだろうか?(個人的には「レッド」、「暗黒の世界」、「太陽と戦慄」の順の評価となるが…)
UKもそうなのだが、キング・クリムゾンも、どうもスタジオ盤ではバンドの魅力を伝え切れていない気がする。
個人的に後期クリムゾンの最高傑作と思うのは、ちょっと反則かも知れないが、91年にリリースされた4枚組ライヴCD「ザ・グレート・デシーヴァー」の DiscOneだ。
このCDを始めて聴いたとき、静かなフリップ&イーノのイントロから「太陽と戦慄パートⅡ」が始まる瞬間、鳥肌が立ったことを覚えている。(伊藤セーソクではないが…。)
硬質なフリップのギターリフに続き、銅鑼の3連発の後、ヴァイオリンを含めたリズムセクションが一気に走り出す。圧倒的な音圧。一気に後期クリムゾンの世界に引き込まれる。そして、これに続くスローナンバーでは一転、ウエットンの男性的な伸びのあるヴォーカル。静と動、後期クリムゾンの全てが官能できる。
「当時のクリムゾンのライヴを見られたら死んでも良い」と昔、雑誌で書いていた人がいた。さすがにこれはオーバーとは思うが、気持ちは分かる。クリムゾンの魅力はスタジオ・アルバムには収まりきれない。できるだけ大音量でお聴きすることをお勧めしたいライヴ・アルバムだ。