パット・メセニー・グループの80年代に発表された「オフランプ」、「ファースト・サークル」、「スティル・ライフ」、「レター・フロム・ホーム」と言う作品群を聴く。
ベートーヴェンについて、交響曲第3番「英雄」の後、10年間次々に素晴らしい作品を発表した時期のことを「傑作の森」と呼ばれるが(ロマン・ロランによる表現)、パット・メセニーにとって「傑作の森」の時期はこの頃、80年代だったに違いない。
本当に、この頃のパット・メセニーの作品は完璧というか神がかり的に素晴らしい。しかし、いかにパット・メセニーといえども永遠にそのような黄金時代は続かなかった。グループの集大成となったライヴCD「The Road To You」、そしてソロ作品の「Secret Story」を最後に、さしものメセニーも方法論的に行き詰まってしまったように私には思える。
その後、メセニーは極めて高水準のアルバムを作り続けたことは認めるが、どうしてもこの80年代の作品群を超える作品をメセニーが作ったとは思えないのだ。
しかし、それはどのような音楽家、ミュージシャンにも多かれ少なかれ言えることのような気がする。これだけ素晴らしいアルバムを私たちに届けてくれたパット・メセニー。それだけで十分な気がするのだ。今後、この時期のアルバムを超える作品をリリースしてくれなくても、私はメセニーを非難する気持ちは毛頭ない。
「新潟ジャズストリート」にインスパイアされ、久々にジャズのCDを取り出して聴く。
マイルスの「カインド・オブ・ブルー」、「イン・ア・サイレント・ウェイ」、「パンゲア」、キース・ジャレットの「スタンダーズ」シリーズ、パット・メセニー・グループの「オフランプ」、「ファースト・サークル」、「スティル・ライフ」…そして小曽根真、渡辺香津美、橋本一子…といった邦人ミュージシャンまで、お気に入りのジャズ・アルバムは数多いが、やはり一番好きなのはビル・エヴァンス・トリオの所謂リバー・サイド四部作、中でもエヴァンス・ダンディズムが堪能できる「エクスプロレイションズ」が自分にとって最高の一枚だ。
ジャズのアルバムは本当に数が多く、コレクションしていくときりがないのだが、やはり中山康樹氏が「挫折し続ける初心者のための最後のジャズ入門」で書いているように「購入するCDはひと月2枚」というスタンスが正しいような気がする。
私もジャズを聴き始めた時期は、かなりのペースでジャズCDを買いまくったが、じっくり音楽と向き合おうと思ったら月2枚が限界というのが実感だ。これからは、ジャズに限らず、ディスクを厳選して音楽に対峙していきたいと思う。
前項で持ち上げておいて、こんなこと言っては何なのだが…、今回、新潟ジャズストリートを見て改めて感じたのは、「ジャズ・ファンって何か気難しそうな人が多いな…」と言うこと。(書いちゃった!)
やたら高い髭率、帽子をかぶっている初老の方、難しそうに腕組みしている方…、なんか一家言あるというか、ジャズ・ファン独特の匂いというものをやはり感じるのだ。若い方は菊池成孔(ジャズ・サックス奏者、文筆家です。)のような眼鏡を掛けた方がやたら多いし…。
(良いのかこのような事を言って…)とは思うが、女性もちょっと癖のある感じというか、手強そうな方が多いような気がする。少なくても、クラシック・コンサートで見る客層とはちょっと違っているのは確か。
やはり、志向する音楽によって、ルックスの違いというものがあるような気がする。こう言うところを見るのも新潟ジャズストリートの楽しみなのである。
新潟が誇る音楽イベント「第17回新潟ジャズストリート」が近づいてきた。(1月22日開催!)
http://www.niigata-jazzstreet.com/
この新潟ジャズストリート、毎年2回、7月(2日間)と1月(1日)に開催されていて、今回で17回目。新潟のアマチュア・ミュージシャンだけでなく、東京などからもジャズメンが多数来県、それを1日1,000円で楽しめると言う素晴らしいイベントだ。
最近、運営方針でバタバタしているとの報道も聞いているのだが、私的には「ちゃんと開催されていればOK!」と言ったところ。
タイムスケジュールを見て、どのコンサートに行こうか…と色々考えるのも「新潟ジャズストリート」の大きな楽しみ。是非、多くの人に、この素晴らしいイベントに参加して欲しいと思う。