将棋の羽生前名人が第52期王位戦七番勝負でタイトルを奪取。名人位を失って以来、2冠だったものが3冠に返り咲いた。
これだけだと、ほとんどニュース性はない訳だが、今回、タイトル獲得数がトータルで80となり、歴代最多記録の故大山康晴第15世永世名人に並んだ…ということで、新聞などで大きく取り上げられたようだ。
実際のところ、大山康晴名人の黄金時代は、今のような7大棋戦制ではなく、3~5棋戦制だったので、純粋な比較はできない訳だが、やはり偉大な記録なことに違いはない。なにしろ、ほとんどの棋士はタイトルとは無縁のまま現役生活を終えるのだから…。(タイトル獲得数が27止まりの谷川九段のファンとしてはちょっと複雑な気分だが…。)
しかし、現在、日本将棋連盟が各新聞社主催の7大棋戦(名人、竜王、王位、王座、棋王、棋聖、王将)をいつまで維持できるのかというと、非常に微妙というか、正直、棋戦数が減るのは時間の問題…という気がするのは私だけだろうか?
各新聞社の将棋欄の取扱いを見ると、全然気合いが入っていないというか、義理や惰性で続けている…という印象は否めない。実際、新聞の将棋欄が部数に影響を与えているとはとうてい思えない。はっきり言って、新聞社にとって将棋欄なんて「お荷物」という感じではないだろうか?
今のところ、各新聞社横並びで棋戦を維持している訳だが、新聞社の経営状況はこれからますます厳しくなることが予想される中、一つ棋戦廃止が決まってしまうと、バタバタ…と一気に連鎖的に消滅していく事態は十分考えられる。このままだと、そう言う日が来るのは3年後か4年後か…そんなに遠くない様な気がする。
このようにジリ貧気味の将棋界だが、ネットを介して楽しんでいるファンは増えている訳だし、VSコンピュータという究極のコンテンツも残っている。やり方次第では、まだ潜在的なファンを掘り起こすことはできるのではないだろうか。
「言うは易し、行うは難し…」ということは重々承知しているが、いつまでも新聞社頼みというビジネス・モデルに拘泥することなく、知恵を絞って将棋の普及に努めていってもらいたいと思う次第である。