写楽と豊国=モーツァルトとサリエリって感じ?
水曜夜10時から放映されたTBS-BS「ライバルたちの光芒 写楽vs豊国」を鑑賞。
18世紀半ば、江戸庶民文化の花形となった浮世絵。そこに彗星の如く現れた天才写楽。「大首絵」と呼ばれる半身像は極めて斬新、版元の蔦屋は天才・写楽の勝利を確信するが、あまりに革新過ぎた写楽の絵は全く売れず、一世を風靡したのは、それまでの浮世絵を継承した歌川豊国であった。しかし、豊国は写楽の革新性を一人理解、写楽が消え去ってから「大首絵」を発表する。
そして、百年以上後、日本では忘れ去られてた写楽はドイツの浮世絵研究者、ユリウス・クルトにより発見される。ユリウスが刊行した「SHARAKU」により写楽は絶賛を浴び、後生に名を残したのは写楽の方だった…という内容。
この話を聞けば、クラシックファンなら誰もが「モーツァルトとサリエリ」の関係を思い出す事だろう。
今でこそ、ウィーンやザルツブルクなどはモーツァルトを偉大なる作曲家として売り出している訳だが、生前はザルツブルクでは全く無視、ウィーンでは一時期売れっ子になったものの、すぐに人気凋落、貧困の中没したのはご存じのとおり。
それなのに、モーツァルトで儲けているとはけしからん!(半分冗談)と言う気がしないではなかったのだが、今や世界的に評価されている写楽を当時の日本人は無視…という事実は、ウィーンやザルツブルクのことを責められないな…という感じ。
一応、浮世絵ファンの私、はっきり言って、写楽と豊国では問題にならない程、写楽が上…と思わざるを得ないのだが、当時はほとんど無視されたというのは、ちょっと信じられないというか、革新的作品が受け入れられるのは難しいのかな…と改めて思った次第。
しかし、テレビ嫌いの私、今回初めて「ライバルたちの光芒」を見たのだが、おちゃらけお笑い芸人が出てきてぶち壊してしまう地上波とは違って、ゲストに国際浮世絵学会常任理事である新藤茂氏を呼んだり、しっかりとした構成&程よいエンターティメント性に感心。地上波は本当にどうしようもない番組だらけだが、BSだと民放でも結構見れる番組あるな…ということで、これからはバカにしないで、こまめにBSテレビ欄をチェックしてみたい…と思った次第である。
ライバルたちの光芒HP→http://w3.bs-tbs.co.jp/rival/