
正月休みを利用して、ツンドク状態にあった日本近代史研究の碩学、坂野潤治氏の最新作「〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等」を一読。
内容の方は明治維新以後、自由民権運動、男子普通選挙制の施行と民主化は漸次進んでいったものの、社会的格差の是正は進まず、それが進んだのは、民政党、政友会による政党政治下ではなく、日中戦争後の総力戦体制下であった…というもの。自分の知識不足もあり、ちょっと読みにくいところがあったが、結構、興味深く読ませていただいた。
かなり前に「格差論」が話題になったことがあるが、世界中でベストセラーになったトマ・ピケティの「21世紀の資本」が日本でも発売され、今年あたり、また格差問題が大きな話題になってきそう…という感じ。
今現在、共産主義は崩壊し、いろいろ問題はあってもマーケット・メカニズムを利用して、修正資本主義でやっていくしかない…ということで、各国とも試行錯誤しながら経済運営を行っている訳だが、グローバル経済の進行、それにテクノロジーの進歩により、ほとんどの先進国において経済格差は拡大しているのが現状で、我が日本でも、急激に格差は拡大している…というのがほとんどの人の共通認識になっているのではないだろうか?
「経済格差をどう考えるか?」については、その人の生い立ち、時代背景が色濃く反映されると思うのだが、地方出身、一個人商店の息子として生まれ、高度経済成長末期に育った私としては、あまちゃんと言われそうだが、「生まれに関わらず、能力があってがんばった人が報われる社会であって欲しい…。」という思いがある。(ほとんど幻想だと思うけど。)
ただ、実際には、現在の日本は有形無形の親の資産が子供に継承され、階層の固定化が進展、はっきり言って「努力してもほとんど無駄…。」という社会になってきているんじゃないかな…。」という気がする。
経済格差の是正については、資本主義が成立してから、まさに永遠のテーマな訳だが、あまりに放置しておくと社会不安が増大、治安の悪化まで引き起こす。
基本的に、現政権は新自由主義を基本とし、打ち出している政策も、贈与税の非課税枠拡大など、格差拡大をターボする可能性のあるものがメイン。
個人的には一律給付などのバラマキ政策には反対だが、国立大学の授業料引き下げや、子供を持つ世帯への減税など、階層の固定化、生まれによる諦め…が生じないような政策を考えてもらいたいと思う次第である。