電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

チャイニーズ・ゴースト・ストーリーその3

2006-09-24 11:57:47 | Weblog
8月を過ぎた頃、私はベストロン映画に顔を出し始め、題名が『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』と決定された、この愛すべき作品の宣伝プランを考え始めました。ベストロン映画はこれと『上海ブルース』も同時に買い付けていました。『上海ブルース』は映画評論家の小野耕世さんが海外の映画祭でご覧になられており、朝日新聞で書かれていたその映画祭レポートで高く評価されていたことがあったので買い付けたと聞きました。
『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の公開時期は1989年初春の渋谷東急系チェーンということで、あの『男たちの挽歌』と同じ劇場に決定しました。かなり大きな公開規模です。9月に入るとこの映画のポスターやキャッチコピーのイメージを決め始めます。なにぶんにも日本でほとんど知られていないキャスト、スタッフです。ツイ・ハークは『皇帝密使』『蜀山奇伝天空の剣』が公開されているものの、今だ知られていないのが現状でした。そこで彼の経歴、趣味を聞いて閃いたキャッチコピーが「香港映画界のスピルバーグ」でした。香港との付き合いがある井関さんが向こうでツイ・ハークのことを聞いていて、彼は映画のことしか考えていない映画バカである、ということと、彼の作品がファンタ系の作品、パリ・ファンタで賞を受賞している等々、いろんな要素を絡めて考えた結果、かのキャッチコピーにすれば日本でも彼のイメージがわかるだろうと考えたのでした。これをある宣伝会社の社長に話したら、「そんなの安っぽい感じするぞ」と忠告されたのですが、今においてもツイ・ハークのキャッチコピーとして使われていることからみても、この戦略は成功したと私は思っています。