The Phantom of the Opera / Gaston Leroux

ガストン・ルルー原作「オペラ座の怪人」

オペラ座のサクラ♪

2007年05月30日 | ルルー原作「オペラ座の怪人」
クラック(仏claque, 「拍手する」という意味の動詞claquerより)は、「サクラ」あるいは「喝采屋」集団、すなわち演劇・オペラなどの舞台芸術において、特定の公演を成功(時には失敗)に導く目的で客席から賛辞(や野次)を送る集団のことである。ほとんどの場合、興行主、劇作者、作曲者、俳優あるいは歌手からの金銭受領を対価とするプロ集団だった。

19世紀のパリ・オペラ座での高度に組織化されたそれは著名であり、claqueという用語が他国語でも用いられるきっかけになった。またその構成員はclaqueurと呼ばれた。

特に「グランド・オペラ」様式と称される大規模なオペラが数多く上演された1830年-40年代にかけてのパリ・オペラ座では、仮に一作が失敗した場合の興行側の経済的損失は莫大だったためにさまざまに発達した。

ウィキペディアより



ううん、オペラ座も奥が深いですね。汗

なぜ「サクラ」かと言いますと、正確には「サクラ」でないのですが、観客を動員して舞台を操作するという行為でこの場面を思い出しました。

長いんですよね、このあたり。えっと・・・p119~138


もともと怪人はカーロッタの事は嫌いでした。クリスティーヌを主役につける為もあって彼女に脅迫状を送ったりしています。



「今夜舞台にあがったら、歌を歌っている最中に大きな災いに見舞われると覚悟しろ・・・死より恐ろしい災いに」



他にも色々嫌がらせがあるのですが勝気な彼女は怪人の恐ろしい脅迫にも関わらず


「私は、そんな事で怖気づかない!絶対に歌ってやる!」と息巻いています。
カーラ


そして「なにか悪質な陰謀だわ!」と解釈して、対抗するために自分の友人を集めて自分の歌う時は褒め称え、クリスティーヌ組の攻撃から守るように頼みます。

そしてカーロッタの友人は彼女の歌う場面で普通なら掛け声のかからないような場面でも「ブラボォー」と叫んだり、アリアの後で絶大な喝采を送ったり活躍。
それにクリス組は何も仕掛けてこなかったのです、サクラ行為のようなものは。




そして絶好調の時「ゲコッ」となるわけです。






完全な歌唱力を誇っていたディーヴァの鼻っ柱を折ったわけですね♪





ここで「死よりも恐ろしい災い」という表現が印象的です。

怪人は「肉体的な死」よりも恐ろしいのは「精神的な屈辱」、「晒し者」になる事だ、と考えているからです。


イングランド版ではカーラを斬首しますが、それは単なる肉体的な死なのです。
「精神的な死」に至るような・・・、せめて自分の失墜を、屈辱を嫌が上でも噛み締めるような、トラウマになるような復讐の方がエリックには相応しいような気がします。








ちなみに「サクラ」は歌手に雇われる事もあったそうです。
原作の例はカーロッタの取り巻きのサクラ行為です。支配人はこの時無関係です。


しかし、この時リシャール支配人は怪人と劇場とのパイプ役的なジリーおばさんを首にする計画を立てていました。

その後釜の女は平土間のシャンデリアの真下で就職前の見学をしていました。



シャンデリアはそこに落下するのです。


怪人に反逆しようとしたリシャール支配人への一撃でした。












絵は
「オペラハウスは狂気の館」 ミヒャエル・ヴァルター 春秋社 参考