ラウルとクリスティーヌはノール・デュ・モンド駅から汽車に乗った・・・筆者も、いつかたぶん、その駅から汽車に乗って、沈黙に包まれたスカンジナビアへ、ノルウェーの湖へ向かうかも知れない!
そうすれば、ラウルとクリスティーヌがまだ生きているという証拠が見つかるかもしれない・・・・!
もしかすると、いつか、私はこの耳で、北の国の寂しい木霊が<音楽の天使>と会ったことのある女性の歌声を繰り返すのを聞く事が出来るかもしれない・・・。
p442
感動的です。クリスティーヌが歌いながらエリックを偲んでいるのかも・・・と考えると。
原作の中で「その後の二人」に言及しているのはここくらいだと思います。
もちろんルルーの空想なのですが、クリスがエリックを忘れていない、というのが感じ取れなくもないし、やはり情景が幻想的です。
・・・でスウェーデン人のクリスがまたなんで「ノルウェー」なの?ですよね。
なんとなく納得していましたがちょっと調べてみました。
スウェーデン=ノルウェー連合は1814年から1905年の間のスウェーデンとノルウェーの連合王国を指す。このとき両王国は一つの君主のもとでの同君連合として連合していた。ノルウェーの完全な独立への試みとスウェーデンとの短い戦争の後、1814年8月14日の「モス協定」と11月4日のノルウェー憲法改正を経て、連合は成立した。同じ日にノルウェー議会は国王にスウェーデン王カール13世を選んだ。
同じ国でもあったのですね。
「スウェーデン生まれの歌手」
「スカンジナビア随一の村祭りのヴァイオリン弾き」
「北欧」
などいろいろ表現されているわけです。
でもクリスは現在のスウェーデンのウプサラ出身と明記されています。
しかしですね、「ノルウェーの湖」と言うのは他にも出てくるのです。
「ひとりの王様が小舟に座っていました。その小舟は、きらめく瞳さながらノルウェーの山中にぽっかりあいた静かな深い湖に浮かんでいました・・・」p85
これは続く「ちいさなロッテ」の物語と並んで対になって書かれています。
「彼女の魂は、その青い瞳とおなじように澄んでいました」
小舟に乗った王様はエリック・・・クリスティーヌの魂のように美しい湖に包まれるように浮かんでいる。
というのはかなり飛躍したイメージですが、管理人萌えてしまっています。