漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0698

2021-09-27 19:21:28 | 古今和歌集

こひしとは たがなづけけむ ことならむ しぬとぞただに いふべかりける

恋しとは たが名づけけむ 言ならむ 死ぬとぞただに 言ふべかりける

 

清原深養父

 

 「恋しい」とは、一体誰が名づけた言葉なのだろうか。単に「死ぬ」と言うべきであったのだ。

 恋することの苦しみを、死にも匹敵すると詠んだ歌。「恋し」を「恋しい」ではなく「恋死」と考えた方がより明解であるかもしれません。06030613 に続いて恋死をテーマとした深養父の詠歌です。

 

こひしなば たがなはたたじ よのなかの つねなきものと いひはなすとも

恋ひ死なば たが名は立たじ 世の中の 常なきものと 言ひはなすとも

(0603)

 

いまははや こひしなましを あひみむと たのめしことぞ いのちなりける

今ははや 恋ひ死なましを あひ見むと たのめしことぞ 命なりける

(0613)