いけにすむ なををしどりの みづをあさみ かくるとすれど あらはれにけり
池に住む 名ををし鳥の 水を浅み 隠るとすれど あらはれにけり
よみ人知らず
名を惜しむという名前を持つおしどりが、池の水が浅いために隠れようとしても姿が現れてしまうように、私もあの人とのことが噂にならないよう、隠そうとしていたのだけれど、世間に知られてしまったことよ。
おしどりはいつも雄雌が一緒にいることから、現代でも仲の良い夫婦に喩えられますね。ですが、ここでは隠そうとしていたということですから、秘めておきたい仲だったのでしょう。
今日から9月。巻第十三「恋歌三」の歌ものこりあと四首です。