漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0690

2021-09-19 19:58:07 | 古今和歌集

きみやこむ われやいかむの いさよひに まきのいたども ささずねにけり

君や来む われや行かむの いさよひに 真木の板戸も ささず寝にけり

 

よみ人知らず

 

 あなたが来るのだろうか、私から行こうか、とためらっているうちに十六夜の月が出る時間になってしまい、真木の板戸も閉めずに寝てしまったよ。

 「いさよひ」はためらいの意で、転じてなかなか出てこない十六夜の月を指すようにもなった語。ここでは両方の意を含めていますね。「ささず」は「鎖さず」で、門や戸を閉ざさない意です。