漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0683

2021-09-12 19:29:06 | 古今和歌集

いせのあまの あさなゆうなに かづくてふ みるめにひとを あくよしもがな

伊勢の海人の 朝な夕なに かづくてふ みるめに人を あくよしもがな

 

よみ人知らず

 

 伊勢の海人が朝夕に海に潜って採るという海松布(みるめ)ではないが、愛しいあの人に、もうこれで十分というほどの見る目の機会を得たいものであるよ。

 第三句までが「海松布(みるめ)」を導き、それが「見る目」との掛詞になっているという構造。少し無理をして、前段も訳に盛り込んでみました。「かづく」は潜る意ですね。万葉集採録の類歌(作者は不詳)もご紹介しておきましょう。

 

いせのあまの あさなゆふなに かづくといふ あはびのかひの かたもひにして

伊勢の海人の 朝な夕なに かづくといふ あはびの貝の 片思いにして

(万葉集 巻第十一 第2798番)