渡世人登場
黙っちゃいられねえ!
最近、飛んでもない奴が出てきたので、どうしても言わせてくれ。世間では我々と同業の極道だと言うから、ワシの言い分を聞いてくれ。ワシの親分も怒ってるからなんだ。あんな奴が極道であるはずがねえ。あんな奴?そうだボクシングの親玉だ。今時あんな小者で
も、極道と勘違いされるのは、我々も軽く見られているもんだ。
まず、あの風体はあり得ない。今どきあんな分かり安い格好の極道がいるもんか?暴力団対策法からこっち我々極道の本筋は、ちゃんと背広着てますぁ。サングラスもあり得ねえ。我々は一人でも目上の人がいればサングラスはしない。まして他の親分たちがいる時には決して失礼な格好はしない。あのボクシングの親玉は、ところ構わずサングラスだ。間違いなく偽もんだよ、極道に憧れてるだけだ。小者だ。
それと、あのお出迎えの様子は頂けねえ。今どき我々は、堅気の目に触れるような時は大人しくしてるよ。しかもベントレーとか言う外車だろう、あれの回りにずらずらっとお出迎え、「ご苦労様」だと?そんな事、極道がするはずがねえ。言ってるだろう、法律が出来て極道の作法も変わったのさ。この間も内の若い奴が親分をホテルの玄関でお迎えしたら、半殺しの目に合ってた。もっともその若い奴はアロハシャツの二の腕から龍の彫り物が見えていたけどね。
許せねえのが、しのぎのやり口だ。ボクシングのグローブの独占販売だと?しかもてめえの子供にやらせてやがる。馬鹿か?極道でもそんな事は理不尽だ。ちゃんとよその親分さんにやらせて、後で分け前を頂戴する。当たり前だろう、極道じゃあなくともしのぎと言うのはそういうもんだ。それにしてもセコイ商売じゃねえか。わずか何千円のさやを取ってやがる。しかも高校生からも掠め取るんじゃ話しにならねえ。我々は、宝石だとか、土地建物など、金持ちの上前をはねる。決して貧乏人や若者の金を掠め取らねえ。それが極道の矜持だ。
考えられねえのが、疑惑の判定だ。あれは何だ?何のためだ。自分がええ格好したい為か?てめえの地元にええ格好したいのか?その為に堅気の若者の夢を壊すのか。考えられねえのが、一銭の金にもならない事だ。極道は金にならねえ事はやらねえ。それと我々極道は何でもする、無茶もする、しかし堅気のルールは必ず守る。ましてスポーツだろう、スポーツはルールがあって成り立つ。極道でも分かる理屈だ。何度も言うが、やっぱ奴は極道じゃあねえ!
笑ってしまったのが、あのホテルの貢ぎ物だ。子供じゃあるまいし、チョコレートに煎餅、乾パンだと?地蔵盆の御供えでも最近はもうチョッとしゃれてるぜ。内の親分も甘いものが好きだが、あれが組事務所に届けられれば喧嘩になるぜ。バカにされたと。所詮ヤツは小者だ。意気がってるだけだ。終身会長だと?上等じゃあねえか、死ぬまでやってもらおうじゃねえか、病気しようが、寝たきりになろうが必ずやってもらおうじゃねえか。そりゃそうでしょう?棺桶に入る直前まで会長やらせよう。拷問だぞ、それが極道の発想だ。決して辞めさせねえぞ。葬式で派手に送ってやろうじゃねえか。
言っとくけど、ボクシングというスポーツは半端ねえぞ。極道にも元ボクサーはいるが、奴等の根性は半端ねえ!本気で殺す気でなけりゃ勝てねえ。殺すか殺されるか、極道の世界と同じ覚悟がいる。だから、ボクサーは立派だ、恐らくヤツはボクサーじゃねえ、一度でもボクシングやった人間ならボクサーを食い物にぁしないさ。因みにボクサーは女に不自由はしないぞ。とにかくモテる、相撲取りよりモテる。やりたい放題だ。
モッコリも良い
しかし一つだけ我々と同じ事がある。それは絶対に表に出ないことだ。極道は絶対に堅気の皆さんには言い訳しねえ。ましてやマスコミとかの連中にはしゃべらねえ。極道の記者会見なんぞ聞いたことがないだろう。そこはヤツと同じだ。しかしヤツは逃げてるだけだけどな。勿論出てこない方がいいよ、今のマスコミには、叶わねえ。勝てねえよ、記者会見は拷問だ、延々と質問が来るがニュースに使うのはごくわずかだ。しかも自分達マスコミが如何に正義の味方かを誇示する為だけだ。嵌められるだけだ。何を言っても良く書かれねえ!
日大の監督はバカだが、理事長は逃げまくり、そのお陰でいまだに理事長している。これが正解だ。良い格好して会見しても絶対に良
いことはねえ。日大の理事長とボクシングの会長は逃げまくるしかない。身を守る為には逃げるが勝ちだ。
確かに迫力ある
許せねえのは、我々極道と同じ人種と思われることだ。ワシの女も怒ってる。
女の情報によると、奴の夜の接待がまた大変らしい。さすがに告発文には書いてねえが、実はあのお菓子などの差し入れはみんな女に食わすらしい。女が食うかって、食うはずねえだろう。ヤツは、女を要求するにはするが、あっちの方はもう役立たずさ。一晩中話相手だ。そういう商売の女たちにとって、あれをせずに話し聞くなんぞは苦痛でしかない。しかも食いたくもないお菓子の嵐だ。餓鬼でもあるまいし。
実はここだけの話、ワシの女はヤツが東京に来たとき呼ばれたんだ。当時高級デート倶楽部にいたんだよ。結構有名人が利用するらしい。立派な社長さんほど、アッチは弱く情けないらしいぞ、ある球団まで持ってるITの社長さんなんか、一晩中おっぱい吸うだけで帰ったらしい。ええっ?そんな話は要らないだと?面白い話はいっぱいあるのによう!
ああ、ボクシングの会長さんか。ワシの女には夜明けまで指一本触れずお菓子抱えて帰ったらしい。
確か、その翌日はその反動でワシと三回もやったぜ。ワシも燃えたなあ。んん?そういう話も要らない?
まあ、世の中、金と女と名誉でグダグタなのだ。
妄想が始まった。