今週は、はじめての沖縄旅行をしてきました。といっても、メインは石垣島などの離島めぐりなので、本島観光はわずか数時間、定番の世界遺産・那覇の首里城見学と、南部の戦跡をたずねることが主な目的になりました。首里城の創建は14世紀末。太平洋戦争中の沖縄戦などで壊滅的な被害を受けた結果、現在の建物は1992年に復元されたものだそうで、日本と中国の文化を取り入れた建築様式に目を奪われる。というよりも、この琉球王国の都は、特に中国文化の影響を強く受けたものという印象が強い。高台に建つ堅固な城のたたずまいと、地下に張り巡らされた壕の出入り口などが記憶に残りました。 (写真:首里城正殿前で)
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次いで、旅の主目的である本島南部の戦跡めぐり。まず、最南端の喜屋武岬(きゃんみさき)へ。沖縄戦では、逃げ場を失った人々が絶壁から身を投げたという悲劇の岬で、平和の塔が建立されている。静かな海岸線のたたずまいが美しいけれど、亡くなった人々の絶叫が聞こえてくるみたい。そのあと、ひめゆりの塔へ。沖縄戦で最期をとげた「ひめゆり学徒隊」の慰霊碑に献花・黙祷したあと、平和祈念公園の平和の礎(いしじ)へ。沖縄戦の間に亡くなったすべての人々の名を刻んだ刻銘碑が並び、米兵はじめ外国人もふくめて20万人以上の名が刻まれています。戦争による死者を、敵味方分け隔てなく悼むという発想が素晴らしい。そして、最後に旧海軍司令部壕をたずねて、戦跡ツアーは終わり。
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この戦跡めぐりで特に胸を打たれたのは、ひめゆりの塔で、塔の下には少女たちが自決したガマ(横穴洞穴の壕)が遺されており、資料館の内部にはガマのほぼ全体が見渡せる模型が作られています。それを見ると、犠牲になった女学生たちのうめきと悲鳴がよみがえってくるような気がしました。ひめゆり学徒隊の悲劇の映画化「ひめゆりの塔」は何作か製作されていますが、その中でも傑作は今井正監督の1953年作品で、女学生役の香川京子、先生役の津島恵子らが印象に残っている。わずか3時間余りの戦跡ツアーだったけれど、64年前の悲劇が目の前にほうふつと浮かび上がり、貴重な時間と空間を体験しました。
ひめゆりの塔・慰霊碑
喜屋武岬の平和の塔
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