わくわく CINEMA PARADISE 映画評論家・高澤瑛一のシネマ・エッセイ

半世紀余りの映画体験をふまえて、映画の新作や名作について硬派のエッセイをお届けいたします。

アメリカでハチ公人気!?「HACHI 約束の犬」

2009-07-29 19:15:58 | 映画の最新情報(新作紹介 他)

Img135 東京・渋谷駅前に銅像として建つ秋田犬「忠犬ハチ公」の物語が、「HACHI 約束の犬」(8月8日公開)としてハリウッドで映画化されました。1920年代、東京帝国大学教授・上野博士と愛犬・ハチの感動実話。これが、舞台をアメリカ東海岸の郊外に舞台を移し、大学教授ウィルソン(リチャード・ギア)と、日本からやってきた迷い犬との愛情ドラマになっている。プロデューサーを手がけた日系3世のアメリカ女性、ヴィッキー・シゲクニ・ウォンが、20年前に日本を旅した際、ハチ公の銅像を目にし、物語に心を奪われ、帰国後に日本犬を飼ってハチ公と命名。それがきっかけとなって製作されたそうです。
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 主演のリチャード・ギアも日本びいきだし、自身も大の愛犬家で、脚本を読んで心を動かされたといいます。そこで、自らも共同製作者として参加。旧友のラッセ・ハルストレムに監督を依頼したとのこと。ハルストレムは、スウェーデン出身で、「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」(85年)で米・アカデミー監督賞と脚色賞候補となって注目を浴びる。90年代にハリウッドに移ってからは、「ギルバート・グレイプ」(93年)、「サイダーハウス・ルール」(99年)、「ショコラ」(00年)などで、人間心理の奥底にわけいって、そこにひそむ赤裸々な姿を浮かび上がらせるという、人間洞察の鋭さを見せてくれた。
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 今回の「HACHI 約束の犬」で、ハルストレム監督は、ドラマを感傷的なものにしすぎないことが重要だと感じたそうです。「一番むずかしいのは、センチメンタリズムに溺れないこと」だったとか。そのためか、ハチの見る外界がモノクロで表現されたり、秋田犬の自立心や頑固さが強調されている。日本でも、1987年に神山征二郎監督、脚本・新藤兼人で「ハチ公物語」として映画化されたが、今回のハリウッド版では“忠犬”という側面よりも、秋田犬=ハチの孤高の姿を見つめる人々の畏敬のまなざしに焦点が当てられている気がします。だから、余り涙の感動ドラマとしては期待しないほうがいいかも知れません。

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懐かしの初代・日本丸(7月20日、横浜の日本丸メモリアルパークで)


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