わくわく CINEMA PARADISE 映画評論家・高澤瑛一のシネマ・エッセイ

半世紀余りの映画体験をふまえて、映画の新作や名作について硬派のエッセイをお届けいたします。

人生は半分ブルーで半分ピンク!?「ガール GIRL」

2012-05-26 19:14:09 | 映画の最新情報(新作紹介 他)

8 深川栄洋監督の「ガール GIRL」(5月26日公開)は、奥田英朗の同名短編集をベースにした作品です。小説は5つの短編から成っているが、そのうちの4編を再構成、ひとつの物語として展開したそうだ。主人公は親友同士の4人の女性、そして彼女らにからむ4人の男子、加えて彼らを取り巻く女性たちが登場。4人の女性たちは、それぞれ30歳前後、れっきとしたキャリアウーマンでありながら、それぞれ悩みを持つ。恋愛・おしゃれ・仕事・結婚・出産・友情…。微妙な年代にさしかかった彼女らの弱さや脆さをつづっていく。
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 由紀子(香里奈)は29歳で独身、彼氏(向井理)あり、夢を信じて生きてきたが、恋愛も仕事もおしゃれも、うまくいかない。容子(吉瀬美智子)は34歳で独身、年下の新入社員(林遣都)に心を惑わされる。聖子(麻生久美子)は34歳、夫あり、管理職に昇進するが、年上の男性部下と衝突ばかり。孝子(板谷由夏)は36歳、6歳の息子を持つシングルマザーだが、なぜか頑張りが空回り…。「女の人生は半分ブルーで半分ピンク」-映画は、自立し、生活を謳歌しているように見える女性たちが直面する人生の選択や悩みをスケッチしていく。中でも、香里奈、吉瀬、林、それに憎まれ役の加藤ローサが魅力的だ。
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 しかし、ドラマとしてはシリアスな要素もあるのに、全体的に子供っぽいギャル・タッチ。4人のヒロインの心理描写や描きわけも物足りなく、それぞれのキャラが入り混じってわかりにくい。もっと洗練されたタッチで、都会に生きる女性の姿を軽妙にとらえてほしかった。深川監督は、「60歳のラブレター」「白夜行」「神様のカルテ」などの話題作を手がけた若手監督。いっそのこと、軽いミュージカルのような作品にしてしまったら、よかったのかも。先ごろ公開された韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」が、人生のほろ苦さを楽しく軽快につづっていたのにくらべると、なんだか中途半端な気がします。 (★★★)

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美麗

千葉県野田市・清水公園

芍薬の群生

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