わくわく CINEMA PARADISE 映画評論家・高澤瑛一のシネマ・エッセイ

半世紀余りの映画体験をふまえて、映画の新作や名作について硬派のエッセイをお届けいたします。

スキージャンプしたい? 韓流コメディー「国家代表!?」

2010-10-25 18:44:02 | 映画の最新情報(新作紹介 他)

Img353 韓国のスキージャンプの歴史は浅く、競技が導入されたのは1991年頃。選手が本格的トレーニングを行うようになったのは、97年冬季ユニバーシアードの開催地ムジュリゾートに初のジャンプ台が完成した頃からだという。そして、劣悪なトレーニング環境の中で、長野冬季オリンピックに向けて競技人口6人のうち14~17歳の少年4人が代表選手に選出。98年の長野では、団体13位に終わる。そのせいか、スキージャンプは韓国では非人気種目だとか。こんな状況を反映してかどうか、スキージャンプをテーマにした、ウソかマコトか、の大コメディー映画「国家代表!?」(10月23日公開)がキム・ヨンファ監督・脚本で製作され、韓国で860万人を動員、歴代興行成績6位の大ヒットになったそうです。
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 物語の始まりは……1996年、全羅北道の茂朱(ムジュ)。この地に冬季オリンピックを誘致するため、正式種目のひとつスキージャンプの国家代表チームが急遽作られることになる。ところが、コーチに任命されたのは、元子供スキー教室の講師パン(ソン・ドンイル)。彼が集めた選手も、とんでもないメンバーばかり。実の母を捜すためアメリカからやってきたボブ(ハ・ジョンウ)、高校時代はアルペン選手だったが薬物使用でメダルを剥奪されたフンチョル(キム・ドンウク)、その高校のスキー仲間で祖母と問題児の弟ボング(イ・ジェウン)を抱えるチルグ(キ・ジソク)、焼肉店を営む父に頭が上がらないジェボク(チェ・ジェファン)らだ。そして、彼らのハチャメチャ・トレーニングがスタートする…。
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 全員、ジャンプの経験ゼロ。代表入りした動機は、兵役はイヤとか、コーチの娘を落としたいとか不純なものばかり。トレーニングも、木の枝にロープで吊るされた状態で両脚をV字に保つ、時速90キロで走るバンの上でクラウチング姿勢を保つ、など破天荒なものばかり。見せ場は、97年ワールドカップと、98年長野冬季オリンピック。落ちこぼれ少年たちがカッコよく(?)滑降&滑空していく姿を、移動撮影システムCAMCATを用いたり、韓国はじめドイツ、オーストリアの選手が参加したりして撮影した。キム・ヨンファ監督は、傑作コメディー「カンナさん大成功です!」(06年)などで注目された人。「ほぼ実話!?」かどうか、わからないけれど、大爆笑とスリルに満ちた「あり得な~い!」青春スポーツ映画が完成。オバカ映画も、ここまで徹底すれば、みごと!と言うよりほかありません。
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コスモスの季節(千葉県野田市・清水公園の花ファンタジアで)


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