
細いトーンのクラリネットで知られるルディ・ジャクソンがエリントン・バンドを辞めたあと、フレッチャー・ヘンダーソン楽団の息の長いフレージングで人気を集めているバスター・ベイリーと、チェック・ウェッブ楽団やラッキー・ロバーツ楽団で澄み切ったアルトを吹くジョニー・ホッジスのどちらを入れようかとエリントニアンが相談する。28年当時最高のクラリネット奏者だったベイリーを推す声が強かったが、バーニー・ビガードがホッジスを入れるべきだと主張した。
51年から55年まで自分のバンドを持った時期を除いて、その死に至るまでの40年間、エリントニアンとして音楽人生を送ったホッジスのスタートである。エリントン・バンドの重要なスター・プレイヤーであるとともに、ベニー・カーター、ウイリー・スミスと並ぶスウィング時代の3大アルト奏者であり、音色の美しさでは彼の右に出る奏者はいないだろう。美しい音色のアルトはいくらでもいるだろうが、ただ美しいだけではない。ヴィブラートは細かく、そして深みがあり、そのうえメランコリックなのだ。短いフレーズで端的にまとめ、歌う術の全てを内包した稀代のアルトはチャーリー・パーカーも崇拝したほどだ。
ヴァーブに小編成のアルバムが多数あり、なかでもアール・ハインズと共演した「ストライド・ライト」は、キャリアもスタイルも違う両者の匠を聴けるアルバムである。いかにもノーマン・グランツが好きそうな大物同士の顔合わせセッションだが、ふたりに距離感はなく、アドリブ交換も息が合い、互いのプレイを尊重しながら熱く音を重ね、ケニー・バレルやリチャード・デイヴィスのサイド陣もその輪に溶け込む。おそらくコートに身を包んだジャケット写真は、セッション前のふたりであろう。にこやかな表情からは既に完成度の高い作品を予感させる。匠とは会った瞬間に笑みがこぼれ、セッションでは和を崩さず、それでいて自己主張をも忘れない人をいう。
エリントンは回想している。「ホッジスはわたしの知るかぎり、温まっていないサックスでチューニングしないでちゃんとした音を吹ける唯一の男だ。一日中チューニングしても、ちゃんとした音で吹けないミュージシャンのことをたくさん聞いているのだ」と。ビガードがホッジスを強く推薦したのは、常に水準以上のオーケストラ・サウンドが求められるエリントン・バンドにとってこのチューニングひとつが如何に重要なことなのかを知っていたからであろう。
51年から55年まで自分のバンドを持った時期を除いて、その死に至るまでの40年間、エリントニアンとして音楽人生を送ったホッジスのスタートである。エリントン・バンドの重要なスター・プレイヤーであるとともに、ベニー・カーター、ウイリー・スミスと並ぶスウィング時代の3大アルト奏者であり、音色の美しさでは彼の右に出る奏者はいないだろう。美しい音色のアルトはいくらでもいるだろうが、ただ美しいだけではない。ヴィブラートは細かく、そして深みがあり、そのうえメランコリックなのだ。短いフレーズで端的にまとめ、歌う術の全てを内包した稀代のアルトはチャーリー・パーカーも崇拝したほどだ。
ヴァーブに小編成のアルバムが多数あり、なかでもアール・ハインズと共演した「ストライド・ライト」は、キャリアもスタイルも違う両者の匠を聴けるアルバムである。いかにもノーマン・グランツが好きそうな大物同士の顔合わせセッションだが、ふたりに距離感はなく、アドリブ交換も息が合い、互いのプレイを尊重しながら熱く音を重ね、ケニー・バレルやリチャード・デイヴィスのサイド陣もその輪に溶け込む。おそらくコートに身を包んだジャケット写真は、セッション前のふたりであろう。にこやかな表情からは既に完成度の高い作品を予感させる。匠とは会った瞬間に笑みがこぼれ、セッションでは和を崩さず、それでいて自己主張をも忘れない人をいう。
エリントンは回想している。「ホッジスはわたしの知るかぎり、温まっていないサックスでチューニングしないでちゃんとした音を吹ける唯一の男だ。一日中チューニングしても、ちゃんとした音で吹けないミュージシャンのことをたくさん聞いているのだ」と。ビガードがホッジスを強く推薦したのは、常に水準以上のオーケストラ・サウンドが求められるエリントン・バンドにとってこのチューニングひとつが如何に重要なことなのかを知っていたからであろう。
どのバンドにもスター・プレイヤーがいるものですが、エリントン・バンドのジョニー・ホッジスほど煌いたプレイヤーはおりません。今週はホッジスのお好みのアルバムをお寄せください。
管理人 Johnny Hodges Best 3
Back to Back (Verve)
Side by Side (Verve)
Hodge Podge (Epic)
ヴァーヴを中心に多くの作品がありますので、何が挙げられるのか楽しみです。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
今週は、ジョニー・ホッジスですか。
duke様が挙げられた「バック・トゥ・バック」と「サイド・バイ・サイド」は、外せないアルバムだと思っております。
この2枚は昔から好きで何回聴いたかわからないほどです。
特に「バック・トゥ・バック」は店用、自宅用、実家用と3枚所有しております。(笑)
お気に入りは
「バック・トゥ・バック」
「サイド・バイ・サイド」
この2枚は大好きだが、最近は「バック・トゥ・・・」を聴く方が多いのでこの順番です。
「エブリバディ・ノウズ・ジョニー・ホッジス」
こちらもご機嫌!
40年間、エリントン楽団でトップ・アルトの座にいたホッジス・・・只者ではない!
「バック・トゥ・バック」を3枚お持ちでしたか。同じアルバムを3枚所有するケースはありますが、実家用とは珍しいですね。たまたま高校生のころ買ったレコードではありませんか。ケースに入れたまま忘れるよくあるケースです。(笑)
ワンツーはほぼ決定かと思われます。ともに良きパートナー、エリントンと小編成ならではの会話が素晴らしいですね。
注目の3枚目に「エブリバディ・ノウズ・ジョニー・ホッジス」が挙がりましたか。60年代の作品ですが、ハリー・カーネイもキャット・アンダーソンも、そしてホッジスも若い頃と変わらぬ音に驚きます。
>40年間、エリントン楽団でトップ・アルトの座にいたホッジス・・・只者ではない!
ホッジスがいたからエリントンを聴いた。私もそんなひとりです。
エリントンバンドを語らせたらやはりDUKEさんがダントツでしょう。
そうホジッスいなけりゃ只の小難しい黒と褐色のサウンドでなかなか聞き込めないフルバンです。
カーネイもアンダーソンもゴンザルベスも・・・ホッジスと共にあったからこそ活きたサウンドだと思います。
エリントンもストレイトホーンと共に重要視していたのがホッジスでしょう。
一発で目を閉じていても分かるあのホッジス・トーン・・・アルト・サウンドが万華鏡のように・・・変幻自在・・・いいですなぁ・・。
Back to Back (Verve)
Side by Side (Verve)
Hodge Podge (Epic)
偉い!と誉められても困りますが、エリントンバンド、そしてホッジスには特別な想いがあります。男が女に夢を語るのは愛の告白だと言われますが、私がエリントンを語るときはジャズへの愛を告白しているのでしょう。
エリントンバンドに28年参加直後のホッジスの演奏は、「The Mooche」、「Move Over」、「Hot And Brothered」の3曲で聴かれますが、バンド全体のトーンが明らかに煌いたものになっております。サム・ナントンやハリー・金ネイのホーン・アンサンブルは美しいの一言です。ビガードはホッジスと一緒に演奏するのを楽しむような活気あるソロを吹いております。古い音源ですが、ホッジスのエリントニアンとしてのスタートと思うと胸が熱くなります。
挙げられたベスト3は私と同じですね。この3枚でホッジスを語るには十分ではありませんが、ホッジスを聴くならこの3枚がベイシックなものと思います。
ジョニー・ホッジス・・・まだそれほど聴き込んでいるとは言えないのですが、厚かましくも聴いたものからいくつか。
1.mood indigo(この1曲)~
これ、オリジナル盤はNorgran(Dance Bashと同内容のPerdido)かな?それはもうとても高価で(笑)しかしながら、皆が欲しがるだけのことはあるな・・・と思わせるその演奏の、深み・コクのあること。僕は英EP盤で聴いてます(笑)
2.Duke Ellington Small Groups~
(僕の手持ちはCD~BMGビクター1990年)
エリントン楽団から、ホッジス、bのジミー・ブラントン、レックス・スチュアート、バーニー・ビガード、それからもちろん、pにエリントンらを集めたコンボもの。
passion flowerがよかったかな。
「Used To Be Duke」が出てこないのが、不思議です。
あまり評価は高くないのでしょうか?
もっとも、私もこれはハリー・カーネイの
Smoke Gets In Your Eyes の印象が強いのですが。
あと、オリバー・ネルソン、レオン・トーマスとの共演の
「3Shades of Blue」も、なかなかいいですよね。
あとは、「Side By Side」しか持っていません。
これは、あんまり聴いてません。
mood indigo この1曲というのは bassclef さんらしいですね。この曲の初演はホッジスがエリントン・バンドに加入して間もない30年です。因みにこのときのタイトルは「Dreamy Blues」でした。このタイトル通りの曲調ですが、何度も演奏したホッジスにとって忘れられない曲だったのでしょう。
ご指摘のようにオリジナルは、Norgran の「Dance Bash」です。マーティンのイラストジャケが秀逸ですし、内容もアル・ヒブラーの参加もあり素晴らしいものです。再発の「Perdido」を横目に見ながらいつかは手にするぞ、と思い30年経ってしまいました。(笑)
ピックアップメンバーによるスモールグループは、ビッグバンドでは聴かれない各人の伸びやかなソロを楽しめますね。
「Used To Be Duke」が出てこないのでイライラしていたのではありませんか。これも勿論いい内容ですが、バック・トゥ・バックやサイド・バイ・サイドに隠れたようです。バラード・メドレーが聴きものです。コルトレーン・ファンなら真っ先に挙げたでしょうね。(笑)
「3Shades of Blue」がありましたか。ホッジスの「Blue Notes」 (Verve) と、オリバー・ネルソンの「Skull Session」(Flying Dutchman) を聴かれたことがあるでしょうか。それぞれのオリジナル曲は、似たような曲調で驚きます。共通するものを持っているのでしょうね。
手持ちはこの Back to Back, Side by Side の二枚だけでした。
どちらかと言うと Side by Side の方が好きです。Back to Back の方は、どういう訳かどうしても耳の方が Harry Edison の方に傾いてしまうのです。(反論にあいそう)(^^;
それともう一枚無理に入れるとなると、New Mood Indigo それしか思い浮かばないので、なんだかありきたり実の無いコメントになってしまいました。