団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

株主相次ぎ「原発撤退」提案 厳しい総会対応迫られる電力各社

2011-06-13 20:46:56 | 日記

   東京電力や関西電力などの株主の一部が原子力発電からの「撤退」を求めている。東電は2011年6月28日、関電は同29日に定時株主総会を開催するが、そこでの議案に株主提案として盛り込まれた。

   電力各社の取締役会はこうした提案に反対の意向を表明しているが、株主総会では原発事故後の電力事業をめぐり、株主の厳しい追及を覚悟する必要がありそうだ。

「未来の子どもたちの負の遺産になる」 
定時株主総会でも株主の厳しい声にさらされる?

 

   東電の定時株主総会の招集通知によると、402人の株主が原子力発電からの撤退を定款に加えるよう提案している。「未来の子どもたちに負の遺産を残し、地元に負担を押し付ける原発からは即刻撤退すべきである」と主張し、定款に(1)古い原発から順に停止・廃炉とする(2)原発の新設・増設は行わない――の2点を盛り込むよう提起した。

   これに対し、東電の取締役会は「業務執行に関する内容を定款で定めることは適当ではない」と反対の立場で、今後の原発事業について、「事故の調査結果やエネルギー政策全体の議論、地域の皆さまの意見などを踏まえて検討したい」と説明している。

   一方、関西電力は124人の株主が「原発撤退」を求める議案を提出。東電福島第一原発で射線物質の放出されたことを受けて、「放射能の処理ができない原発はやめる」よう、定款の変更を求めた。撤退まで役員報酬を支給しないことや、プルサーマル計画の凍結などをあわせて提案した。

   関電では別の株主36人も、建設から30年以上の高経年化炉の廃炉を念頭に、「自然エネルギーへの転換宣言」を盛り込むよう求めている。

   関電の株主は他にも、オール電化政策からの撤退や、東西の周波数の違いが電力融通に支障をきたしたことから、欧州にならった「メッシュ系統」の電力網を整備して、周波数の変換を容易にすることを事業運営に盛り込むべきとも主張している。

   しかし、関電の取締役会は、これらの議案に対して反対を表明。「今後も原子力を中心とした最適な電源構成を構築して、持続可能な低炭素社会を目指す」ことで、株主に理解を求めている。

中部電力の株主は「発電設備を売る事業」への転換を求める

   浜岡原子力発電所の稼働を停止している中部電力でも、93人の株主が浜岡原発の廃炉を提案。あわせて、「脱原発に向けたロードマップの策定」や、オール電化政策からの撤退を求めるとともに、「電気をつくって売る事業から、発電設備をつくって売る事業への転換」を提案した。九州電力も株主70人が古くなった原発から順次廃炉にし、新規の原発もつくらないよう求めており、いずれも取締役会は反対を表明している。


緊急レポート 電力会社の利権を奪えば「脱原発できる!」「ニッポンの自家発電」はすでに原発60基分!

2011-06-13 20:20:24 | 日記

JR東日本、キリンビール、六本木ヒルズ、大阪ガス・・・全国ですでに6000万kWの電気が作られている---が、さらに企業に広まらない裏には、カラクリがあった。

「かき集めても、やっとこのぐらいという感じだ」。5月23日、中部電力(中電)本店で行われた会見で、水野明久社長(57)は厳しい表情でこう漏らした。浜岡原発停止後、7月と8月の電力供給力がピーク時の需要を5%ほど上回るものの、安定供給には到達しないと発表したのだ。恒例の電力会社による「電力が足りなくなる」というアピールである。そこで、中電が打ち出しているのが、自家発電設備を持つ管内の民間企業から余剰電力を買い取るという方針だ。

 とはいえ、中電が買い取れるのは余剰電力に過ぎない。管内最大となる60万kWの発電能力を備えた名古屋製鉄所(愛知県東海市)を持つ新日本製鐵の広報センターは次のように説明する。

「製鉄の過程で出る熱やガスを利用するもので、発電量は生産量に左右されます。発電した電気は自社工場内でも使用しますので、そのすべてを余剰電力として売電できるわけではない。そして、これまでも余剰電力を中部電力に売ってきました。ですので、それ以上の〝埋蔵電力〟があると思われると困るのですが」

 あまり知られていないが、発電施設を所有しているのは電力会社だけではない。 '95年の電気事業法の改正によって電力会社による独占が一部緩和され、電力供給を行う新たな企業(事業者)が生まれた。新日鐵のように余剰電力を電力会社に売る企業もある。その一方で、非常用や自社工場での消費を目的とした自家発電もある。環境エネルギー政策研究所主席研究員の松原弘直氏が解説する。

「工場の自家発電施設で最も導入されているのは、重油など化石燃料を使う発電機ですが、油の価格の上昇で、発電するよりも電力会社から買ったほうが安く、ほとんど稼動していなかったはずです

資源エネルギー庁の資料に基づいて、編集部で作成

グラフは、全国の自家発電を発電の種類ごとに分けて、認可出力(注)の合計を示したものである。自家発電施設は3249ヵ所あり、うち2569ヵ所が火力発電だ。

 一目瞭然だが、火力の自家発電だけで日本の原発全54基の総認可出力を上回っている。水力などを加えれば原発60基分に相当する。そしてその多くが稼動せず、〝眠っている〟可能性が高いのだ。

 総務省統計局や電気事業連合会が公表した '08 年のデータによれば、日本の火力発電所の最大発電量は約1兆2266億kW/h。

 しかし、その稼働率は50%程度に過ぎず、原発で発電していた約2581億kW/hを補って余りある。それに加えて、この〝埋蔵〟自家発電がある。「厳しい夏になる」(水野社長)などと、電力会社は原発なしには夏を乗り切れないかのような〝脅し〟を繰り返すが、本誌が何度も指摘してきたとおり、電気が足りないわけではない。

 しかし、この自家発電力を有効に生かすのを阻む壁が存在する。電力会社の利権である。この利権は企業の自家発電がさらに広まるのを阻む壁にもなっている。

「そもそも一つの電力会社が、ある地域の発電も送電も小売も独占するというのは、戦後の復興期だから必要だったシステムです。工業生産が伸び、その電気需要に応えるために必要だったわけです。しかし今の時代に、地域独占が必要でしょうか?」(自家発電設備を持つある事業者)

 日本の電気事業は、10電力会社による地域独占体制が続いているが、前述した電気事業法の改正で発電と小売の一部が自由化され、独自に発電や電力供給を行う事業者が誕生した。業態によって、「卸供給事業者(IPP)」、「特定電気事業者」、「特定規模電気事業者(PPS)」などに大別される。

 IPPは、電力会社に10年以上にわたって1000kW以上を供給する契約などを交わしている事業者のことで、大阪ガスの子会社である「泉北天然ガス発電所」などがそれに当たる。

 また、特定電気事業者は限定された区域に対し、自らの発電設備と送配電設備を用いて電力供給を行う。六本木ヒルズに電気を供給する森ビルの子会社「六本木エネルギーサービス」や、首都圏の鉄道に電気を供給するJR東日本が代表的だ。一方、PPSは、工場や病院など一般家庭以外と50kW以上の契約をして電気を供給する。オリックスや昭和シェルなどが参入している。

「このPPSが電気をどんどん作り、市場が活発になれば電気代も安くなるはずですが、電力会社がそれを阻んでいます。PPSは自前の送電設備を持たないため、電力会社の送電網を利用するのですが、その際に『託送料』がかかり、この負担が大きいのです。電力量によって変わりますが、客が支払う電気代の約2割を、託送料として電力会社に支払わなければなりません」(前出の事業者)

さらにこんな障壁もある。

「電力会社は自然エネルギーで作られる電気を送電網に接続することを独自に制限しているんです。『自然エネルギーは安定しない』というのがその理由です。

 例えば、東北地方では風力発電の事業者は抽選に当たらないと送電網に繋げません。広範囲で送電網を整備すれば、青森県では風が吹かなくても、秋田県で吹けば穴埋めできるのに」(別のPPS事業者)

JR東日本 神奈川県川崎市川崎区 川崎発電所(火力)の最大出力は65.5万kW。信濃川水系の水力発電と合わせ110.4万kWの発電能力を持つ(PHOTO 足立百合)
森ビル(六本木エネルギーサービス)東京都港区六本木 六本木ヒルズの地下に1万平方メートルという広さの発電施設がある。ガスタービン式6基発電能力は3.8万kWだ
大阪ガス(泉北天然ガス発電所)大阪府堺市・高石市 発電効率57%という最新鋭の発電機4基で110.9万kWを発電。IPP事業の発電所としては日本最大規模だ

 政府は6月中には、「エネルギー環境会議」(議長・玄葉光一郎国家戦略担当相)を設置することを決めている。その会議で最も大きな議題となるのが、電力会社の「発送電分離」だ。

 前述したような障壁をなくすために電力会社から送電部門を切り離そうという議論だ。が、実現したとしても、すぐに自由化が進むわけではなさそうだ。九州大学大学院電気システム工学部門の合田忠弘教授はこう指摘する。

「発電と送電を分離した場合、あちこちに点在する電源を有効に利用しようとすれば、多くの電気を流せるように送電網を強化する必要があります。しかし、海外の事例を見ると、送電会社はなるべく今の設備を利用して設備投資を控える傾向がある。この投資を誰がどのように行うのかが問題となるでしょう」

 また、電気メーターを設置し、各家庭に電気を配電できるのも電力会社に限られているから、欧米のように少々料金が高くても、あえて太陽光発電で作られた電気を買うような選択はできない。自家発電で作られた電気も原発で作られた電気も一緒くたにされ、その内訳もブラックボックスにされた〝言い値〟の電気料金を私たちは支払わされているのだ。

キリンビール神奈川県横浜市鶴見区 3基のガスタービンで最大1.7万kW。首都圏全域へ出荷する商品を製造する横浜工場の全電力を賄っている

●送電分離による託送料の廃止

●電気メーター(配電)の自由化

●電気料金の内訳の可視化

 これらを実現できれば、電力不足などありえない。脱原発への道も大きく開けることとなる。あるPPS事業者が言う。「発送電分離と配電の自由化によって、『原発の電気は安くても買わない』という選択が可能になる。発送電を分離して初めて、国民が意思表示をできるのです」

現代ビジネス