団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

 銀座テーラー

2010-05-04 10:34:05 | 日記

倒産寸前の老舗テーラー 再建したのは素人の社長夫人(上)――銀座テーラー社長 鰐淵美恵子


湯谷昇羊 不屈の経営者【列伝】

湯谷昇羊(経済ジャーナリスト)


政財界人など日本のトップ層を顧客に持つハンドメイドオーダー紳士服の老舗・銀座テーラーは、バブル崩壊後、経営危機に陥った。それを救ったのは家庭の主婦だった2代目社長の夫人、鰐渕美恵子だった。

絵画蒐集の道楽に走った2代目社長 バブル崩壊の波に襲われ経営危機に


 銀座テーラーは創業者の鰐渕正志が、終戦直後の1946〈昭和21〉年に創業した。世界高級紳士服展の日本代表に何度も輝くなど、ハンドメイドオーダー服の老舗だった。正志の事業は成功し数棟のビルを保有したほか、趣味の絵画や骨董品は美術館が作れるほど蒐集していた。


 その事業を継いだのが正志の息子で2代目社長の鰐渕正夫だった。1984年のことだったが、すぐにバブルがやってくる。正夫は仕事そっちのけで趣味の絵画に走った。正志の集めた絵や骨董品をすべて売って、自分の好きな絵を買った。そればかりか保有するビルを担保に銀行からカネを借り、絵画を買いあさった。絵画の価格もみるみる上がっていく。


株式会社 銀座テーラー 鰐淵美恵子社長

 カネを借りて欲しい銀行がこれを煽る。クリスティーズやサザビーズに出かけて、直接、競り落とした。会場の隣の席には銀行員がいて、「はい、10 億円ですね。いいですよ」などと言っていた。新進の画家の絵も山のように買った。この頃の正夫のおカネの使い方は半端ではなかった。一晩の飲み代が100 万円は当たり前で、車はロールスロイスのリムジンに乗っていた。バブルにより50万円や100万円のスーツの注文が相次ぎ、お仕立て券も飛ぶように売れた。銀座テーラーの業績も絶好調で、社員までベンツ560に乗るほどだった。


 しかし、“山高ければ谷深し”の言葉通り、バブル崩壊で銀座テーラーの売上は急降下、絵画は暴落した。絵画は有名な画家の絵でも半額は当たり前、ひどいものは10億円だったものが2億円にしかならなかった。「今売ると損だから、もう少し待ったほうがいい」と言っても銀行は「とにかく売れ。売って借金を返済しろ」という。ある絵画など2億円で売ったものが、その後20億円にまでなった。


専務が辞めてわかった会社の実態 借金返済の督促電話に怯えた美恵子


 正夫の妻、鰐渕美恵子が家庭の主婦から営業として入社したのは、そんな1992年、44歳のことだった。美恵子は低迷する業績をなんとかしたい、ただそう思っていただけだった。


 会社は男社会で、主婦が場違いな相撲部屋に入ってきた感じだった。しかも相撲取りとして。社員の本音は「はやく辞めてくれれば」というものだった。経営は専務に任せっきりだった。その専務は「お手並み拝見」という姿勢で、3ヵ月間、美恵子は何もさせてもらえなかった。なにしろ、社会に出るのも、顧客に会うのもすべて初めてである。なんら既成概念がない。美恵子は持ち前の熱意で友人や知人などを訪ね歩いた。


  美恵子が意識したのは、顧客の立場で考えるということ。これならできる。紳士服の営業といっても、会うのは奥さんや秘書など女性ばかり。そんな人たちに会っているうちに美恵子はレディースを作ってみたらどうだろうかと閃いた。メンズの生地で、今いる職人に作ってもらえればコストはそれほどかからない。冷蔵庫の残り物で一品作る主婦感覚だった。ところが、当然のことながら職人はレディースなど作ったことがない。


 裁断士のトップなど「とんでもない」という。全員が反対した。それでも美恵子は諦めず、職人たちを個別に説得した。すると若手の裁断士が「やってみましょう」と同意してくれた。縫製の職人にもチャレンジ精神旺盛な人がいてレディースは日の目をみることになった。これが従来の顧客の奥さんに好評を博した。そして思わぬ副産物もあった。レディースのやり方を工夫したことがメンズに生きてきたのである。


 次は、オーダーの革製品がないことに目をつけた。オーダーによる皮革製品のジャケットとパンツを売り出した。


 美恵子が入社して3年後、会社を仕切っていた専務が退社した。美恵子は総支配人になった。このとき初めて会社の実態がわかった。年間6億~7億円の売上なのに借金が100億円もあった。どうしていいかわからない。このときは「泳げないのに海に入ったようなものだった」と美恵子は言う。最初にやったのが自宅のお風呂の改装だった。風呂を広くし、ジャグジーにした。「これからは、これまでのように遊びには行けない。唯一の娯楽はお風呂だ」。美恵子なりの闘う覚悟だった。


 専務がいなくなると、銀行からの借金返済の督促電話が美恵子に掛かってくるようになった。その度に、ドキッとした。銀行に説明に行こうにも、美恵子には事業計画や返済計画が作れない。仕方なく、社長が銀行に勧められて巨額のおカネを借りることになった経緯、地価の査定を路線価ではなく収益還元法でみてほしい、といったことを文章にして銀行の担当者に渡した。(敬称略)


<つづく>


【企業データ】
●会社名:株式会社銀座テーラーグループ
●設立年月日:1946年
●代表者:代表取締役社長 鰐渕 美恵子
●上場市場:無
●事業内容:テーラー事業・美容事業・技術者養成教育事業・不動産事業
●資本金:50百万円
●売上高:5億円
●従業員数:25名
●本社所在地:東京都中央区銀座 5-5-16  銀座テーラービルディング

 


クラウドコンピューティング

2010-05-04 09:28:09 | 日記
クラウドコンピューティングの活用でコストを抑えつつIT強化が可能に

 

いかに、ITに関わるコストや運用負荷を削減するか――。これは、すべての企業にとって共通した課題だといえるだろう。この不況下にあっては、ITコストを1万円、 2万円でも削り、コアビジネスや営業活動に多くの人員を割きたいというのが、中堅・中小企業の経営者の本音ではないだろうか。こうした課題を解決する仕組みとして、急速に注目を集めるようになったのがクラウドコンピューティングである。大塚商会では、中堅・中小企業に向けた新しいサービス「たよれーるマネージドネットワークサービス」の提供を開始。コストパフォーマンスに加え、セキュアで利便性に優れたサービスを提供することで、中堅・中小企業を強力に支援している。

 景気の先行きが見通しにくい状況が続く中、中堅・中小企業はコスト削減の努力を続けている。ただ、コスト削減一辺倒では、競争力を維持することは難しい。コストを抑えつつ、生産性を高めるための工夫も求められている。それは、IT環境についても同様だ。とはいえ、コストを含めたIT環境の最適化は、専任のIT担当者が少ない(いない)企業にとっては容易ではない。


 こうした現状を解決する手段として注目されているのが、クラウドコンピューティング(以下、クラウド)だ。クラウドを簡単に言えば「ネットワークを通して、必要なときに、必要なだけIT資源を使う」という利用方法のこと。事業者側がサーバやストレージなどのハードウエアやOSやデータベース、業務システムといったソフトウエアをデータセンターに集約。それを各企業が使用する形だ。


 このクラウドの利用は、中堅・中小企業に大きなメリットをもたらす。
特に大きいのは、やはりコストや運用負荷の削減だろう。何しろ、ネットワークの向こう側に、あらゆるコンピューティングリソースが用意されているわけだから、システムを新たに買う必要も、“お守り”を自社でやる必要もない。


 従来ならば、「プロキシサーバ」によってセキュリティを強化したり、「ファイルサーバ」によって情報の共有といったように、その都度サーバを購入し、システムを構築する必要があった。その点、クラウドであれば、月々のサービス料金のみで同様のシステムを利用することができる。したがって、低コストのスモールスタートが可能で、サービスの拡大に合わせて柔軟にシステムを拡張することができるわけだ。


 ただ、クラウドサービスをビジネスに使う場合、セキュリティや信頼性に対して懸念を持つ企業も少なくない。「海外のデータセンターに自社のデータが置かれるのは不安」、「メンテナンスなどのために、突然システムが停止するかもしれない」といった声は、しばしば聞かれる。
こうした不安を払拭する中堅・中小企業のためのサービスが、大塚商会から提供される。それが「たよれーるマネージドネットワークサービス」である。



 まず最初に、同サービスで注目したいのは、完全クローズドなネットワークのもとにクラウド環境を構築できる点だ(※クローズド網の提供は、2010年5月からサービス開始予定)。ユーザー企業のLAN環境を大塚商会が東京都内に開設した「たよれーるマネジメントサービスセンター(TMSC)」と直接つなげることで、セキュアなネットワーク網を実現。その中で、大塚商会が徹底した運用管理を行う。大塚商会があたかも顧客企業の情報システム部門の一員として、ネットワーク環境やその上のITリソースを管理するという形である。


 例えば、業務に関係のないWebサイトへのアクセスを制限する「URLフィルタリング」を導入すると仮定してみよう。通常ならば、そのためのポリシーを策定し(一般社員は業務に関わるサイト以外はすべてNGだが、特定部署は情報収集のためにある程度許可するなど)、そのために専用サーバを立てる必要がある。面倒な上にコストがかかるので、こうした仕組みを用意している中堅・中小企業は少ないが、URLフィルタリングがあれば、社員の生産性は確実に向上するはずだ。


 同サービスでは、TMSCの専用サーバを多数のユーザー企業が利用する形態になるため、1社当たりのコストを抑え、低価格で専門技術者によるサポートを受けることができる。ポリシーの策定も大塚商会が支援し、その企業に合ったアクセス制限のあり方を提案してくれる。


また、同サービスでは、各サーバの設置場所が国内であることはもちろんだが、どのサーバで処理されているのかも可視化されている。そのため、海外のクラウドサービスのように情報がブラックボックス化されたり、突然止まっていつ復旧するかわからないといった心配もない。加えて、ユーザー企業に合わせてサービス内容を柔軟にカスタマイズできる点も、大きな特長の1つだ(図1)。



図1「たよれーるマネージドネットワークサービス」のイメージ
監視・運用サービスから、セキュリティ、各種アプリケーションの管理までを一元的に任せることができるため、安全性の確保と利便性・業務効率の向上まで、様々なメリットを享受することが可能だ。

サーバやクライアントPCをインターネット経由で管理する


 このようなメリットを理解しつつも、「すべての資産をすぐにクラウド環境に移行できない」という企業もあるだろう。他にも「部分的にクラウド環境を利用し、重要な資産だけは、やはり自社で運用したい」あるいは「サーバの運用だけをアウトソースしたい」というニーズもあるはずだ。こうしたケースについても大塚商会では、様々なサービスを提供している。


 その1つが「たよれーるマネージドネットワークサービス」の一部として提供されている「サーバ総合監視サービス」だ。これはサーバのCPUやメモリ、ディスクの稼働状況を日常的に監視し、負荷率やトラフィックなどの数値をユーザー企業にレポートするもの。これにより、将来のリスクを予見し、トラブル発生前に適切な対応を講じることができる。従来の一般的なサービスは障害が発生した時の対処療法的であるのに対し、このサービスはトラブルを未然に防いだり、発見する「人間ドック型サービス」といえば、わかりやすいだろう。


 この監視拠点となるのは、前にも触れたTMSC。TMSCにはハードウエアやアプリケーション、ネットワークなどの専門技術者が数百名規模で常駐しており、365日×24時間の体制で顧客のシステムをチェックしている。
例えば、システムが夜中にダウンした場合、TMSCからインターネット経由で顧客のサーバをチェックして復旧のためのアドバイスを行う(※事前の契約が前提となる)。従来の保守スタッフが駆け付けるサービスに比べて、リモートでの対応となるため、コストを抑えることができる。もし、トラブルをその場で解決できなかったとしても、夜中の間に障害の切り分けができるため、翌日の素早い復旧が可能になる。


 サーバの保守管理だけでなく、クライアントPCをインターネット経由で管理するサービスもある。PCの管理は煩雑な作業が伴うが、そのために専任の担当者を置くのはコスト増の要因となる。そんな中堅・中小企業のニーズに対応し、大塚商会は総合的なPCのマネジメントサービスを提供している。


 経営者にとって気になるのは、特にPCのセキュリティ対策だろう。ユーザー任せという企業も多いが、それではPCごとにセキュリティのレベルに違いが生じてしまう。また、最近は取引先企業からの要求も厳しくなっている。一定のセキュリティ基準を満たすことが取引の条件、という大企業も少なくない。中堅・中小企業にも、「特定部門のPCだけはUSBを使えないようにする」といったきめ細かなセキュリティ対策が求められる時代になった。


 大塚商会のサービスを活用すれば、企業ごとのセキュリティポリシーに基づき、禁止されているUSBの使用、フリーソフトのダウンロードなどの不適切な利用が検知され、システム管理者に通知される。直接的な投資効果が見えにくいセキュリティは、中堅・中小企業にとって大きな負担。クライアント環境を守る低価格のサービスは、こうした悩みに適合するソリューションと言えるだろう(図2)。


図2 禁止設定によるセキュリティ対策
USBメモリやCD-Rへの書込みや利用を禁止したり、ゲームやP2P関連ソフトの起動を禁止設定にすることが可能。プログラムの実行を禁止し、ログに記録するため、発見と抑制を同時に実現できる。

大塚商会によると「たよれーるマネージドネットワークサービス」は、今後も順次サービスメニューを拡大していく予定だ。例えば、TMSCに設置されたサーバやストレージの能力を貸し出すサービスなどが検討されているという。このように「たよれーるマネージドネットワークサービス」は、社員数10人の企業でも、1000人の企業と同等レベルのセキュリティとIT運用を実現することが可能だ。


今回紹介したようなサービスをうまく使いこなせば、コスト削減と競争力の強化を両立していくことができるだろう。